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覚悟の代償



---


新都心の通りで、カイトはウズミの後を追っていた。その足取りは早かったが、疑問で重く沈んでいた。


ウズミは迷いを帯びた声で言った。

――「ところで……なんでお前、あのゴロツキどもを追っかけてたんだ?」


ウズミは振り返らず、ただ真っ直ぐに歩き続けた。

カイトは小さく息をついてから言った。

――「あいつらに騙されたんだ……残念ながら、これが初めてじゃない。僕は優しくてバカだからさ……兄貴とは大違いだ。あいつはいつも、何をやっても僕より勝っていた。」


ウズミはふと足を止め、穏やかな声で言った。

――「優しさは弱さじゃない……悪いのはお前じゃない、この世界だ。」


カイトは顔を上げ、まるでずっと昔から忘れていた温もりを受け取ったかのように、かすかに微笑んだ。

――「ありがとう……」


それから、まるで古いページを開くかのように深く息を吸い込んだ。

――「いつもの何気ない日だった……兄貴と一緒に森を歩いていたんだ。笑い合いながらね。そしたら、兄貴が何か光るものを見つけて……まるで声に呼ばれるみたいに近づいていった。声をかけたけど……振り返らなかった。」


彼の声は少しずつ小さくなっていった。

――「指輪を拾い、それをはめた瞬間……すべてが変わっちまった。空気も、自分の感覚も、周りの光まで。笑い声をあげたけど……それはあいつの笑い声じゃなかった。その身体に巣食う、別の何者かの笑い声だった。」


震える声で彼は話を続けた。

――「ほんの一瞬だった。そして動きを止め、何かに気づいたように……人間離れした跳び方で飛び去ったんだ。それきり行方不明さ。だから僕は……探し続けるのをやめなかった。」


