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黒線が二人の実走ログ。(実際は表示されない)
10:00少し前、隠岐牛突きドーム到着! たったこれだけの距離に、なんでこんなに時間がかかるんだ、というドールの嘆きがあったのだった。
駐輪場にスクーターを停め、二人して見上げる全天候型木造ドーム式牛突き場……。
大きいというか、小さい、というか……存在感はさすがに雰囲気があるのだが、いかんせん、人気がない。入り口から中に入ると、がらんとしたものだった。
番組表である看板を見る。
「『観光牛突き』開催日時……今週は、昨日のPM2時からのが一つのみ。残念、もう……」
言葉が消える。せっかく来たのに、という思いがわくものの、これも旅、という割り切りの感情も働く。心は複雑だった。
とりあえず、最低限、“来た”という証拠の画像を撮らなきゃ……。
そう思った時だった。
「おい」
と呼ばれた。振り向くと――
ピュンッ。
屋内から見える、玄関から外、薄暗く――それもそのはず、雨が降っていたのだから。
「え、え、え――?!」
「おい」――また呼ばれた。
顔を向けると、ニマニマしたドールだ。パムホを片手に窓口に立っている。
「小学生は650エンだそうだ。自分の分は自分で、ちゃんと払えよ!」
「え、え、え――?!」
そのとき、背後から聞こえる歓声と、獣くささ。そしてドワッ――としか、表現のしようがない空気がぶつかってくる。振り返ると――
1トンはあるんじゃなかろうか、という黒和牛が二頭、肉音骨音響かせて、大迫力にも角突き合っていたのだった!
厳しく煽る綱取りの男衆の声――! わき上がる歓声! 吹く熱気!!!
「さっきまでカラだったのに……?!」
「お金を払ってなかったからだろ、ウフフ!」
そう会話を受ける、得意げなドールだった。




