巻物の主、現る
オズミが部屋を出たのは、理由のないことではなかった。奇妙なエネルギーが、街の外れに忍び込んでいたのだ。闇を生きた者にしか聞こえない、かすかな呼び声のように。彼は突然、戯れをやめ、何か危険なものを察知したかのように姿勢を正した。
彼は軽やかに立ち上がり、一言も発することなく、素早い足取りで階段へと向かった。その目は窓の向こうの地平線を見張り、街の音はいつもと違う何かを囁き始めていた。
階下では、リカが書類を確認していた。そこへ彼が入ってきた。
「街に不審な動きがある……」彼は低い声で言ったが、その口調には不安が滲んでいた。「ここを離れなければならない。」
リカは顔を上げたが、何も尋ねなかった。彼の目が間違うことはないと知っていたからだ。
二人が出発しようとしたその瞬間、ハナタがドアの陰から現れた。カイトを伴って。まるで彼女の心が、道案内をしたかのように。
「どこへ行くの?」彼女は鋭く尋ねた。カイトは黙って彼女に従い、千の問いを湛えた眼差しでオズミを見つめていた。
視線が交わり、一瞬の沈黙が流れたが、外から遠くの足音が高まってくる。何かが起ころうとしていることを告げていた……
---
四人は街の中心へ向かって歩いた。確かな足取りと、重い沈黙のうちに。聞こえるのは、安らぎを失いつつある地面を踏む足音だけだった。カイトはハナタを見つめており、彼女はといえば、オズミから目を離すことができなかった。彼の静けさには、何か謎めいたものがあった。まるで、その思いが遠く……あまりにも遠くにあるかのように。
彼らは街の市場にたどり着いた。そこでは、通りにまだ活気が息づいていた。商人たちの声、料理の匂い、人々の混雑、すべてが混ざり合って脈打つ一枚の絵のようだった。だがある瞬間……オズミが、人混みの真ん中で突然立ち止まった。
「どうして止まったの?」リカは驚いて尋ね、三人が彼の周りに集まった。
彼が答える前に、静けさが、穏やかで優しい声によって裂かれた。
「君が、オズミ……キサラだね?」
リカ、カイト、ハナタが素早く顔を上げると、二十代後半の男が目に入った。疑念を抱かせるほどの美貌で、右手には光る赤い指輪をはめていた。全員が衝撃を受けた。一方オズミは、静かに微笑んだ。
「そしてお前は……巻物の主、だな?」
見知らぬ男は軽く笑って言った。
「勘がいいね。私の名はテンジ……いや、むしろ、この体の持ち主の名だ、と言うべきかな。」
その瞬間、カイトの息が止まり、その目は涙で満たされた。唇の間から、彼は囁いた。
「あ……に……」
だがハナタは、怒りを燃え上がらせ、爆発するように遮った。
「私の巻物を返しなさい、この卑劣漢!」
テンジはオズミの方を向き、穏やかな笑みを浮かべて言った。
「彼女は、いつもこうなのかい?」
オズミも同じような笑みで答えた。
「迷惑をかけてすまないな。」
ハナタは叫んだ。
「二人とも黙りなさい!」
そして、ためらうことなく彼に襲いかかった。
オズミはため息をつきながら呟いた。
「だからこそ……頑固者は嫌いなんだ……」
稲妻のような一瞬のうちに、テンジは彼女の目の前から消え、同時にオズミも、彼女の背後から姿を消した!
二人は、瞬く間に再び姿を現した――テンジは彼女の背後に、その首をへし折ろうとして、手を彼女の首に致命的な力で巻きつけていた。
だが、決定的な瞬間、一本の手が彼の手首をつかんだ。
オズミだった。
二人の視線が交差し、互いが信じがたい力で相手を押し返していた。
壮絶で、張りつめた、燃え上がる瞬間だった。周囲の人々の目は、驚きで満たされていた。
テンジは微笑んで言った。
「ずいぶん速いな……」
オズミは穏やかな笑みで返した。
「お前もな……」
そして瞬きする間に、テンジの手が目にも留まらぬ速さで伸び、オズミの襟を強くつかみ、彼を連れて空高く跳び上がった!
その跳躍は凄まじく、足元の地面を激しく打ちつけ、市場に嵐のように爆発する巨大な衝撃波を生み出した。
カイト、リカ、ハナタは抵抗する間もなく後方に吹き飛ばされ、道の石畳が飛び散り、群衆の驚愕のざわめきがそれとともに散っていった。
全員の目が空へと向けられ、不可能な光景を黙って見つめていた……
テンジとオズミ――陽光と舞い上がる埃の霧の中、空中に浮かんでいた。
カイトは手をついて起き上がろうとしながら呟いた。
「何だ……この力は!?」
一方ハナタは、上を見つめ続けていた。髪が風になびき、心臓が狂ったように鼓動していた。
その目はオズミから離れなかった。そして内側の何かが、こう告げていた――この男は……他の誰とも違う、と。
---
空の上で、オズミはなめらかな動きでテンジの手から自らを解き放ち、二人の視線は張りつめた沈黙のうちに出会った。
オズミは静かに言った。
「わかった……お前がここに来たのは偶然じゃない。俺を試しに来たんだな?」
テンジは謎めいた笑みを浮かべ、その両目は指の赤い指輪の輝きにきらめいていた。
「むしろ……見に来たのだ。お前が、これから来るものに、まだふさわしいかどうかを。」
彼はゆっくりと右手を上げ、オズミを指し示した。
指輪から、鋭い赤い閃光が放たれ、周囲の空気を切り裂いた。まるで空間そのものが砕けたかのように。
二人は空中で、驚異的な速さで打撃を交わしていた。
拳と拳がぶつかり合う。まるで古い戦いの楽譜に記されているかのように。
動きは滑らかで……計算されていた。
一撃ごとが計算され、一つ一つの回避が、別世界の舞踏を思わせた。
背後の太陽が雲の縁を燃え上がらせ、
青い空は果てしない絵画のように広がり、
二人の影は純白の上で揺らめいた。息を奪う光景だった。
そして突然、肉眼では見えない閃光とともに――
オズミがテンジの背後に回り込み、冷ややかに、
全力で蹴りつけた。
ドォォォン!
テンジはロケットのように飛んでいった。
その周囲の雲が裂け、雷の速さでそれを突き抜け、
やがて火の玉の隕石のように落下し、激しい吹雪の只中に墜落した。
白い山脈のそばだった……
その稜線の先、地平線には、荘厳な富士山が、吹雪の中に挑戦の象徴のようにそびえ立っていた。
オズミは静かに降り立った。その足跡は、音もなく氷の上に刻まれた。
彼はテンジの前に立ち、二人とも、吠える風と、狂ったように渦巻く雪の中、黙っていた。
そしてテンジが、落下で破れた服を直しながら言った。
「自己紹介の時間は終わりだ……さあ、決着をつけよう。」
オズミは、低く確信に満ちた口調で答えた。
その声はほとんど聞こえないほどだったが、言葉の重みは剣のようだった。
「同感だ。」




