第二十三章:皮肉な過去の残響
突然、予定されていなかった放送が、街中のすべてのテレビ画面とラジオ放送を一斉に遮った。
新たに任命されたFCIの最高指導者が、装飾のない簡素な演壇の後ろに立っていた。
その冷たい目は、カメラをまっすぐ見つめている。
彼は、低く落ち着いた声で話し始めた。
「市民の皆さん、ようこそ。
皆さんの中に、冷酷で容赦のない人物がいることは、私も十分に理解しています。
我々の専門部隊は、三か月もの間、徹底的な捜査を続けてきました。しかし、未だに彼の正体を突き止めることはできていません。
それでも、我々は必ずこの犯罪者を捕らえると約束します。
しかし最近、ある武器から、その所有者とは異なるDNAが検出されました。我々は、この証拠が犯人へと繋がることを願っています。
ですが、その前に彼へ一つ提案があります。
もし犯人が自らの意思で投降するのであれば、慈悲の措置として、刑期をわずか四年の懲役に減刑しましょう。
さらに、最終的には我々の組織に正式なエージェントとして迎え入れる可能性もあります。
これほどの力を持つ人物であれば、我が国にとって間違いなく有益な存在となるでしょう。
皆さん、お時間をいただきありがとうございました。」
そこで放送は突然途切れた。
俺は薄暗い部屋の明かりの中に座り、皮肉めいた邪悪な笑みを浮かべていた。
「俺は、本当にそこまで彼らにとって有益なのか?」
少し考えてから、俺は呟いた。
「そういえば……俺は自分の武器と、あのリーダーの武器以外に、別の武器に触れた覚えがない。」
「しかも、その二つは今も俺の手元にある。」
突然、スマートフォンが鳴り、静寂を破った。
画面にはヒナタの名前が表示されている。
俺は画面をスライドさせ、電話に出た。
「もしもし、カネキ。もしかして、さっきの最新ニュースを聞いた?」
ヒナタは、焦りを滲ませた緊張した声で尋ねてきた。
「聞いた。それがどうした?」
俺は冷たく答えた。
「その提案を受け入れて。」
彼女はすぐに俺へ促した。
「その条件で投降すれば、あなたは高位のエージェントになって、刑務所に入ることすら避けられるかもしれない。」
俺は一瞬黙り、意図的に曖昧な声で答えた。
「情報をありがとう。」
電話の向こうから、鋭い息を呑む音が聞こえた。
「本当に心からお礼を言ったの? 待って……あなたが最後に私へお礼を言ったのって、いつ?」
俺は冷たく答えた。
「たぶん、三十秒前だと思う。」
彼女が次の言葉を口にする前に、俺は電話を切った。
スマートフォンをベッドへ放り投げ、俺は部屋の中を行ったり来たりしながら、最高指導者の演説を正確に分析し始めた。
「これは、完璧に仕組まれた罠だ。」
俺は独り言のように呟いた。
「もし俺が彼らの前に姿を現したとして、彼らが本当に約束を守る可能性は五十パーセントにも満たない。」
「これはただ、俺を檻へ誘い込むための、必死な策略にすぎない。」
「それに……あんな惨めで腐敗した組織のために努力したり、自分の力を使ったりする気なんて、俺には一切ない。」
やがて、疲労が俺を上回った。
「もう寝るか。」
暗闇に包まれると同時に、俺の意識は過去へと戻っていった。
忘れ去られていた記憶の奥深くへと、沈んでいく。
俺は十二歳の頃へ戻っていた。
空気は凍えるほど冷たく、細い身体は激しく震えていた。
俺は目を見開き、原始的な恐怖に襲われながら、目の前に立つ巨大な影を見つめていた。
その正体は、完全に謎に包まれていた。
「カネキ。」
歪んだ声が暗闇の中から響いた。
冷たく、何かを要求するような声だった。
「本当に守る価値があるのは誰なのか、知っているか?」
「自分の血を流してでも、決して後悔しないと思える相手は誰だ?」
俺は小さな傷ついた拳を握り締めた。
そして、その瞳には絶対的な自己中心性を思わせる、恐ろしい表情が浮かんだ。
「俺だ。」
「俺以外の誰でもない。」
突然、俺は目を覚ました。
呼吸が落ち着いていく中、何もない天井を見つめる。
十二歳だった頃の自分の言葉が、呪いのように静かな部屋へ響き続けていた。
「本当に、それが真実なのか?」
俺はそう考えた。
苦い影が、俺の思考を覆っていた。
「……ああ。そうだと思う。」




