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第八話 真実

「仕方ないですねマスター、ご飯は食べたほうがいいですよ」


 昔の記憶が蘇る。私がヴェルツバイを作ったのは優秀な助手が欲しかったからだった。ノームオイルの本質は現実改変と生命の根本にかかわってくる。だから、生物を作るくらい当時の私には簡単だった。


 「はいはい、後で食べますよ。」


 「そういって、何度飯を抜いてきたんですか。今すぐ食べましょう」


 ぐちゃぐちゃの研究室から私を引きづって持ってくる。当時は相当面倒くさがりだったな。確か、この時に言った何気ない言葉が今の現状を引き起こしているのかもしれない。


 歩いている途中ふと話し始める。


 「ねえ、ヴェルツバイ。」


 「なんでしょうかマスター、おなかがすいて動けないですか?」


 「そんなんじゃない。ただ、私が死んだら、あの装置を起動して、作ったはいいけれど使うつもりにはなれない。今の人々をすべて否定してしまう。そんな人道に外れたものを使うつもりはない。でも、もし私が死んだらそんなこと考えずに起動して」


 「そして、転生したときに私がもう一度装置をいじれるように場を整えてほしい。」



 なんでこんな表情の読みにくい生物にしてしまったのだろうか。もうちょい人間に寄せてもよかったかもしれない。

 この時に、ヴェルツバイには覚悟が出来ていたのだろう。私がもう命がないことに。


 最後の願いが、現状を作っている。ヴェルツバイは仕事を最後までしてくれたのだろう。だって、何も頼れる人がいなく、死んでもいい人たちのみで現実が構成されているなら覚悟が出来ている私ならきっとその選択肢を取ってくれるだろうという信頼からだろう。


 ガベーラントとアネモネが死んだときのキメラもなぜそこにいたのかがわからない。救都に襲撃してきた2つの造物はどこから来たのか。突然の帝国からの招待は何だったのか。


 すべて、ヴェルツバイが場を整えるためにした行動だろう。命令をした過去の自分に嫌気がさしてくるが本来の目的を思い出した今、するべきことは決まっている。

 現実に思考を戻してヴェルツバイに質問をする。助手として作ったから車の運転もヴェルツバイに任せている。

 

 「ねえヴェルツバイ、あの装置はまだ生きている?」


 「ええ、当然ですよマスター。私が毎日整えていますから。」


 「ならよかった。」


 もし、もしだ。ラニウリさんも死んでしまったら本当にこの世界を破壊することに歯止めが利かなくなるだろう。天窮剣と私の手元にあるもう一つの剣がすべてを破壊できる。


 そして、装置を起動するにはありえないほどの生贄が必要になる。だから、全人類どころか全生物を滅ぼす勢いで殺しつくさないといけない。


 私たちはそのまま帝国まで車を走らせた。


 帝都について、やけに煙たいのと城壁にいるはずだった門番の人がいない。なぜと思いつつも中に入っていく。


 「ヴェルツバイ、私は上空から偵察するから、ちょっと待って」


 「わかりましたマスター。」


 返事を聞いた後に剣の能力を使う。ヴェルツバイからもらった剣は私が作った何でもできるほどに機能を詰め込んだ傑作だからね。空を飛ぶくらいは簡単簡単。ひとまず、ラニウリさんがいるであろうところを見つけに行く。


 だが、私が見たのは絶望するにふさわしいものだった。


 本来、屋敷があった場所から、すべてがなくなっていた。まるで隕石が落ちたかのようにクレーターができている。それに、ノームオイルが散らばるように燃え盛るようなそんな何かに包まれていた。


 知っている。これは古代文明が滅んだ原因に近い、ノード爆弾。ノームオイルに秘められたエネルギーを使い、ありとあらゆるものを消し去ることができる代物だ。ただ、当時とは威力が違う。昔のものではないであろう。何もかもなくなって、すべてが虚無に帰したものを見て私は。


 「もういいや」


 そう思って下に降りる。ヴェルツバイに命令を下すために、すでに感情を受け入れることができないほどに殺戮の感情に侵されていた。下で律義に待っていたヴェルツバイに命令を下す。


 「ヴェルツバイ、ここから逃げて、あの装置がある場所に行って、私はやることがあるから。」


 「、わかりました。マスター武運を祈ります。」


 そう言ってヴェルツバイはあり得ない速度でここから去っていった。すでに手加減をする必要はない。天窮剣と創世剣を構える。そして帝都が豆粒になるほどに飛び上がった後帝都を標的に定めて、力を籠める。


 「Lævateinn、我に力を、創世剣よ、我が意を汲み取り、世界を潰せ。」


 「meteorite explosion」


 ただ、そう呟いただけで、私の剣からあり得ないほどの力が迸る。その力の奔流は帝都を光で包み込み、あり得ない轟音とともにすべてを消し去った。


 クレーターとは形容できないほどに何もなくなった。今の一撃で、30万人ほど屠り去っただろうか。もうこの世界は私がすべてを破壊して作り直す。ただ、その犠牲に過ぎないのだ。もう止まることはできない。過去の私が残した遺物は今も続いているから。


 「旧救都に訪れるか」


 そう思い。飛び去った。ここから何が起こるか直視する気がない。そんな気持ちに陥りつつも今も前に進まなければならないと思いその足を止めなかった。

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