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見捨てられた天使シアハは、魔王か救世主か  作者: さわよ
第一章 廃都市探索編
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第十七話 遠征にレッツゴー

 「うーん」


 私は窓から差し込む光によって目が覚める。目覚まし時計を見ると今は6時くらいであった。わくわくした気持ちで気分のいい朝を迎える。今日は遠征の出発日であり、昨日の夜はちょっぴり寝るのが難しかった。支度をしてからすぐに食堂に向かうことにした。


 「うわ、すごい人だかり」


 食堂にはいつも以上に人であふれていて、喧騒が絶えなかった。誰が何を話しているかなんてちっともわかりやしない。もたついていると集合時間に間に合わないかもしれないから早めにおばちゃんのところに行こうとした。案の定、並んでいる人もたくさんで時間がかかること間違いなしだった。

 並んでいる時間はこの後の遠征中の最悪の出来事を考えておく。そうすることで、もし、本当にそのような出来事が起こった時に冷静に対処できるようになるとルスベリー先輩から教えてもらった。やはり、最悪な出来事は部隊から離れてしまって、はぐれることかな。そうすると一気に死ぬ可能性が高まってしまう。あと、古代都市で崩落にあって、地面に埋められてしまうとかかな。


 考え込んでいる間にも、列は進む。やっと受け取れるところで一度考えるのをやめてご飯を食べることにした。



 ご飯を食べた後に、研究所へ向かうことになっている。一度、所長から受け取るものがあるらしく集合場所に行く前に来てほしいとのことであった。割と真面目な雰囲気で言ってきたから重要なものなのかなと推測できる。行く道中、アネモネとあったが、集合してから詳しく話そうとのことですぐに離れてしまった。


 研究所について、忙しそうにばたばたとしている人たちを横目に所長のところに行こうとする。ドアを開けて中に入ろうとする。中に入ると、コーヒーの香ばしい香りが漂う。所長を見ると、コーヒーを片手に資料を読んでいた。


 「失礼します所長。」


 「お、ようやく来たかい。まあ、すぐに行かないといけないだろうから手短に。調べてほしいことを紙にまとめたからこれを持っていってくれ。」


 所長はそう言って、読んでいた資料を私に渡してくる。中には、古代遺物のことについてがほとんどのように見えた。しかし、一つだけ赤文字で記されているところに目を引かれた。


 「結界装置の修復案?」


 「そこが今回の遠征の目的といっても過言ではないよ。」


 おそらく、ここ救国騎士団が駐在している都市を囲む結界のことだろう。これがあるから灰生物やほかの生物の脅威に晒されることがなく生活することができてきたがもしかしたらそれがこわれそうになっているのかもしれない。


 「それって、ここを囲む結界のことですか。」


 「そうだ。忙しい理由は結界装置が壊れてしまいそうだから。治すか、それとも結界を作るか。私の案件の中だと最も急務だね。」


 「それって、治せると思われるんですか。」


 「それがわからないんだよ。どうにかしなければと皆思っているが打つ手がない。」


 「それで、今回見たことない古代都市が発見されてそこからもしかしたら治す方法を探したいといったところでしょうか。」


 「そういうわけだ。こちらもどうにかして治そうとしている。だが、確実に治せるとは限らない。治す手段を増やしに行きたいのだよ。」


 手元の資料に再度目を向ける。いろんなことが書いてあるがさっきの結界の話は致命的に思える。もし、なくなってしまったらこの都市ごとなくなってしまうことが考えられる。もちろん、帝国のように壁を築き、人を牽引して、守ることも考えられるだろう。だが、それは国家の話で、都市単位の小さな集団では難しいだろう。実際、帝国も都市以外はかなりひどいことになっていると本で読んだことがある。


 「わかりました。古代都市では結界について重きを置いて調べることにしようと思います。」


 「まあ、私たちも結界がなくなった時のことを考えている。だから、君にはあまり気にせず好奇心に身を任せてほしい気持ちもある。なんだ、楽しく探索してほしい。」


 微笑むように語りかけてくる所長はなんだか悲しそう。私も結界のことには興味がわいてきた。こんなにも大きくて、いろんな生物を通さない。なのに、人は通れるのは不思議だなとは思う。現実に干渉していることは確実なのかなと疑いをかける。まあ、考えるのは移動中にしようかな。


