第25章:混沌の火花
ヒナタは長いテーブルに座り、生徒会のメンバーたちに囲まれながら、残っていた行政書類を整理していた。
その場は静かで、紙が擦れる音だけが響いていた。
親しい友人の一人が、心配そうな表情でヒナタのほうへ身を寄せた。
「ずいぶん疲れているように見えるわ、ヒナタ。今夜は本当にしっかり休んだほうがいいわ。そうすれば、明日はもっと調子よく動けるでしょう?」
ヒナタは作り笑いを浮かべ、髪の一房を耳の後ろへかき上げた。
「ああ、あなたの言う通りね。最近は一生懸命勉強していたし、それに今週は生徒会の仕事もものすごく多かったから。」
正式に会議が終わり、ほかのメンバーたちが帰っていった後も、ヒナタは家へ帰らなかった。
その代わり、彼女はひっそりと学校内にある立ち入り禁止の生徒記録室へ忍び込んだ。
何年にもわたる機密データで埋め尽くされた、そびえ立つ書棚の中で、彼女は床に座り込み、調査を始めた。
切迫した疑念に突き動かされながら、彼女は一つ、また一つとファイルをめくっていった。
その頃、市立病院では、(D・A)という捜査官が個室の扉を閉め、前へと歩み出ていた。
医師は机から顔を上げ、その男の鋭い顔立ちと長いコートをじっと見つめた。
医師はゆっくりと口を開いた。
「ようこそ。あなたは……刑事か、あるいは捜査官のようですね。」
(D・A)は答えた。
「その通りです。私は難しい事件だけを専門に扱う私立探偵です。」
そう言うと、彼は素早く身分証明書を取り出し、それを再びポケットへしまった。
「私は、通常の警察活動とは大きく異なる、非常に専門性の高い任務を担当しています。」
医師は背もたれに寄りかかりながら、うなずいた。
「なるほど。では、私に何か具体的に手伝ってほしいことでも?」
(D・A)は前へ身を乗り出し、鋭い眼差しで医師を見据えた。
「はい。あなたには強くお願いしたいことがあります。来月、カネキが次に診察を受けに来た際、処方されている鎮静剤を一切投与しないでいただきたい。」
医師の顔から、突然血の気が引いた。彼は慌てて立ち上がった。
「何ですって!? そんなものは完全な犯罪ですよ! 患者の治療を故意に妨害したとなれば、私は重い処分を受け、医師免許まで取り上げられるかもしれない!」
検察官は、冷静で冷たい声で答えた。
「心配はいりません。今回の事件を担当する捜査官として、法的な責任はすべて私が個人的に負います。」
医師はためらい、額には汗が滲んでいた。
「しかし……あなたは、この少年といったいどんな関係があるのですか? なぜ彼を狙うのです?」
検察官は、交渉の余地など一切ないかのように、毅然と答えた。
「ただ、彼から制限を取り除いたとき、いくつかの事柄がどのように進展するのかを観察する必要があるだけです。」
「これは直接の命令だと思ってください。来月の一ヶ月間、彼が何一つ手に入れられないよう、確実にしておくことを期待しています。」
学校では、すでに午後七時を過ぎていた。
外の空は真っ黒に染まり、廊下には人の気配が完全に消えていた。
記録室の中では、ヒナタがいまだに古い書類を必死に調べ続けていた。
そのとき、彼女の目が突然大きく見開かれた。
彼女は息を呑み、色あせたファイルを指で強く握りしめた。
「ああ……ついに、カネキの学校記録を見つけた!」
深い達成感が彼女を包み込んだ。
しかし、内容を詳しく読み始めるよりも前に、強い懐中電灯の光が部屋を照らした。
夜間警備員が入ってきた。
その顔には驚きの色が浮かんでいた。
年老いた警備員は、優しく声をかけた。
「おや、お嬢ちゃん。もうかなり遅い時間だ。荷物をまとめて、すぐに家へ帰りなさい。」
ヒナタは静かに答えた。
「分かりました。今、帰ります。」
彼女はファイルを慎重に閉じ、明日でも簡単に思い出せるよう、棚の隠された区画に正確な場所を定めて戻した。
そして、自分自身に約束した。
「明日、また取りに戻ってこよう。」
コートを羽織り、学校の建物を後にする。
そして彼女は、夜の闇の中へと姿を消した。




