5、軍師になれるかなぁ?
不思議と最近は軍師によく怒られる。
それが不満。
不満は、まだまだある。
異世界人は無駄にお金を持ってる。
そして……異世界人は男も女も
私がハグしてあげると喜ぶ。
だから……彼らにハグした私が……
「延長代金くれたらハグ延長するけど、延長しますか?」
と聞く。
とある異世界人から教わった言葉。
すると、大抵は
「うん」
って異世界人は鼻の下をのばす。
のに……
軍師は……
『また、異世界人の、お金をまきあげて……いったい何をしてるのですか? 貴方は!』
と、やっぱり軍師にゲンコツされた。
異世界人と仲良くしろと言ったのは軍師なのにね。
私にハグされた異世界人喜ぶ。
私、喜んだ異世界人から、お金貰う。
お金無くなった異世界人、また働く。
この世界の人、異世界人の活躍に喜ぶ。
(誰も不幸にならない私の行動をなぜ怒る? やっぱりこの軍師、馬鹿なんじゃない?)
いや、忘れていた。
この軍師は私にきっと惚れている。
(そうか!
嫉妬か!
嫉妬なのか?
可愛い奴め!
さぁ私に告白してくるがいい)
とか余裕しゃくしゃくの私。
私のメンタルつよつよ。
奴隷で鍛えられた私のメンタル最強。
軍師も異世界人もイチコロさ。
私は調子にのっている。
ある日
いや〜な異世界人に言い寄られた。
その時は。
「なぁ、お前たち奴隷なんだろう? ちょっと付き合えよ」
たまにいる横柄で嫌な異世界人め。
奴隷だからって、いやらしい目で私を見て軽く見やがって……
(どうしてくれよう?)
「あのね〜。ホントは教えちゃいけない良い事教えてあげるから。私と協力しない?」
「ん??? なんだなんだ?」
嫌な異世界人は……
私の嘘話に食いついてきた。
異世界人は、やっぱり基本チョロい。
「あのね。ここにいるのは皆奴隷なの。でもね。奴隷に手を出さないと、もっと可愛いメイドさんを恋人として紹介されるのよ」
と私は嘘をつく。
「え? ……ま、マジカ?」
「うん。マジ。私達は、いわば雑魚。
奴隷は気に入らない。もっと良い身分の恋人が欲しいって態度してると良いよ。コレ内緒だからね」
「内緒? なぜ?」
「奴隷は安いの。メイドは高いの。
用意されたメイドの数は少ないからね」
私はそれっぽい嘘をつく。
「なるほど」
「他の異世界人にコレがバレたら? 他のイケメン異世界人達にメイド達、全部持っていかれるよ。それじゃアナタは困るでしょ?」
私は、さらに堂々と嘘をつく。
「お、おう確かにな。すっごい良い事聞いた。ありがとう」
嫌な異世界人は大喜び。
この性格だ。
きっと奴隷達からも余りモテ無かったのかも知れないね。
ならば……
「『この国の為に尽くす』。とか適当に忠誠誓う事を言っていたら、この国はアナタに美人メイドの恋人をくれるよ」
私は平気で嘘をつく。
それに簡単に騙される異世界人。
「ま……マジカ? マジでか?」
嫌な異世界人。
面白い程動揺している。
ここまで騙されると面白くなってきた。
「マジよ。私へのお礼は『軍師』に、私の事を褒めて。私を奴隷の身分から解放するように頼んでね。それで私達はウィンウィンよ」
「たったそれだけで良いのか?」
「私達の計画が成功したら。たぶんアナタは恋人をゲット。たぶん私は奴隷から解放される。仮に計画失敗しても、お互いに今のまま。損は無いでしょ?」
成功したら奴隷から解放。
失敗したら今のまま。
軍師に教わった戦法。
「確かにな。分かった。奴隷なのにオマエ頭が良いなぁ」
嫌な異世界人から感心された。
ちょっと良い気分。
(どんなもんだい! 軍師の教えで私は日々賢く成長している)
「じゃあ約束よ」
「ああ。約束だ」
嫌な異世界人と密約を交わしその場をさる
(よし。いっちょあがり)
嫌な男からのアプローチを華麗にかわし、しかも奴隷解放に1歩近づいた私。
私有能。
超有能。
軍師になれるかしら?
あとは……軍師に……
「ねぇねぇ『軍師』様」
『軍師、【様】? 貴方が私に様? 今度は、どんな悪さをしたのですか?』
ば、馬鹿な。
すで軍師に警戒されている。
コヤツ出来る。
さすが軍師。
「悪さなんてして無いよ。私悪い奴隷じゃないよ。あのね。横柄で態度悪い男の異世界人いるじゃん」
と、すかさず本題にうつる私。
「あ〜。いますね。大体誰だかわかります。何かをされましたか?」
軍師も気がついていたか?
「彼さぁ。奴隷が嫌なんだって。メイドさんの恋人が欲しいってさ」
『……はぁ。わがままな』
ヤレヤレと言う軍師。
「でも、あの異世界人は、美人メイドさんの恋人が出来るのなら、この国に忠誠を誓うって言っていたよ。奴隷の恋人は嫌だとも」
『本当ですか!』
パッと目の色を輝かせる軍師。
「うん。美人メイド。しかも始めは性格良さそうで、実は本性性悪な、男を破滅させる性格クソ女がタイプだと、言っていたよ」
と私は嘘をつく。
私をいやらしい目で見た、嫌な異世界人、死すべし。
この世界の女の怖さを知るが良い。
とか思ってたら
軍師がビビってた。
『なぜ……わざわざ、そんな性格を……』
「さぁ? あの異世界人も性格悪いから、同類が好きなんじゃない?」
と、私は、また嘘をつく。
あの横柄な異世界人から、はじめにかけられた侮蔑の言葉。
それと向けられた蔑んだ視線を私は忘れてはいない。私を嫌らしい目で見やがって。
アイツなんて、一見お淑やかを装う、性格クソなメイドに骨の髄までしゃぶられれば良いのだ。
あんま女を舐めんな。
私の内心の怒りを知らない軍師は……
『わかりました。【男を破滅させる性悪美人メイド】ですね。手配します。よくやりましたね。』
手配するんだ。
手配できるんだ?
そんな性悪女用意出来る軍師すげぇ。
そして……軍師に褒められた。
嫌な異世界人を一人破滅させた。
そして軍師に褒められる。
一石二鳥。
私賢い。
軍師になれるかなぁ?




