第26章:欺瞞の解剖
翌朝、早朝の学校は静寂に包まれていた。
ヒナタは再び生徒記録室へと忍び込んだ。胸の鼓動が激しく鳴り響いている。
狭い棚の間を進み、指先で木の感触を確かめながら、昨夜自分で目印をつけておいた隠されたファイルを探した。
そして、ついにそれを見つけると、ファイルを引き抜き、薄暗い明かりの下で開いた。
息が止まった。
彼女の目は書類の上を走り、一行読むたびに大きく見開かれていく。
額に冷たい汗が滲み始めたヒナタは、呟いた。
「これは……いったい何……?」
「この人物のファイル……この学校にある他の全生徒の記録と比べても、あまりにも異常で、前例がない……。」
それから、一ヶ月が何事もなく過ぎた。
そして、決められていた日が訪れた。
私は月に一度の処方薬を受け取るため、再び市立病院へ向かい、医師の前に座った。
背中はリラックスさせていたが、私の目は医師の顔から離れなかった。
その身振りや仕草を分析していたからだ。
医師は私の視線を避けながら、震える両手で私の診療記録をめくっていた。
「さて、カネキ……少し予想外の知らせがある。」
医師はできる限り平静な口調を保とうとしながら、話し始めた。
「先月の医学的な検査結果によると、君の精神状態と身体状態はかなり改善しているように見える。だから、今のところ正式に鎮静剤の投与を延期することになった。君の身体が薬なしの状態にどう反応するのか、一ヶ月だけ観察したいんだ。」
何かを隠しているようだ。
私はすぐにそう結論づけた。
その間にも、頭の中では彼の隠された意図を計算していた。
どうやら、これは彼自身の判断じゃない。俺はこの医師を知っている。彼は真面目な医者だ。
私は少し前へ身を乗り出し、組んだ指に顎を乗せた。
「それで、どうするつもりなんですか、先生? 正直、一ヶ月も薬なしで耐えられるとは思えません。」
「君が心配する気持ちは分かるよ。」
医師は眼鏡を神経質に直しながら、滑らかに嘘をついた。
「だが、どうか薬なしで試してみてほしい。心配する必要はない。何も悪いことは起こらないから。」
「分かりました。」
私は冷たく答えた。
「ですが、それでも万が一の緊急事態に備えて、薬を渡して持って帰らせてほしいです。」
医師は凍りついた。
その目には、内心の恐怖が燃え上がっていた。
なんて恐ろしく頭の切れる少年なんだ……。
医師は絶望的な気持ちで心の中で思った。
たった今、疑いを持たれずに断ることがほとんど不可能な、複雑な反論を突きつけられた……。
医師は苦しそうに唾を飲み込み、急いで防御のための嘘を作り出した。
「分かった……すまない、カネキ。君を不安にさせたくなかったから、あんな話を作ってしまったんだ。この鎮静剤の製造会社が正式に成分を変更することを決定したんだ。最近の評価をもとに、いくつか重要な調整と改良を行うことになってね。」
医師がその拙い作り話を最後まで言い終える前に、私は氷のように冷たい声で遮った。
「自分が恥ずかしくないんですか?」
私は鋭い眼差しで医師を見つめながら尋ねた。
「俺の知能をそこまで低く評価して、馬鹿だと思っているんですか? 昨日、俺が出ていったのとまったく同じタイミングで、あの捜査官があなたの個室に入ってきたことに、俺が気づかないと本気で思ったんですか?」
医師はその場で崩れ落ちた。
完全に姿勢を崩し、絶対的な恐怖に震えていた。
「わ、私は……彼の要求を完全に拒否することができなかったんです! 彼は高位の捜査官なんですよ! もし彼の要求を拒んでいたら、私は間違いなく厳しい法的処分を受け、すべてを失っていたでしょう!」
その瞬間、重い診察室の扉が開いた。
影の中から、同じ男が姿を現し、部屋へ入ってきた。
――捜査官、D・A。
彼は長いコートのポケットに両手を入れたまま、私を見つめ、断固とした口調で言った。
「その通りだ。私が彼に命令した。そして、君はもう二度とその鎮静剤を飲むことはない。」
私は彼へ視線を向けた。
それでも、私の表情は氷の塊のように固まったままだった。
「俺に個人的な恨みでもあるんですか?」
D・Aは謎めいた、挑発するような笑みを浮かべて答えた。
「そんな恨みは持っていない。だが、その後に何が起こるのかをどうしても見てみたいという強い欲求がある。君は、その一見した平静の裏にどんな怪物を隠しているのかを、よく理解しているはずだ。今、私をどうやって殺すか考えているのか? ふっ……なんとも子供じみた考えだ。」
私は軽く皮肉めいたため息を吐きながら、頭の中で新たな心理的な罠を仕掛けていた。
ヒヒヒ……俺は何ヶ月も飲んでいない。医者の前では飲んでいるふりをしていただけだ。何も起きなかった。ヒヒ。
しかし、表面上では敗北と苛立ちを装った。
私は呟いた。
「分かりました。あなたたちの好きなようにしてください。」
そして、彼らを欺くために視線を逸らした。
「でも、俺は二年間、この薬にひどく依存していたんです。だから、あれほど必死に薬を要求していたんです。」
医師は微笑んだ。
自分がついに私の薬への依存度を完全に見抜いたと確信していた。
「そうか。自分自身を納得させたようだな。それなら、少なくとも良かった。」
医師は震える息を吐き、出口へ向かって顎をしゃくった。
「それでは……この決定について、私は責任を負わない。捜査官がその責任を負うことになる。」
私はそれ以上一秒も無駄にせず立ち上がった。
二人に背を向け、そのまま一言も付け加えることなく、静かに病院を後にした。