二人の間に、ただ道の石を踏む足音だけが静寂を埋めていった。

ウズミはカイトに深い眼差しを向けた。何も言わなかったが……この若者の中に、ただの作り話ではない何かを感じ取っていた。


ウズミは道の真ん中でふと足を止めました。まるで足を踏み出す前に、心臓の鼓動が何かを拒んだかのように。

カイトもそれに倣って立ち止まり、顔には驚きの色が浮かんでいた。

「どうしたんだよ?」


ウズミは彼を深く見据え、穏やかだがどこか哀愁を帯びた声で言った。

「忘れておけ、カイト。お前に兄貴は見つけられない……この道はお前にとって大きすぎる。家に帰れ。」


カイトの顔にショックの色が走り、やがて抑えきれない怒りが声を震わせた。

「馬鹿にしてるのか?! たとえ命を引き換えにしても、絶対に帰らない!」


ウズミは一瞬沈黙し、それからよく知る性質に根負けしたように、ゆっくりと息をついた。

「だからこそ……俺は頑固者が嫌いなんだ。」

それから、まるで会話が別の方向へ変わるかのように軽く体を翻した。

「手合わせでもどうだ?」


カイトは驚きでまばたきをした。

「手合わせ? 一体どういう……」


ウズミは両手をポケットに突っ込み、落ち着いた自信満々の口調で言った。

「お前の行く手には敵が立ち塞がる……俺より遥かに強い連中がな。

お前がそいつらを越えられることを俺に証明してみせろ。かかってこい。俺を倒せたら……

望むものをくれてやる。だが、負けたら……おとなしく家へ帰れ。二度と口出しするな。」


挑戦状は明白だった。たとえ結果が目に見えていようとも、カイトに引き下がる選択肢はなかった。


彼は身構え、戦闘態勢に入った。その瞳には確固たる決意の光が宿っていた。

だが、攻撃を仕掛けるより早く、ウズミの姿が目の前から消えた――。

瞬く間に背後へ回り込み、その声は静かだったが、容赦ない冷酷さを孕んでいた。

「遅い……遅すぎる。」


何が起きたのかカイトが理解する間もなく、みぞおちに激しい一撃を受け、

なす術もなく地面へと叩きつけられた――。


ウズミは呼吸を整えさせることすらせず、容赦なく飛びかかった。その顔には一切の感情がなかった。

襟首を掴み、正確かつ強力な連続の拳でその顔面を打ち据えた。そこに恨みはなかったが、まるで相手のプライドを粉々に打ち砕こうとしているかのようだった。


その一発一発と共に、ウズミは言葉なき声でこう告げているかのようだった。

――「これはただの兄探しじゃない……夢見る者たちを引き裂く残酷な世界なのだと。」


人で賑わう路地裏、傾きかけた夕日の下で、ウズミは地面に倒れ伏すカイトの傍らに立っていた。

カイトの顔は度重なる殴打で腫れ上がり、口元や鼻から血が流れていたが……それでも彼の瞳は戦意を失っていなかった。なおも、「諦めない」と訴えかけていた。


途切れ途切れの、震える唇の隙間から、かろうじて声が漏れた。


「ふざけるな……止まるもんか……絶対……諦めない……」


ウズミはふと動きを止めた。地面に横たわる少年を見つめる彼の瞳に、静かな影が落ちる。それは怒りの眼差しではなく……理解の眼差しだった。


ウズミは悟った……カイトの執念、どんなに痛みに満ちていようとも前へ進もうとする意志は、決して空虚な勇気などではないことを。


彼は軽く息をつき、呟いた。


「れっきとした頑固者め……昔知っていた誰かにそっくりだ。」


静かに膝をつき、まるで訓練中に倒れた仲間を担ぐかのように、そっとカイトを肩に担ぎ上げた。


周囲の人々が足を止め、息を呑む者や驚きで見つめる者もいたが、誰も近づこうとはしなかった。


---


重いカーテンの隙間から差し込む陽光に包まれた静かな部屋で、カイトはゆっくりと目を開けた。


四肢にはかすかな痺れが残り、内なる声が彼に生きていることを告げていた――どうやって生き延びたのかは定かではないが、確かに生きている。


起き上がろうとしたが、筋肉がそれに反発し、包帯に包まれた身体が動きを拒んだ。しばらくぼんやりと白い天井を見つめていると、栗色の柔らかい髪をした優しい笑顔の女性が近づいてきた。


彼女は静かに言った。


「生きてる……正直、驚きだわ。」


彼は半分開いた目で彼女を見つめ、かろうじて聞き取れる声で尋ねた。

「ここは……どこだ?」


彼女は枕の位置を直しつつ答えた。

「心配しないで、ここはキサラの家よ。」


「キサラ?」

聞き慣れない名を口の中で呟き、それから怪訝そうに問いかけた。

「で、あなたは……誰なんだ?」


彼女は水差しを持ち上げながら、優しく微笑んで言った。

「私はリカ。ここで働いているの。」


彼女を見つめる時間が、ほんの一瞬止まったかのように感じられ、彼は呟いた。

「ウズミに……ボコボコにされたのに……助けてくれたのか?」


その名前を聞いてリカはわずかにたじろいだものの、すぐに愛らしい笑みへと戻り、返事はしなかった。


カイトの呼吸が落ち着き、その視線は静かに彼を見守るリカへと定まった。


彼女は柔らかな声で尋ねた。

「立てそう?」


痛みを隠すようにかすかな笑みを浮かべながら、彼は答えた。

「ああ、たぶん……いける。」


彼女はしっかりと見据えながら付け加えた。

「あなたに会いたがっている人がいるの。」


一瞬動きが凍りついた。そうなる予感はあったものの、確認せずにはいられないとばかりに、その疑問が自然と口をついて出た。

「誰が?」


彼女は意味深な笑みを浮かべたまま振り返り、こう言った。

「ついてきて……すぐにわかるわ。」


彼女が軽やかに先を歩き始めると、カイトは重い身体を引きずり、一歩一歩痛みに耐えながらその背中を追った。


敷居を跨いだ瞬間、彼は驚きで目を見開いた――そこに広がっていたのは「家」などではなく、贅を極めた小さな宮殿だった。眩いばかりの白い壁に美しい金の装飾が映え、頭上には星のように輝くシャンデリアが吊るされている。鏡のように磨き上げられた床には二人の姿が映り込んでいた。隅々まで手入れが行き届き、贅沢と洗練が細部にまで宿っていた。


