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魔王城でスローライフ〜勇者パーティを追放されたので可愛い魔王たちとのんびり暮らします〜  作者: マグローK
第二章 王国崩壊

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第7話 いざ魔王城へ:オオカミ視点

 オーサマから直々に勇者の仲間と魔王の首を頼まれた訳だけど、どうしようかねぇ?


「まあ、あたしに断るなんて道はハナからないんだけどさ」


 あたしはスラム街の育ちで、これまでまともな生活はしてこなかった。

 実力があれば、成り上がれる今の環境を利用しない手立てはない。実力を証明し成り上がっている間は金だって入ってくる。

 今までだってそうやって実力をつけて、持ってるやつらから奪ってきたんだ。


 ただ、いかんせんオーサマの城から魔王城、今はそれを取り囲む嵐までの道が長いから、どうしたものかと思ってしまう。


「暇すぎるってのも問題だねぇ」


 あたしは誰かとパーティを組んでるわけでもないから、こんな移動時間は暇だ。

 作戦を練るってのもあたしの柄じゃない。一度やろうとしたことはあるが、敵を目の前にしたら何をやるか忘れて結局いつも通り泥臭く戦うだけだった。相手が坊っちゃんならあたしのやり方のが案外うまくいく。


 まあ、何も考えないとなると、どちらにせよ着くまでは大人しくしておくしかないんだけどさ。それにしても退屈だね。

 足で走って行くには遠すぎる。御者のおっさんと二人か。


「なあ、アンタ。芸の一つでもして見せてくれよ」

「え!? いやぁ、今は手綱を握ってないといけないもんで」

「いいから見せてみなよ。別にこっち見ないでもできることくらいあるんだろう?」


 こうやって暇な客の相手をするのも御者の仕事のはずだ。

 なら、面白い芸の一つや二つ誰だって身につけているんじゃないかい?

 客席の空いてる分まで国が金を払っているはずだし、何か求めたって別にバチは当たりやしない。

 そもそも、あたしに対して何か芸を見せた御者というのは見たことないが、他の客に何か話している御者なら見たことがある。


「え、ええと……そう、ですね……」


 歯切れの悪い中でも、あたしの勘は間違いじゃなかったとわかった。

 どうやらどれをやろうか迷っているだけみたいだ。

 やっぱりあるんじゃないかい。

 ダラダラ汗をかく中年小太りの男を見ていると少し腹が立っていたが、そんな気分も少しだけ紛れてくる。

 どっかのオーサマの姿がチラついてイライラしたが、焦っていい顔をするじゃないか。


「えー、では、オークのモノマネを一つ。フゴッ! フゴゴッ! フゴッフゴッ!」

「あっははっ! これは傑作だね。サイコーだよ。サイコー」

「ほ、本当ですか!?」

「行きの間の命だけは保証してやるよ」

「あ、ありがとうございます! いやぁ、これまでもお客さんに大絶賛で練習している甲斐がありました」


 客を楽しませるためにそこまでしてるとはね。意外だったけど、通りで見れる芸なわけだ。

 しかし、あそこまでそっくりならいっそ旅芸人にでもなればいいと思うんだけどね。まあ、退屈しのぎと芸人とじゃ話が違うか。


「フゴッ……よ、よかった……フゴ」


 声を震わせながら、未だに真似をしているのかフゴフゴと鼻を鳴らしている御者のおっさん。

 これじゃあ真似をしているというよりも素じゃないのかと疑ってしまう。

 よく考えればオーサマもやたらとフンフン鼻息を吐いているしこんなものなのかもしれない。


 が、もう飽きた。モノマネについて考えるのもめんどくさい。


 景色はほとんど変わっていない。つまらない芸を見せられた間もさほど時間は経っていなかったみたいだ。


「あーあ、嫌になる。で、誰だっけ? あぁ、勇者ね。一度手合わせしたはずだけど、そんなに記憶にないな」


 そんなやつの仲間と言えば貧弱、魔王城についても死んでるんじゃないかと思うが、どうしてわざわざ抹消なんかしなくちゃいけないのかね?

 まあ、こんなことあたしの考えることじゃないけどさ。

 しっかりとやることやってお金がもらえればそれでいいさ。


「どーせ、オーサマは今回も相打ちがお望みだ。いつだって普通なら帰ってこられないような課題しか与えてこない。けれど、あたしはいつだって帰ってきてやった。だから、嫌な顔されてもあたしはあたしとして生きていられる」


 もう二度とあんな地獄みたいな環境に落ちてたまるか。

 生きていても死んでるような、終わってないのに諦めたやつばかりのあんなところは二度とごめんだ。

 使えるものは使う、奪って奪って奪って、どれだけ血生臭くたって生き残れるならマシだ。


「手元に置いておかないと危険だが、置いておくのも危険とか思ってるんだろ?」

「はい? 何かおっしゃいましたか? また芸がお望みですか? では、今度は」

「だまりな」

「ヒィッ! す、すみません!」


 ニヤついた笑いを浮かべながら振り返ってきた御者のおっさんはビビったように黙って前だけ見ている。

 別に人としてこいつが気に入ったわけじゃないんだが、簡単に勘違いしてやらぁ。

 本当に、人を転がすのは面白い。


「オーサマもこんな風に転がせたらいいんだがな」


 わざわざ新しい勇者というものを探してまで何か企んでたみたいだけど、それを捨ててまであたしを使おうってんだ。今回のことは絶対に何かある。

 どうせ魔王城なんて危険地帯だ。

 ま、ドラゴンの山やら悪魔の谷よりはラクかね。

 しっかし、あたしはしぼり取るだけしぼり取って好きに生きるだけだけどね。


「今回は、楽しませてくれよ?」

新作を書きました。


「TSしたダンジョン配信者は無自覚で無双する〜かわいい見た目と超絶スキルで美少女をイレギュラーから救いバズりの嵐を生む〜」

https://ncode.syosetu.com/n8448jc/


よろしくお願いします。

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