5話 弱いからこそ
「今からもう一回見せるから、よーく見とけよ。」
「うん。わかった。」
クリスは手を自分の横に上げて目を閉じた。
すると、魔力の四角い箱が現れた。
そう。これだ。これ。
クリスは、目を開けると、説明を始めた。
「まずは自分の体に近いところで魔力を集中させる。。初めは手のひらがやりやすいかな。で、魔力の外郭を作る。形は丸でも四角でも何でもいいけど、四角が一番簡単かな。外郭ができたらそこから魔力を中に集結させていく。」
クリスは、そこからもう片方の手にも魔力を集中させる。
「そして,何か別のものに魔力を溜めて、作った魔力の塊に入れる。
そうすれば魔力は互いにぶつかり合い武器ができる。」
そしてクリスは、グローブを取り出した。
「一般的に魔力は体から離れるほど、操作が難しいとされている。だから、自分の魔力で武器を作って手元に置いて戦う方がよっぽど効率がいい。」
クリスはグローブをはめる。
「この一連の作業が,さっき言った武具錬成【クリエイト】。これで作った武器を持ち、ギフトを使いながら俺たちは戦っている。これができれば戦いの幅は広がる。」
こんなもんかな。とクリスは説明を終えた。
・・・なんか、難しそうだなぁ。
そう思った。でも、これができれば僕だって戦える。
そう思い直した。
「頑張るよ。オレ!」
でもやはりそんなに上手くはいかなかった。
くそ、、難しすぎる。まず魔力の外郭を作れない。だめだ、こんなんじゃ、
「初めからできるはずねーよ。」
クリスが励ましてくれた。
「俺だって完全に使えるまで、3ヶ月はかかった。初めてからされたら、俺が凹むよ。」
「あぁ、うん。そうだな。気長に頑張るよ。」
僕は答えた。
「俺はもういくけど。ユウは?」
「もうちょっとだけやるよ。ありがとう。」
「あぁ。頑張れ。」
クリスはそう言い残すと、部屋を出ていった。
・・・よし!やるぞ!
僕はもう一度自分を奮い立たせた。
「いやぁ。すげぇなぁ。びびったわ。」
あんなにできる奴がいるのか。俺は廊下を歩きながらそう思った。
右に回った角の2つ目の扉を開けた。
「あぁ、クリス。どう?ユウ、できそう?」
扉を開けるとそんな質問が来た。
考える暇もなく、こう答える。
「あぁ、イル。できるぜ。あいつは。これは期待や願望じゃない。確信だ。」
「何?もうできちゃったの?」
イルはソファから身を乗り出して聞く。
その質問にはすぐに答えず、余裕を見せながら椅子に座る。
「いや、今できてるわけでもない。そしてもうできそうなわけでもない。」
「なら今手こずり中って感じか。難しいもんね。」
「で、その確信に至った根拠は?」
よし。ようやく聞いてきたか。
「よくぞ聞いてくれた。俺の長年の経験、鋭い勘、そして俺の持論によると、、」
「そういうのいいから。」と、イルが眠たそうにしている。
全く、ここからがいいところなのに。
気を取り直して、
「ユウは戦闘センスはある。圧倒的なものが。さっき実戦で俺はそう感じた。それは、戦闘になると、少し感じが変わるからだと思った。でも練習になるとそれがなくなる。」
「つまり?」
イルは今度はしっかりと聞いてきた。
「あいつは、実際の戦闘じゃないと伸びない。だから、俺はこれに連れて行こうと思っている。」
俺は数日前に【神の雷】の調査に行っている他のメンバーから遠隔で届いた手紙を見せる。
イルはまじまじと見た後にこう言った。
「なるほど。まぁクリスが言うんだし。いいんじゃない。早すぎる気もするけどね。」
とりあえずイルは納得してくれたようだ。
「まぁ俺の言ったことは外れたことがないからな。」
「それ自分で言っちゃうんだ。」
「だって、言ってくれないだろう。」
俺は立ち上がってドアを開けた。
「じゃ、ユウを呼ぶぜ。」
「おーーい!ユウー!来てくれー!」
もう少しだけ、と、練習していたら、クリスに呼ばれた。
・・なんだろう?
そう思って声のする方に行くと、扉の開いた部屋の中にイルとクリスがいた。
「何かあった?」
クリスに尋ねると、クリスは手紙を渡してきた。
・・・これは、、前に読んでいた手紙だな。読めってことかな、
僕は手紙に目をやった。
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内容はこうだった。現在までの調査の結果、【神の雷】に囚われている人たちがいることがわかった。その人たちを自由にするため、応援に来てほしい。
「なるほど。これに今からクリス達が行くから、俺は留守番ってことね。」
「いや,ユウも行くよ。」
「へ?は?、、、今なんて言った?」
僕は聞き間違ったのかと思ってもう一度聞く。
「ユウも行く。俺たちと一緒に。」
「え。む、無理だって!僕なんかがいっても、足手まといになるだけで、、、」
そうだ,僕はまだ魔力を使った戦い方をついさっき知ったばかりだぞ!
「違う違う、そんな何十人も戦って倒せなんて言ってないだろう。ユウには今、神の支配で世界が今、どうなっているのかを自分で直接見てもらいたいんだ。その方が、訓練もやる気が出るだろし,自分の村のことも何かわかるかもしれない。」
う、もしかしたら、そうなのかもしれない、、
そう思った自分がいた。
「私たちもできるだけ、サポートするから、行ってみないとわからないこともあるよ。」
イルはそう言いながらソファから立ち上がった。
「助けられた分よりももっと多く人を助けよう。助けてくれた人たちに返して行こう。」
そうだ、、何をビビってるんだ僕は、、
今でも苦しんでいる人たちがいるのに。
「僕も行く!行きたい。僕はもっと知らなきゃいけないんだ。いろんなことを。」
すると,クリスは嬉しそうに笑いながら手紙をしまって言った。
「よし!出発は10分後!苦しんでいる人達のためにやるぞ!お前ら!」
「ええ。」 「はい!」
僕らは、足早に準備をして、館を後にした。




