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魔王城でスローライフ〜勇者パーティを追放されたので可愛い魔王たちとのんびり暮らします〜  作者: マグローK
第二章 王国崩壊

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第11話 オオカミをキレイキレイ

 オオカミを、俺の部屋まで連れてきた。


 本当に、人が変わってしまったように、俺の部屋までおとなしくついてきた。


 やたらとしっぽを振っているのだが、味方に合図を送っているわけじゃないよな……?


 近くに、オオカミ以外の見知らぬ反応はないし、尻尾が見える範囲にクソクはいない。


 後ろから刺されることもなく、無事、俺の部屋まで戻ることができた。


 こうなると、ちょっと拍子抜けだ。


「まあ、何もないが、少しの間、ゆっくりしていてくれ」


「ゆ、ゆっくりって……。そ、それで? わざわざ部屋に連れ込んで、何する気さ!」


「別に、何ってわけじゃないんだけどな。ただ、もうすぐ来るとは思う」


「もうすぐ? 来る?」


 オオカミは、落ち着かない様子で、部屋のものを見て回っては、においを嗅いでいるようだ。


 オオカミのような見かけをしている分、鼻がいいのか、新しい場所のにおいが、気になるということだろうか。


 俺は、彼女について、詳しいわけじゃないから、細かいことはわからないが、暴れないなら好きにさせていいはずだ。


 しかし、思ったより遅いな。


 この魔王城で、一際強い反応が、俺の部屋に迫っていることは、確かなんだが……。


「待った? 待ってないよね? すぐだもんね!」


「ああ。そんなに待ってない」


 入ってきたのは、もちろん魔王パトラだ。


「獣人の女の子が仲間になってくれるって話、本当?」


「ああ。あそこに、ってあれ? いない……」


「……あれは誰だ?」


「あ、そこにいたのか」


 オオカミは、俺以外のことを警戒しているのか、俺の背中にピタリとくっつき、パトラの様子をうかがっている。


「そんなに怖がらなくても大丈夫だぞ?」


「本当か……?」


「すっかり懐かれちゃったみたいだね。あなた、お名前は?」


「……」


「そういえば、俺も聞いてないな」


「そうか……」


 戦闘時の、はつらつとした様子をどこへ置いてきたのか、オオカミは、パッと立ち上がったかと思うと、今度は、迷ったようにうつむいた。


 それから、少しの間、口をぱくぱくさせてから、深呼吸してこちらを見てきた。


「ルグレーだ。ただのルグレー」


「ルグレーちゃんかー。よろしくね? 私はパトラ」


「ああ。よろしく、パトラ」


「俺はカイセイだ。よろしくな」


「よろしく! カイセイ!」


「なんか私とカイセイで態度違くない?」


「パトラが驚かせたからだろ。ルグレー、大丈夫だよ。パトラは魔王だけど、いいやつだから」


「魔王だけどって、まあ、そうだけど……」


「マオウ……?」


 ルグレーは、キョトンとした顔で、首をかしげた。


 すると今度は、大きく目を見開いて、勢いよく飛びのいた。


「ま、魔王!? どう見ても人間じゃないか! まさか、嘘を流させるつもりでこんな演技をしてたのか?」


「違う違う。知られてないだけで、今はパトラが魔王なんだよ」


「わざわざ魔王が変わったとか言わないからね。この魔王城内くらいでしか知らないと思うよ」


 またしても驚いたのか、ルグレーはその場にへたり込んでしまった。


「どうした? 大丈夫か?」


「いや、あたしは本当に、狭い世界のことしか知らなかったんだな、と思ってさ」


「それなら、少しずつ知っていけばいいんだ」


「そうそう。私だって、まだまだ知らないことばっかりだし」


「ありがとう」


 パトラのことにも少し慣れてきたのか、ルグレーは少しリラックスした様子で笑っている。


 短い間だが、これはパトラの人徳だな。


「って、違うよ! そんな話をしに来たんじゃないって。ルグレーちゃんをキレイにしないと」


「あたしをキレイに?」


「ああ。ルグレーから話を聞きたいが、すぐに聞くのは悪いかと思ってな。疲れてるだろう?」


「いや、そんなことはないが」


「遠慮しないの。るグレーちゃんも女の子なんだから。戦った後はケアが重要。カイセイは見ちゃダメだからね」


「じゃあ、なんで俺の部屋なんだよ」


「カイセイの部屋が、一番、シャワールームが整ってるから」


「そうなのか?」


「シャワー……。水か?」


「ルグレーちゃんは水苦手? でも、大丈夫だよ。少しの間だから、じっとしててね」


「ま、待て。何をする気だ? ひゃめへぇ」


 二人は俺の部屋でシャワールームに入って行った。


 少し、声が漏れて聞こえてくる。


 どこかへ出かけていてもいいのだが、誰かが入ってこられると困るし、ここは、壁でも作って少し気をそらしておくかな。






「ぶるるるるるるるるる!」


 シャワールームから出てくると、ルグレーは、すっかり汚れの取れたツヤツヤの髪に、キレイな肌へと生まれ変わっていた。


 くすんでいた茶色の目にも、光が戻っているように見える。


「元からかわいいお顔をしてたから、ちょっとキレイにすれば光ると思ってたけど、やっぱり、私の目に狂いはなかったね」


「あ、あたしがかわいいって? はは。それはさすがに、何かの冗談だろう?」


「かわいいよー。ね、カイセイ」


「ああ。俺もそう思うぞ」


「そう、なのか? あたしが、かわいい……」


 言われ慣れていないのか、ルグレーは目を泳がせて赤くなっている。


 そんな様子も、かわいらしいと言えるんじゃないか?


「ふふっ。ちょっと気分が上がってきちゃった。こうなったら、もっとかわいくしたくなっちゃうよね!」

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