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ハルドリア王国軍

 ハルドリア王国軍が前線基地を築いているのは、レクセリン砦から半日ほど離れた平原だった。

 その前線基地の中心地、最も警備が厳しい天幕の中では、集められたハルドリア王国軍の幹部とブラート王が簡易的な机を囲んでいた。


「それで、ジークからの連絡は?」

「有りません。ですが帝国軍からジーク宰相閣下を討ったとの声明が出されております」

「真偽の程は?」

「不明です」

「そうか、ジーク以外の兵も見つからんのか?」

「はい、ジーク宰相閣下と率いていた者達、全て姿を消しました」

「……分かった。今後、ジーク達は戦死したものとする。ファーマーの方はどうなった?」


 何かを飲み込む様にジークの戦死を宣言したブラート王は、もう一方の軍の報告を求める。

 ブラート王自身には既に報告は届いているが、この場での情報の共有の為に敢えて尋ねた。


「別働部隊はユーティア帝国軍と冒険者の混成部隊と遭遇、奮戦虚しく敗退。指揮官のファーマー閣下は部隊を撤退させる為、殿として異名持ちと思われる冒険者2人と交戦、部隊の撤退には成功しましたが、ファーマー閣下は討死致しました」

「……………この一戦は我々の敗北だな」


 呟く様に吐き出されたブラート王の一言に、天幕に集った一同の顔に苦渋の色が見えた。

 しかし、士官が持ってきた情報はそれだけでは無かった。

 つい先程届いた情報だと、前置きして士官は報告する。


「アデル殿下が率いる軍が帝国の国境を越え、真っ直ぐこちらに向かって来ております」

「本当か?」

「はい。アデル殿下は帝国にハルドリア王国の離反軍の征伐の為と、越境を申請していた様ですが、帝国からの許可は無く、アデル殿下は無許可での越境を強行した様です」

「ふむ、アデルの動きに対する帝国の反応はどうだ?」

「無許可での越境に抗議しておりますが、具体的な行動は起こしておりません」

「表向きは抗議しているが、実質は黙認か。

 もしかすると帝国軍と裏で手を結んでいる可能性も考慮する必要があるな」


 ブラート王はしばし瞑目し、今後の方針を決定する。


「帝国軍にはエリザベートが居る。ジークを欠いた今、小細工を弄したとしても無駄となるだろう。

 その上、時間を掛けるとアデルに背後を突かれるか……」


 ブラートはゆっくりと周囲の諸侯や士官を見回した。


「3日後、レクセリン砦に布陣する帝国軍に対して総攻撃を掛ける。

 俺も前線に出る。帝国軍を正面から叩き潰してやろう」

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愚王きわまれりだね
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