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魔王城でスローライフ〜勇者パーティを追放されたので可愛い魔王たちとのんびり暮らします〜  作者: マグローK
第二章 王国崩壊

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第10話 対オオカミ決着

「気づいた褒美に教えてやる」


 俺は、分身体を消した。


「……っ! まさか分身と戦わされていたとは思いもしなかったよ」

「俺に気づいただけすごいさ」

「癪に障る話し方だね。もう勝ったつもりってことかい?」


 図星だ。

 事実考えているのだが、問題は、どうやってあまり傷つけずに生きたまま捕えるか、だ。


 捕まえるのは殺すよりも労力がかかるからな。できればおとなしく言うことを聞いてくれる形がいいのだが……。


「ふっ! あっ?」

「こうか?」


 何も音がしない。勘が鋭い。


 壁を出すタイミングを察知して攻撃を止めるとは。


「残念だったね。大技はそう連発できないだろう? ん?」


 雨、沼地化。動きの鈍りで接近を止める。


 これでもまだ動き回るか。

 どうやら戦闘センスがずば抜けているらしい。それだけに特に芸がないのが惜しい。


「これほどの実力で、存在がさほど知られていないなんてな」

「あん? それがどうしたってんだ。知られてないのの何が悪い。育ちが悪いことがバレるってか!」


 どうやら本人の触れてほしくないことだったみたいだ。


 動きに粗が増えた。


 が、やはりといったところ。センスも動きもよかったが、どれも荒削り。おそらくスキルを扱えていないのだろう。優秀なスキルは勇者たちのように、家系として持つことが一般的。

 特に知らなければ目の前のオオカミ女のように、自分の体と力の限り戦うことになる。つまるところ、単なる身体能力だけということだ。


 しかし、特に優れた血統でないにも関わらず、ここまでの実力ならば、何か持っていてもおかしくない。

 指導者に恵まれずにこれなら、これからもっと化けるかもしれない。


 ただの情報源にするには惜しい。

 パトラには悪いが、このオオカミ女は戦力として引き入れるべきだ。獣人の好物はなんだったか。

 いや、今から出しても警戒されるだけか……。


 俺は、壁を消し、相手の足場を沼地にした後、即座に固めた。さらに、盛り上げた土で腕を拘束する。

 ここまで一瞬の出来事。

 音もなく移動していたオオカミ女は、無力にも驚き目を見開くばかりだ。


「いったい何をしやがった!」

「実力がわかったからな。もう戦闘の必要はないと思って拘束させてもらった」

「ふっ。ここまでの実力差だったのか…………そりゃ、あたしに任せるって話だ……」


 さすがに土で動けなくさせられるのは初めてだったのか、先ほどまでの威勢はどこかへ消えてしまったようだ。うなだれ、諦めたように微かな笑みを浮かべている。


 だが、相手が先に攻めようとしたんだ。これくらいは許してもらおう。


「さて」


 俺はオオカミ女のアゴに手を当て、顔を持ち上げた。


「……キスでもするのか。あんた、あたしがいいなんて変わった趣味だな」

「そうじゃない。それに、別にお前を好きというヤツもいるだろう」

「どうだか……」

「そもそも、そんな話じゃない。俺はお前が欲しい」

「……は?」

「お前は何が欲しい?」

「いや、いや待て。あたしはお前の命を狙った張本人だぞ? 相手が誰かわかってて言ってるのか?」

「もちろんだ」


 こんな取引も初めてなのか、目を泳がせて考えだした。


 疑われても仕方がない。だが、どうしても戦力にして手元に置いておきたい。

 拘束こそしたが、俺も誰も特に被害を受けていない。何かするほどの被害は正直受けていない。

 どんな気持ちで来たかまでは知らないが、もし仮に金で動いているのだとしたら、そうだとしたら……。


「……信じられないな。あたしの命を簡単にどうこうできるあんたに、あたしができることなんてないはずだ」

「ならば言い方を変えよう。俺が勝ったんだ。お前を飼ってやる。国よりいい環境で過ごす権利を約束しよう」

「だから」

「先ほどの言葉はどういう意味で言ったのかわからないが、俺はかわいい顔してると思う。それに、洗えばもっとキレイになるんじゃないか?」

「は、はあっ!? あんた本当に何言い出してんだ! あ、あたしがかわいいぃ? キレイィ?」

「あ、ああ」


 やばい。またミスってしまったみたいだ。


 こういうのはきっとパトラとかに任せた方がよかったんだ。


 焦ったなぁ。


 服従するくらいなら死をみたいにならないといいけど……。


「……それ、本当だろうな」

「もちろんだ。仲間になれ。この実力は正当に評価されるべきだ」

「あたしは負けたんだぞ? 実力不足の間違いじゃないか?」

「疑り深いな。もちろん。俺には勝てなかった。だが、俺は無限にはいない。だから実力者が欲しい。もっとも、国のために死ぬと言うなら俺は止めないが」

「…………」


 目だけ伏せるオオカミさん。


 やっぱりダメだった気がする。

 強者として接しないとと思ったが、それがそもそもの失敗だったか。


 オオカミ女がしばしの逡巡の末口を開いた。


「……わかった」

「え」

「わかったって言ってんだよ!」

「本当か?」


 オオカミ女は急に黙り込むと、顔を真っ赤にしてまっすぐ見つめてきた。


「ぜひとも仲間にしてくれ!」

「ああ。よろしく」


 なんだか、俺への視線が変わったような……。


 いや、気のせいだな。達成に気が大きくなってるだけだ。


 むしろ、表情、態度の急変が怖いが、反抗を起こすには実力不足だ。中に入られても問題はない。

 まあ、そんなことにはならないだろうが。

新作を書きました。


「ピンチの美少女に憑依して勝手にバズらせていたら助けた美少女に住所特定されたんだが」

https://ncode.syosetu.com/n7719jq/

憑依ダンジョン配信ものです。


よければよろしくお願いします。

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