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第十話 襲来

嫌な音だ。あの時と全く同じ造物が結界を叩き割った時と同じだ。私はみんなを置いて、すぐに外に出て確認する。間違いない、奴だ。


 遅れてみんなもやってくるが青ざめ顔から何が起こったか理解したようだった。特に団長はまた自分を捨ててしまうのではないかと心配していしまうほどには。


 「大丈夫です。ルスベリー先輩、私を私の部屋まで運んでくれませんか。あの剣があればあいつなんて怖くないですから。」


 「それは、君が戦うということか?」


 「ええ、あれは私にしか使えないので。刺し違えてでもです。」


 当然だが死ぬ覚悟はできている。もし、失敗しても相打ちには持っていけるようにしたいところだ。だが、団長はそれを許してくれなさそうな雰囲気だった。それもそうか、これ団長と同じことをしようとしているのか。


 「シアハ。その志は立派だが、君には私たちがいる。少しは頼ってもいいんだぞ。」


 「そうですよ。シアハさん。私もシアハさんと戦いたいですって。」


 二人の言葉に気付かされる。前前世とは全く違うことに。あの時は信じられるのはヴェルツバイとメイールくらいだった。だけれども。


 「俺もだ。シアハが確実に奴を葬れるとしたら、囲んで動けないところを殴ってもらうのがいいだろう。」


 「シアハちゃん。怪我しちゃだめだよ。もし、致命傷を負ったらすぐに治しに行くからね。」


 二人の言葉が私には心強かった。決意は固まり、死なないように、決して一人で戦わないように、そうしよう。団結したかのような気持ちに陥り、ルスベリー先輩の背中に乗せてもらいすぐに私の剣を取りに行く。


 ルスベリー先輩が走りながら、さっきドークスさんが言っていたことをもう一度話してくれる。この人、とてつもない速度で走っているのに大丈夫なのかなと心配してしまう。


 「シアハさん。ドークスさんが言うには基本的には団長が地面に抑えるようにして、周りが離れたところからノームオイル抑制をする。」


 「そこに私が致命傷を与えに行って、」


 「最後に総攻撃を行うと。うまくいけば瞬殺することが可能ですね。」


 簡易的な作戦になってしまうが、造物を抑えるとなると団長くらいにしかできない。それに、簡単に隙を晒してくれるとも限らないからね。奴は油断していると私たちが全滅するほどの強さを持っている。もちろん、私が最強状態になれば瞬殺なんだけど、救都ごと吹き飛ばすからダメかな。


 「そういえば、シアハさん。この作戦だと団長の炎で燃え尽きません?」

 

 「あ、それなら大丈夫。団長の剣って天使にしか扱えないし、天使には聞かないから。私にあの剣で傷をつけるのは不可能だよ。」


 「なんですかそれ反則ですって。」


 「まあ、私たちにはわからないけれど。」


 そんな雑談をしていたらすでに私の部屋についていた。私は中に入り、飾られている剣を取る。やはり、手になじんですごく安心するような感じがある。私はそのまま振り返って、ルスベリー先輩とともに結界外に向かおうとする。


 結界外ではすでに業火が包み込むようにあの造物を身動きできないようにしていた。ただ、あのままやり合い続けてもただ団長が消耗してしまうだけになってしまう。だから、私がこの連鎖を断ち切りに行かなければならない。


 空から見上げる景色は美しく、皆が連携を取って彼の造物を殺さんとしていることはよくわかった。だから創造剣はこの造物を消し炭にする。


 「ごめんなさい。次、作るときは優しい生物にしてあげるから。」


 そう一言つぶやいて空から隕石が落ちるかのように造物を貫く。まだ死んでいない奴からすぐさま離れて、造物に向かって数十の鎖が飛んでくる。すでに動きも取れず、致命傷で頭も回っていないだろう。私が離れたのを確認したのか。かすかに聞こえた。団長の声。


 「Lævateinn、我が威を示せ。」


 その強烈な一撃によってあの造物は息絶えてしまっただろ。団長がゆっくりと確認していくと剣を掲げるようにして。


 「みんなよくやった。我々の勝利だ。」


 悪夢の造物はこの地に伏した。まだ、残っていることはたくさんあるけれど。間違いなく私たちが前に進んだ瞬間だった。


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