第10話
私の父親はころころと女を変える人で、幼いころから、男の人に対していい思いをしていなかった。
そんな父親はもうこの世にいないんだし、今はそんな心配しなくていいんじゃないかって思うけど、今でも父親のことは忘れられないでいる。
確か、あれは私が4,5歳くらいの頃だった。
父親は中国人と日本人のハーフである女性と関係を持ち、その女性が何かしらの病気を持っていたため、父親は亡くなってしまった。
女性は自分が病気持ちと知らなかったらしい。
当時は病名とか聞かされても、何の病気かなんてわからないし、病名なんて憶えられない。
その女性は妊娠中だけど、日本でもらった薬でなんとか生き延びていたし、お腹の赤ちゃんも早期発見のおかげで、お医者さんが早めの対処ができて、胎児に何の影響もなく、無事に元気で健康な赤ちゃんを産むことができたと聞いた。
悪く言えば、対処が遅くなれば、母親も胎児も一緒に、病気が進行して、父親と同じ運命を辿るしかなくなるわけだけども。
その時の私に理解していたのは、母親が違う弟か妹のどちらかができるということだった。
私は幼くして初めてのお葬式を行われた。
なぜ、お葬式を行うかはよくわかっていないけども、周囲の大人に言われるがままに参加して、黒い衣装を着て、何となくの記憶しかない。
当時の私は、理由は自身でもわからないけど、黒が嫌いで、「この服、やだ」と平気で言うこともあった。
こんな思い出があった。
ここまでくれば、いじめなんてものと無縁になれると思った。
根拠はないし、また別の誰かからいじめにあうことも予想できる。
だけど、朱莉がまたやってくることなんて、誰が予想したのだろう。
朱莉は、目の前にいた。
「見つけた」
「朱莉?」
「どこ行ってたの?
探したし」
ここは、県外のはずなのにどうして朱莉が来ているの?
「その前に、なんでここにいるの?」
「いるも何も、あんたのストーカーだから。
一生いじめてやると神に誓ったんだ。
今度もいじめたやるから」
こうして、朱莉は去っていた。
まさか、朱莉がストーカーになるなんて。
あの憎き因縁のある朱莉とまだ続くなんて。
こうして、私はちょっと県外に行くだけではだめだと冊子、北海道か沖縄のどちらかに行くことにした。
沖縄に最初に行き、それでも朱莉が来るようなら、北海道に行くことにした。
北海道でもだめなら、アメリカを考えていた。
アメリカは3つの州を候補にしていた。
アメリカのハワイ、ニューヨーク、カリフォルニアのどちらにするかは決まっていない。
私は飛行機で、沖縄に向かった。
沖縄は飛行機に乗らなくてはならないし、朱莉は絶対に来れないと思いたい。
沖縄の人たちは優しかった。
沖縄の通信制高校には、すぐに馴染めた。
沖縄の飲食店でバイトを始めた。
沖縄の時給は高くないけど、やりがいはあった。
そのやりがいが働いている従業員の親切心からだった。
だけど、それも長くは続かなかった。
朱莉が私と仲のいいバイト仲間を刺したことから、私はバイトを辞めることになった。
朱莉は沖縄に来ていた。
どうやって来たかはわからないけど、わかることはある。
朱莉は指名手配を沖縄でされて、逃走中だということだった。
私はこわくなって、北海道に引っ越した。
北海道は寒かった。
寒いことが苦手な私には過ごしにくい場所だった。




