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第四話 久しぶり

「ぬぇえ~」


 医療棟の中に突撃して、すぐさまラニウリさんのところに行こうとする。周りの目が痛いがそれ以上に酔った。吐き気で項垂れながらもがっちりとルスベリー先輩の背中にしがみついている。少しばかりの時間が過ぎて、ラニウリさんのところにつく。


 部屋に入ると書類仕事を真剣な顔でしているラニウリさんがこちらを見て驚愕している。慌てた様子でこちらに駆け寄ってルスベリー先輩から私を剥がそうとする。


 「ルスベリー、一体どうしたの。あり得ないほど急いで来たぽいいけど。」


 「シアハさんのところに向かおうとしたところ。大きな音がしたので突入したところシアハさんが倒れていたので急いで運んできました。」


 「なるほど」


 ラニウリさんはちらっとこちらを見て、大体の様子を把握しようとする。苦笑いするかのようにルスベリーに質問を投げる。


 「あのさ、ルスベリー。急いでって言ったけど、振り回すほどに急いだわけじゃないよね」


 「えーと、それは...」


 自覚がなかったのか、それとも急いでいたから気づけなかったのか。バツの悪そうに下を向いている。その間に私はゆっくりとルスベリー先輩の背中から降りる。心配してくれるのはありがたいけど、なんだか前より過保護になっていないかな。そう思ってしまう。


 「大変でしたよ、ルスベリー先輩の背中にしっかりと捕まってないと振り落とされるかと思いましたからね。」


 「それはすいませんでした!」


 ルスベリー先輩は私に向かって大げさな謝罪をしてくる。まあ、怒ってないからいいんだけど。


 「怒ってないから大丈夫です。むしろ、心配してくれたのはありがたいくらいですから」


 「ほんとですか!」


 「嘘はつきませんって」


 泣きそうになりながら私の手を握ってくれる。前よりも、感情の起伏が激しいように感じるとともにラニウリさんが医者装備に切り替わっていた。


 「はーい、シアハちゃん。こっちおいで」


 そう言って、備え付けのベッドまで誘導してくれる。花の香りが綺麗に漂い、ベースキャンプよりも寝やすそうなベッドだった。そこに私は寝転んでラニウリさんに足を差し出す。


 「うーん、前よりはよくなっているけど。無理して歩くのはよくないかも。とりあえず、包帯変えるね。」


 そう言ってラニウリさんはてきぱきと私の足に包帯を巻いていく。若干の痛みを伴いながらも、その素早い手際のおかげですぐさま終わった。


 「ルスベリー、車椅子持ってこれる?多分、その物置のところにあるはずだから」


 「えーと。」


 ルスベリー先輩ががさがさと漁っている間に、ラニウリさんはこちらを見て話しかけてくる。


 「さて、シアハちゃん、今日の朝何があったか教えてくれるかな。」


 私はそう言われて、正直に話すことにした。はっきり言ってラニウリさんの表情がとても厳かになっていて怖くて仕方なかった。


 「すいませんでした。」


 ラニウリさんに今日あったことを詳細に話したところめちゃくちゃに怒られた。それも、二人ともにね。なんではねたのかとか、けが人を背負って爆速で走るのはダメだよとか。


 「とりあえず、ルスベリー。しばらくはシアハちゃんのこと頼むよ。」


 「えーと、そのですね。」


 「何?何か言いたいことでもあるの?」


 ラニウリさんの圧がルスベリー先輩を襲う。申し訳なさそうにルスベリー先輩は話始める。


 「そのですね、団長に大事な任務を任されていて、しばらく救都から離れないといけないんですよ。」


 「団長かー。それはちょっと何も言えないかな。仕方ないね、ルスベリー代わりの人を呼んで来たらいいよ。」


 「はい!そのつもりですから今日はここで待ってもらうと助かります。」


 「なるべく早くね。」


 「はーい」


 ルスベリー先輩は軽快なステップを踏みながら行ってしまった。代わりの人と言っていたのだけれどいったい誰が来るのだろうか。それと、ルスベリー先輩が言っていた大事な任務とはなんだろうか。現時点ではわからないが、もしかしたら古代文明関係なのかもしれない。そうしたら、また、造物に押しつぶされてしまうのではないか。


 そんな悪い予感が頭をよぎる。だが、今考えても仕方ないと割り切るしかない。それに、今は怪我さえ治れば創造剣があるから私が戦える。それに、みんなを守ることができる。


 「シアハちゃん。大事な話があるから聞いてくれるかな。」


 思考の領域から飛び出して、顔を上げてラニウリさんを見る。普段とは違う真剣な表情でこちらを見ており、大事なことであるのは間違いないだろう。


 「はい、何でしょうか」


 「えっとね、現在シアハちゃんを拾ったのは救国騎士団っていう組織なんだけどね。」


 「私たちはノードにかかった人の面倒を見たり、灰生物に故郷を滅ぼされた人たちを拾ったりと様々なことをしているの。」


 「なんだけど、もちろん無償とはいかない。だから、救国騎士団に入るか、それともどこかで働いてお金を払ってもらう必要があるの。」


 当然の話だ。何もかも無償とはいかないし、そんな団体があったら秒で滅ぶだろう。だから、何かしてもらわなければならないのは当然である。あ、どうやって研究者ってこと伝えればいいかな。あー、救国騎士団に入りたいけどどんなことをしているかって聞けばいいかな。


 「だから、君には二つの選択肢がある。もちろん、ここを抜け出すって選択肢もあるけど私としてはそれは止めたいかな。」


 「君はどうしたい。」


 「私は、救国騎士団に入りたいです。皆さんのように人を救えるような誰かになりたいです。ですが、私はまだ救国騎士団について何も知りません。」


 その答えを知っているかのような、そんなこともあろうかとと何か資料を取り出そうとしてあくせくしているのを見ていた。


 やっと何かを取り出したかのようにラニウリさんはこちらに振り返る。


 「ごめんねシアハちゃん、用意していたのだけど、取るのに手間取っちゃった。」


 そう言って、何かの資料を私に渡してきた。中身をちらりと見ると、そこに書いてあったのは救国騎士団案内について、と書いてあった。やっぱり別に特別なわけではなかったんだ。そう思いながら読み込んでいたところ、また、扉を思いっきり開ける音があった。


 「失礼しまーす。連れてきましたよ。」


 「失礼しますわ」


 「失礼するぜ」


 聞き覚えのある声に振り返る。ルスベリー先輩が連れてきた代わりとはガベーラントとアネモネだった。

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