特殊2話 宣戦布告 side グラージス
「失礼しましたー。」
ルスベリーが報告を終えてすぐに出て行った。彼女には迷惑をかけてしまったな。まさか、あれほどの構造物を作れるほどの技術力、それに動かせるだけの動力を作り出せ、さらに操縦できる人間がいる。そう考えると恐ろしい。
まだ終わっていない仕事が山積みになっている机に再び向かう。今、考えるべきことがあまりにも多すぎる。アルヴェインから聞いた話では現在救都を維持している結界装置に綻びが出始めている、それに帝国からの使者がそろそろ来るとの話もあり、あの手帳のことがどれほど信頼できるのかを考える余地もいる。
「問題は山積みか。」
目の前に広がっている書類と同じようにまだ私たちには解決すべき問題が多い。それでも、少しづつでもいいからやるしかないのだ。そう思い、再び書類仕事に戻ろうとしたときに、偵察部隊の隊員が慌てた様子で入ってくる。
息を切らしており、明らかに何かが起きたのは明白であった。
「だ、団長!報告、です」
「落ち着け、ゆっくり話すんだ。」
「はい!初めに、帝国からの使者が来ました。そして、統一国家を名乗る正体不明の組織が全世界に向けて宣戦布告を仕掛けてきました。」
絶句するとともに納得もできる。彼らがあれほどの戦力を持っていれば、進んでいない文明なぞ捻り潰せるのは確実であろう。だが、奴らもこちらが古代文明の技術が詰まったものを持っているとは思わないだろう。
「そうか、ルスベリーと合わせて、巨大な陰謀に巻き込まれたと考えたほうがいいか。」
「私は、これで失礼します。」
「ああ、待て、ルスベリー、ラニウリ、ドークスを集める。各員を集めて来い。」
「はい!」
彼は扉を開けて、駆け抜けて行ってしまった。救都の危機であるとともにすべての組織、国家の存続の危機であろう。いったい、何がしたいのか。殲滅が目的なのか、従属してもらうことが目的なのか、一体何がしたいのか。
「わからないな。」
私は一度机に戻ろうとする。あまり気が乗らない。書類の山に向かうのが嫌というわけではない。ただ、シアハに申し訳ないと思ってしまう。これは本来は彼女が持っているべきものだから。もしかしたら、彼女は死んでおらず、そのまま古代文明を再現したのではないだろうか。
だが、そこで問題が発生する。本来なら、彼女はあの場所にはいない。それに、古代文明の王になっているだろう。これほどまで遠くの世界に連れてきて、滅びを回避しようとしたからであろう。
「そうなると、古代文明とシアハは敵対しているのか。」
この手帳通りならな。考えるのはここまでか、急いでこれからのことを考えなければならない。二度と同じことが起きないようにな。




