第五話 案内してください!
そこにいたのはガベーラントとアネモネだった。久しぶりに見た彼らは初めて見た時とあまり変わらない。だって、そうなるように私が作り直したから。死んだはずの人と再会するたびに私がやったことは幻想ではないことに気付かされる。
全人類を滅ぼしたのはやっぱり事実だろう。それとともに、前文明を滅ぼしたのはヴェルツバイだった。許されない、それはわかっているそれとここにいていいのだろうかという思考に支配される。
「シアハさん、何かありましたか?」
「なんでもないですよ」
やっば、気づかれたかな。察しがいいのなんの。この話は私のうちに留めておくのが一番だろう。誰にも話せないことって誰しも持っているだろうし。それに信じてもらえるわけないからね。取り繕うように笑顔を作る。
「そ、そんなことよりも先輩、その人たちは誰でしょうか」
知っているけれど、今現在の私では知らないことであるから知らないふりをせざるを得ない。そうすると、きれいな紺色の髪を靡かせながら、礼儀正しくお辞儀をしてきた。もう一人は、ぎこちないお辞儀だが誠意は伝わるような感じでなんか、懐かしさを感じられるほどだった。
「失礼。私はアネモネですわ。救国騎士団では医療部門に所属していますわ」
「俺だな。俺はガベーラント。救国騎士団では作戦部門の突撃部隊に所属しているぜ。」
「私はシアハ。前のことはよく覚えていないけどここに拾われたから何か役に立てたらいいなって思っているよ。」
自己紹介を終わらせて、案内をするために一度私は車いすに座ることになった。それほどまでに怪我がひどかったのだろうか。だが、歩けると思って行動したらこのざまだからおとなしくラニウリさんの指示に従うことにした。医者の言葉は重いからね。
「じゃあ、シアハさんちょっと良いですか。って軽すぎません。」
ルスベリー先輩は私を軽々と持ち上げて、車いすに座らせてくれた。そんなに軽かったかなと思う。だが、よくよく見てみると転生する前と比べてかなりやせ細っていることに気付く。確かに、こりゃ軽いわとルスベリー先輩が言っていることがよくわかる。
「じゃあ、あとは君たちに任せました、ではサラダバー。」
自由人過ぎないかと思ってしまうほどには軽いノリでどっかに言ってしまった。座り心地は割と悪くない。何かをしていたラニウリさんが再びこちらまで来てガベーラントとアネモネに話始める。
「はい、二人ともよく聞いてね。」
「シアハちゃんと話して、ひとまずここ救国騎士団の敷地にある様々な施設とそれに付随する部門について案内してほしいんだ。」
「具体的にどの施設がいいでしょうか。」
ラニウリさんはそっぽを見るふりをして、再び話し出す。
「そうだね、各部門がわかりやすいようにしてほしいかな。医療部門、作戦部門、研究部門、大体これに入るかな。特に、作戦部門が色々な別れ方をしているからちょっと多めがいいかもね。」
「わかりました。ガベーラント、話聞いていましたの?」
眠そうにしているガベーラントもあまり変わらない。彼と最初にあったときも確か居眠りしていたっけ。アネモネに声を掛けられてびっくりするように飛び起きる。
「ああ、もちろん聞いていたぜ。」
「では、もちろんラニウリさんの言葉復唱できますよね。」
若干切れ気味でガベーラントに問い詰める。ガベーラントとアネモネは確かかなり面識があったはずだから何度もあったのだろう。想像にたやすい。
「あー、すまん。やっぱ聞いてなかったわ。」
「またですの!今度こそ隊長にガベーラントには厳しい訓練をと言ってやりますわ~。」
「ちょっとそれだけは勘弁マジで!」
「ふん、」
足蹴されそうになりながらも縋り付いているガベーラントと見向きもしないアネモネ。前は団長がすぐに咎めに来たからこんなことになるのは見たことないかも。ラニウリさんも苦笑いを浮かべているし。
「二人ともさ、いちゃつくのはそこまでにしときなって、シアハちゃんが驚いているでしょ。」
「そんなんじゃないですわ」
「ラニウリさん、そんなことないってまじで」
二人とも、ちょっと語尾が弱くなって否定しづらいのかもしれない。彼らが互いのことを好いていると思われても仕方ないと思う。それが嘘でも本当でもね。
「あはは...なんだか、仲良しなんですね。」
「そんなことないですの。こいついっつもケガしては私に迷惑を掛けに来ますの」
「仕方ないだろ、突撃隊は他と比べても相当厳しいもんなんだから」
そういうところが仲良しと言われるものなのではと思うのだが私は。まあ、変わらなくて安心している。前の世界とあまり変わらなくて。
「それじゃあ、ガベーラントさんとアネモネさん。案内よろしくお願いします。」
「はい、後あまり畏まらなくてもいいですわよ」
「そうだぜ、別に二人とも呼び捨てでいいぞ。」
「勝手に私を巻き込まないでくださいな。」
「でも悪くないだろ。」
「まあ、そうですが...」
「それじゃあ、ガベーラント、アネモネ、これからよろしくね。」
「はい、では行きましょうか。」
アネモネが私の車いすを押して、案内をするべく様々な場所に向かう。




