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サイトのマジック  作者: レールガン
7/8

その6

飲み終わったコーヒーの缶を握りつぶそうとして握力が足らず諦めた才人は、誰かに見られなかったかを確認する。

「…誰しも格好つけたくなる時があるさ。」

何とかまた歩くことができるぐらいまで回復した才人は、最後の階段を登る。

この階段を登れば、屋上に上がるためのドアでも見えてくるのだろうと、才人は考えていた。

しかし、30階分の階段を登り切った才人は自分の目を疑う。

階段を登り切ったところの正面にある壁に、「29」の文字が記されている。

休憩を入れる前にも見はずの「29」。

階段を登りきるたびに一つずつ増加していた、そこの階数を示す数字。

それが今回だけは増加しなかった。

その階には屋上へのドアなどなく、先程休憩をとった自販機とベンチがあるスペースが存在していた。

そしてたった今登ってきたはずの屋上への階段が伸びていた。

「…なんで?ここが30階のはずなのに。」

明らかな異変を感じた才人だったが、自分の勘違いである可能性もあるのでその階段を登ることにした。

「これで…30階、屋上へ行くことのできる階に着くなら…ただの僕の勘違いで済むのか?いや、そんなはずはない。たしかに僕は…俺は見た。いやしかし…」

才人の頭は混乱していた。

コツ、コツ、コツ、コツ…。

一応敵の存在に警戒しながら、階段を登りきる。

階段を登り切った先には先程見た「29」の数字ではなく、そこにあるべきである「30」の文字が記されていた。

そして、その階の通路の先に屋上へ続くと思われるドアが存在していた。

才人は今日一番の安堵を感じ、敵マジシャンの対応に集中するようにした。

「ああ、よかった。僕の勘違いだったようだ。疲れきっていて見間違っただけだろう。…さぁこんなに苦労をさせたのだから、そこにいてくれくれないと困るよ~。」

疲労でよろよろになりながらも、才人は屋上へのドアに手をかける。

開ける前に模範解答がしっかりと発動していることを確認し、また範囲を自分から1mの距離までに延ばす。

万全の状態になり、安心してドアを開ける。

敵は恐らくここにいる。

根拠は少ないが、勘がそう言っている。

しかし、ドアの向こう側を予想外の空間が広がっていた。


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