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報告

 ルーカス様と共にレクセリン砦に戻る頃には、ハルドリア王国軍の陣地から銅羅が鳴り響き、砦を包囲して攻め立てていた兵士達が波が引く様に撤退して行った。


 砦の補修や負傷者の治療を指示してたオーキスト殿下に時間を取ってもらい報告を行う。

【強欲の魔導書】に収納して持って来た父の遺体をオーキスト殿下に差し出し、事の経緯を説明した。

 私の認識では魔物は倒した物に所有権が有る。

 野盗も同じくだ。

 その考えで行くと、殺した敵兵の死体の所有権も私に有る。

 試しに【強欲の魔導書】を使うと父の死体は何の問題も無く収納された。

【強欲の魔導書】の使用条件で有る『所有権』に関しては少々曖昧な所が有るが、概ね私自身の認識に左右される事が経験として分かっている。


「そうか、ジーク・レイストンを討ち取ったか」

「はい、ジークはハルドリア王国軍の筆頭軍師です。

 今後のハルドリア王国軍の軍事行動に大きな影響が出るでしょう」

「はぁ、本来ならば独断先行を咎める所なのだが、エリー殿は独自裁量権を持つ義勇軍団長。

 その上、義勇軍の編成費や維持費の殆どをエリー殿が負担していて、義勇軍の戦果も十分にある。

 ハルドリア王国軍の重要人物を討ち取った功績も有るから、私からは厳重注意くらいしか出来ないな」

「今後は留意しますわ」

「是非、そうして欲しい」


 オーキスト殿下は、肩を竦めると話を変える。


「それとアデル・ハルドリアか」

「はい」

「ハルドリア王国の侵略を止めに来たと?」

「本人はそう言っておりました」

「なるほど、ハルドリア王国の内部は我々が思っているよりも割れているのかも知れないな」

「そうですね。どうやらアデルはブラート王が出払っている間に国内を掌握した様です。

 配下からは『陛下』と呼ばれていました」

「すでに戴冠していて臣下もそれを認めていると言う事か。……エリー殿から見てアデル殿は信用できるのか?」

「そうですね……アデル自身は善性の人間です。

 しかしながら完全に信用を置いて、命運を共に出来るかと問われれば答えかねる、と言った所でしょうか。

 能力は有りますし、配下にも恵まれている。

 ですが、経験の浅さ故か甘い所が有ります」

「そうか、ならば問題なければ利用し、場合によっては切り捨てるか」


 オーキスト殿下の中で方針が決まったようだ。


「ご苦労だったエリー殿、しばらく休んでくれ」

「はい、ところで殿下。背後を突こうとしていたもう1つの王国軍はどうなりましたか?」


 あちらには、ユウやエルザ達に行って貰った。更には神器使いの帝国貴族に率いられた軍も同行しているので心配はしていない。


「そっちの方も報告が上がって来ている。

 敵軍と戦闘になり、兵に多少の損害は出たが、見事に追い返した。

 義勇軍のユウカとエルザが共闘して敵指揮官を倒したそうだ」

「そうですか。では私はこれで」

「うむ、ご苦労だった」

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[気になる点] ランドル伯爵を討ったのも、手柄なのでは?
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