「これが家?」

カイトは皮肉交じりに心の中で呟いた。自分の知る「家」という言葉の定義からは程遠いと感じていた。


「家、だってさ……」

冗談か何かのように、頭の中でその言葉を繰り返す。

「宮殿の間違いだろ……いや、下手な宮殿より綺麗じゃないか。」


彼の胸中は驚愕と感嘆の入り交じった感情で満たされていた。


リカが軽やかでエレガントな足取りで部屋へ先に入ると、まだ宮殿の細部に目を奪われ、まるで夢の世界に迷い込んだかのようにキョロキョロと見回しながらカイトが続いた。


広間へと続く扉は大きく開け放たれており、リカは楽しげな、どこか茶目っ気を含んだ声でこう告げた。


「おやおや、遊び人さん、坊やがお目覚めですよ!」


---


カイトはリカの後を追って、ちゅうちょがちな足取りで部屋に入った。豪華な赤いソファに腰掛けた男の姿が目に飛び込んできた瞬間、彼は驚きで両目を見開いた。


そこには威厳をまとったウズミがいた。赤い上質な服を身にまとい、足を組み、まるで数時間前すれすれのところで自分を殺しかけた男とは信じられないほど、静寂と落ち着いた雰囲気を漂わせていた。


ウズミは穏やかに微笑み、温かい眼差しでカイトを見て言った。

――「よく来たな、石頭(いしあたま)の坊っちゃん。」


カイトは息を呑み、驚いて声を張り上げた。

――「おい! あんたかよ?! なんであんな乱暴に殴ったんだよ!?」


ウズミは短く柔らかく笑うと、少し体を前に傾け、落ち着いた響きの中にどこか皮肉を混ぜた口調で言った。

――「実はな……お前を殺すつもりだった。」


少し間を置いて、カイトの衝撃を受けた顔を楽しんでいるかのように、ニヤリと笑って続けた。

――「だが……お前のその頑固さと同じくらい硬い頭が、それを防いだらしい。」


カイトは呆然として立ち尽くし、怒るべきか笑うべきか分からなかった。一方、ウズミは片方の眉を上げて静かに尋ねた。

――「この答えで十分か?」


しばらく沈黙が漂ったのち、カイトは小さく呟いた。

――「あんた、イカれてるよ……」


ウズミは優雅かつ滑らかにソファから立ち上がり、青々とした庭園を見下ろす大きな窓へと半分ほど向きを変えた。庭の木々や満開の桜の花びらが、朝の心地よいそよ風に揺られて舞っている。彼は両手を後ろに組み、風のささやきを聞き取るかのように、黙って木々と花々を見つめた。


それから、低いがはっきりとした声で言った。

――「リカ……何か新しい情報は?」


リカは数歩進んで彼の脇に立ち、引き締まった声で答えた。

――「街の西側の外れで、不審な動きがあったとの報告が入っています。常軌を逸した力を持つ男の噂ですが……まだ確認は取れていません。」


ウズミは答えず、わずかに目を細めた。その言葉の中に何か引っかかるものでもあるかのようだった。陽光が彼の横顔を照らし出し、その魅力的で凛とした雰囲気を一層際立たせていた。


まだその場に立ち尽くしているカイトは、二人を黙って見つめながら心の中で思った。

――「一体、こいつらは何者なんだ……?」


だが、考えをまとめる間もなく――


ウズミは長い間庭園を見つめたまま、やがて少しトーンを変えた静かな声で言った。

――「なるほど……で、『氷の少女』の方はどうだ?」


リカは視線を彼に向け、慎重な口調で返した。

――「どうやら……あなたを探しているようです。それも、猛烈な勢いで。」


ウズミの表情が変わることはなかったが、どこか茶目っ気を含んだ小さな笑みを浮かべ、聞き取れるかほどの声で呟いた。

――「これからの数日間は……退屈せずに済みそうだな。」


それから窓から背を向け、黒髪を外からの風に揺らしながら、ゆっくりとカイトの方へ歩き出した。


この格式高い宮殿の真ん中にたたずむカイトは、自分がこの場所にふさわしくないと感じていた。眩い白い壁、金の装飾、光り輝く床、高級な家具――すべてが洗練を物語っているのに対し、包帯だらけでボロボロの服を着た自分は、まるで別の世界から紛れ込んだ者のようだった。


気まずさが胸に込み上げ、彼は一言も発せずにそっと視線を落とした。

だが、言葉にする必要はなかった……ウズミは一目でそれを察したのだ。


ウズミは窓から離れて彼の方を向き、片方の口角を上げて穏やかな声で問いかけた。

――「――まだ、兄貴を探すつもりか?」


カイトはパッと顔を上げ、その瞳には強い決意が宿っていた。

――「決まってるだろ……絶対に諦めない。」


短い静寂が流れた――そのあと、ウズミはどこか切なさを帯びた静かな声で答えた。

――「やれやれ……別の答えを期待していたんだがな。」

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