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「なんか、肩に力はいってるよ……」
不安げなワープの声だった。
「うっさいな! 集中できンじゃん!」
荒っぽく返すドールだった――
ドライバーを交代して走り出した二人なのであった。
八尾川沿いのルートに戻った二人だった。そこまではよかった。そこまではよかったのだが――
「あ――」
ドール、あっけなく――
スクーターを転倒させてしまったのだった。
二人は機敏にも飛び、転げるようにして逃げ、無傷で済んだものの、車体の方は音を立ててアスファルトに擦れてしまった。引き起こすとカバーにガリガリとした傷痕だ。
「あ~あ……」さすがにへこむドールだった。「車両保険に入ってたっけ……?」声も弱々しい。
「いいよいいよ。川に落とさなかっただけまし……」とおおようにワープ。「旅のさいごに帳尻あわすから……」
相方に慰められ、情けなさそうな顔するドールに、ワープが笑顔でトドメの言葉をかける。
「それにしても、意外にきみは、運動音痴だったんだねぇ……」にっこり。
ドール、すぐに反発したのだった。「ウンチゆーな!」顔を赤らめ、
「運転が苦手なだけだ。それに、今回はキミがくすぐったからだろう!」可愛いことを毅然と言い、無実を主張する。
「ただ腰に手を回してただけだよ……」
「敏感なんだよ!」弱点を自らバクロして、もう耳までまっ赤だ。
「くすぐったがり屋さんなんだねぇ、困ったねぇ、あはは……」
「~~……!」
顔に片手するドールなのであった。
というわけで、またしてもドライバーを交代したコンビなのだった。




