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魔王城でスローライフ〜勇者パーティを追放されたので可愛い魔王たちとのんびり暮らします〜  作者: マグローK
第二章 王国崩壊

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第6話 王直属の兵を出す:王視点

「やはりダメか……」


 どんな大言壮語を吐いていても、所詮名も知れぬ一般人。期待はしていなかったが、誰も報告に来ないことを思うと皆すべからく入る前にやられたか、入れても戻ってこれないか。

 それで、相打ちにでもなってくれていればいいが、誰かしら帰ってこなければ確認もできない。

 何にせよ。どいつもこいつも役立たずだったというだけの話。


「はあ。この国にはどうして揃いも揃って役立たずしかいないのか……」

「いかがなさいましょうか」


 目の前の召使の首を差し出せば今の窮地、問題が全て解決するといいのだが、そんな単純な話ではない。

 黒魔術を行うとしても、もっと多くの生贄が必要だ。

 身が滅んではどれだけよいものを持っていても無意味だ。


「仕方がない。オオカミを出せ」

「王よ。しかし、あのお方は」

「構わん! 直属の護衛を外に出すのははばかられるが、切るならば、アイツが最初に切り捨てるべき捨て駒だ。いいから呼べい!」

「はっ!」


 どうせ勇者がいないのだ。そこらの冒険者が役立たずである以上、誰かを出さなければならないのだ。

 ならば扱いにくいやつを最初に切るべきだ。

 実力は一番と言っていい。いなくなることは確かに惜しい。だが、亜人の癖に腕だけで上り詰めてきたような輩だ。信用に足りん。

 こういう問題事の解決には昔から向いているのだ。


「お待ちください、ルグレー様。こういったことには手順というものが」

「なんだい。あたしに噛みつこうってのかい?」

「いえ、そういう訳じゃ……」

「オーサマ。なんだ? あたしに頼みってのは」

「すみません王よ。このような無礼を」


 ドレスコードなぞお構いなしの不潔な格好。

 つい先程まで戦っていたのではと思われるような血で汚れた衣服。

 女とは思えないようなツヤのないボサボサの髪。綺麗にしていれば魅力的なプロポーションだが、正直、この国の常識的な男に相手をしたいという男はいないだろう。

 言葉遣いも雑で腹が立つことこの上ないが、実力は本物。

 目の前のルグレーと呼ばれた女こそ、この国一の戦闘狂。通称オオカミだ。


「構わん。それくらいわかっていて頼むのだからな」

「申し訳ありません」

「それで? 要件は?」


 礼儀も知らない様子で、相も変わらず話しかけてくる。

 怖いもの知らずのこの者がどんな反応をするか、少し楽しみだな。


「今回の場所は魔王城だ。魔王の手に落ちた勇者の仲間。その抹消が仕事だ」

「へー。救出じゃないのかい?」

「問題か?」

「いいや? ただの確認さ」


 つまらないことには気づく。

 ただ、こやつの脳ではどんな問題が起きているかまでは理解できないだろう。


「やらないとは言わないな?」

「もちろんさ。だが、タダでとは言わないだろう?」

「ああ。いつもの十倍でどうだろう?」

「ふーん? つまり、これはたかがいつもの十倍程度の価値しかないってことかい?」


 普段任せている仕事も表立って言えないようなものばかり。

 どれも金で黙らせているが、今の事件が他国に漏れようものなら……。

 今の問題と比べれば、金で踊ってくれるだけラクな相手だな。


「わかった。五十倍で約束しよう」

「なるほどね? まあ、楽しませてもらうよ」


 挨拶もなくオオカミは背を向けた。

 全く、同じ空間にいるのも嫌なやつだ。


「あっ!」


 見た目に似合わぬ甲高い声を出して、ゆったりと歩き出していたオオカミはぴたりと歩みを止めた。

 くるりと回転してこちらを見ると、片頬だけを歪ませて首を切る仕草をしてみせた。


「行く先は魔王城だ。魔王の首を取ってきてもいいんだろう? ずっと勇者だなんだと言ってたもんな? その時はどうなんだ?」

「……わかった。対象の首二つで百五十倍だ」

「了解。このあたしに任せておきな。オーサマ」


 やっと全ての会話を終えたとばかりにオオカミは全速力で城を出て行った。

 そのことを確認した兵の知らせを聞き、みな緊張を解き、初めて胸を撫で下ろす。


「なんて失礼なやつだ」

「全く、あれで王直属の兵の一人であるなど」

「亜人の癖に」


 いなくなった途端、遠くへ向かう背中に向けて口々に罵声が飛び出す。

 どれもこれもわかりきったことであり、うなずける内容だが、これで実力だけはあるからこそ、誰もその場では指摘できない。みな、襲われるのが怖いのだ。

 勇者がいなくなり、その家族さえも行方不明となった今、この国最強と言ってもいいであろうオオカミ。

 だからこそ下手に暴れさせれば、それだけで国が滅びかねない。ただの人間相手なら、普通に優秀な衛兵をぶつけておけば済むのだが、優秀すぎる相手にはそうはいかない。

 そして、優秀すぎるやつは置いておくのも一苦労だ。


「これで力を失う程度に弱り、命からがらの状態で帰ってきて、そのうえで全て解決してくれると都合がよいのだが……」


 心からの言葉に兵たちからもそうだそうだと声が上がる。

 国の防衛は手薄になるが、他にも護衛はいる。問題はなかろう。


「ああ。勇者が勝手なことをしなければこのようなことに悩まされることはなかったのだが……」


 忌々しき勇者バドン。そして、カイセイめ。

新作を書きました。


「世界で唯一の天職【配信者】と判明した僕は剣聖一家を追放される〜ジョブの固有スキルで視界を全世界に共有したら、世界中から探し求められてしまう〜」

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よろしくお願いします。

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