聖女の塔
王族街は、貴族街の中心にあるらしい。
下町、貴族街、王族街という風に、中心に行けば行くほどお偉い様が住んでいるというわけだ。
そういえば下町の中でも、貴族も御用達なような高級店は中心に近い位置にあった。
「この街は、この国の中央に位置していて、我が国の中でも1番大きな街だ。王族街や城があるのは、この国ではこの街だけで、草原を進めばもっと沢山街がある。殆どの街は平民しか住んでいないが、少し大きい街なら、位の低い田舎の貴族の住む貴族街なんかがある街もある」
王族街に向かいながら、高野が教えてくれた。
そもそも、例え下町であっても、この街に住めている時点でかなり優秀な者が多いらしい。
高野もレミも、この街に当たり前の用に住んでいた「かたわれの永遠」のメンバーについて興味を示していたけれど、わたしは彼ら彼女らについて何も知らないので、ほとんど答えられなかった。
わたしが教えてほしいくらいだ。
「まぁ、この国についてどこまでそのパーティーメンバーに教えてもらっているのかは知らないが、明日から嫌でも勉強させられることになるだろう。知りたいことがあったら都度きいてくれていいしな」
高野はそう言って、わたしの頭にぽん、と手を置いた。
わたしは、「ありがとうございます」と、明日からの不安とこれまでの疲れが籠った顔で微笑む。
「ついたぞ、ここからが王族街だ」
またまた無駄にデカイ、何故かきらきらとした光を放つ門の前で、高野は立ち止まった。
例えるなら、イルミネーションのような感じだ。
なんで光ってるんだ……?
「伝達魔法で国王様からお話は伺っている。高野に、レミだな。お前らはこれを身につけろ。そして、聖女様、ようこそお越しくださいました。歓迎致します」
門番から、高野とレミだけ何やら入館証のようなものを受け取り、2人はそれを首から下げた。
「あ……れ、わたしはそれ付けなくても大丈夫なんですか?」
「問題ございません。こちらの門は、王族の血を引く者と、聖女様以外は弾くよう、防御魔法がかけられているのです。なので、部外者は、今渡したそちらを身につけずこの門を通ろうとすると、大怪我を致します。しかし聖女様は何事もなく通り抜けできるでしょう」
それって、わたしがもし仮に本物の聖女じゃなかったら、この門に弾かれて大怪我……からの聖女のふりをしたとして罪に問われるんじゃ……。
そもそもわたし、自分が聖女だってまだ確信もないのに……周りが勝手に言ってるだけで。
「ち、ちょっと高野さん!わたし、この門本当にくぐれるんですよね?!」
「……そのはずだ」
「はず?!待っ……確証ないってことですか?!」
「だーいじょぶだよ、咲久ぴょん!レミがちゃーんと、咲久ちゃんが聖女の力使ったところ、この目でみたんだから!さ、はやく行っちゃお〜!」
門番にきかれないよう小声で高野を問い詰めていたら、レミがわたしたちの間に割って入ってきた。
初めて門の中に入るのだとはしゃいでいるレミは、わたしと高野の不安お構いなしに、王族街に向かっている途中から、ずーっとひとりだけめちゃくちゃテンションが高い。
ーこいつ他人事だと思って……。
「じゃ、レミ最初行っちゃうね〜!」
「あ、おい、先に行くなレミ。まったく……よし、咲久、俺達もいくか」
「……はい」
レミが門をくぐり、高野もそれに続いた。
わたしも、恐る恐る、まずは右足のつま先だけ門を潜らせてみる。
しかし、結局何も起こらなかった。
思い切って「えいっ」と門を全部くぐってみたが、それでも何事もない。
「あっはは!ほらね、弾かれない!これで咲久ぴょんが正真正銘聖女って、分かっちゃったね!」
わたしはほっとして高野をみると、高野も心底安心したように肩を撫で下ろしていた。
「よし、聖女の塔は王族街の中心だ。すぐに着く。もうひと頑張りだ、咲久」
また、中心。
わたしは、返事をする元気もないまま、高野の後ろを追いかけた。
暗くなりはじめた空をみて、不意に怖くなる。
ー今日の夜は、聖女の塔っていう場所で、部屋にひとりなんだろうか。
律は、今頃ー
「咲久ぴょん?」
「あっ!何?!」
「大丈夫?歩くの遅くない?体調悪い?」
「あ、いや……ちょっと疲れて足痛いなぁってあはは」
「大丈夫だ、咲久!もう着いたぞ」
高野に言われて前をみると、細く、長い塔がそびえ立っていた。
お読み頂きありがとうございます!!
そろそろ律を出したいです。
改めて、ここまでブックマークやいいね、評価やコメントを下さっている方々、本当にありがとうございます!