 受け取ったのを資料を抱え込みながら、ドアのほうに向かって戻ろうとする。その時に、所長に呼び止められた。


 「いってらっしゃい。気を抜いて、落ち着いてね。」


 「はい!いってきますね。きっと謎を解いて見せますから。」


 そう言って、ドアを開けて、決められた集合場所に向かおうとする。研究所を抜けて外に出るとそこにはガベーラントがいて、何かそわそわしているように見えた。声をかけようと近づくと彼はこちらに気づいて大きな声でしゃべりだした。


 「あ、シアハ!早くこっちに来てくれ~。」


 そう言われて、駆け足で向かう。まだ、遅刻するには早いと思っていた。近づくと、何やら急いでいるようにしている。


 「あんた、遅刻するぜ。何があったか知らないけど、もうすぐ時間になるぞ。」


 「え、嘘でしょ!」


 「こんな時にくだらない嘘つかねえって。」


 「ちょいっと」


 手を引かれて、ダッシュで集合場所に向かう。そんなに話し込んでいたのかと改めて振り返るがそんなことないなあと思う。時計を持っていないし、時間感覚は自分の勘に頼るしかないけれど。


 なんだかんだ、ぎりぎり間に合うことができた。すでに、出発する準備はできていて、私ももともと荷物は事前に預けてあったからそれを受け取るだけで済むし。


 「ガベーラントありがとね。いなかったら絶対遅刻してたよ。」


 「感謝するなら俺じゃなくてアネモネに言っときな。あいつに言われて迎えに行ったからさ。」


 「ん、わかったよ。アネモネは...」


 「大丈夫だぜ。三人とも同じ部隊にしてもらったからな。」


 「ほんとに!」


 「ああ、だから早く荷物を受け取って準備しようぜ。」


 「うん」


 私はすぐに、準備を済ませるために荷物を受け取るために人ごみに突っ込む。かき分けていき、荷物を受け取るためのところの列までたどり着くことができた。ほとんどみんな準備が終わっているため。すぐに受け取ることができて、出発前まで少しだけ待つことになった。


 しばらく待っていると、ルスベリー先輩が集合の合図を立てて、今回の遠征の説明やどのようにして古代都市に行くかなど様々な注意点について話してくれた。ただ、ちょっと眠くなってしまい、あまりちゃんと話を聞くことができなかった。それに、どこの部隊に行けばいいのかも話を聞き忘れてしまった。


 どうすればいいかわからず、あたふたしている私をルスベリー先輩がこちらにおいでと誘導するように手招きしてくれた。慌ててそちらに向かう。


 「シアハちゃん。今日からよろしくですね。」


 「え、うん?はい...」


 不思議そうにこちらを見てくる。


 「あれ、もしかしてですけど話聞いてませんでしたか?」


 「うう、はい」


 恥ずかしくてうつむいてしまう。だけど、悪いのは私だし...。


 「それはよくないですね。眠そうですね。私が運んであげましょうか?」


 そう言いながら両手を広げてニコニコ笑顔でこちらを見ている。だれも止めてくれないのかと思いながらも、少しだけ悩んでから彼女の胸に飛び込む。


 「あら~可愛いですね。じゃあ運びますね。」


 「むぅ!」


 なんと抱きしめたまま持ち上げて近くにあった荷台に乗せようとしてきた。胸に顔を埋める形になっているため前が真っ暗で何も見えない。けれども、近くに運ぶものなんて荷台くらいしかないからそこに持っていこうとしているのか。


 ちょっとじたばた暴れようとするがルスベリー先輩には全く意に介していない。彼女と私ではフィジカルが違いすぎて話にならなかった。しばらくすると、おろされて目を開ける。光を遮るように手を上げながら前を見ると立派なノームレゾナンス式の車だった。


 「えっと、これに乗っていくのですか。ていうか、いつからここにあったのですか?」


 来た時にはなく、明らかに目立つようなごつい車だった。というか、一人じゃ乗れないと思うほどに入り口が高く、私じゃあだめそうだった。それよりも、どうやって隠していたのかが気になって仕方ない。

 

 「ふふん、これがノームオイルの真価ですから。」


 「圧縮というより顕現ですか。」


 「そうですよ。」


 なるほどね。ノームオイルを通常より多く使うことによって圧縮、拡大、ほかにもものに様々な影響を与えることができる。まるで、現実に干渉するように。


 「ほら乗りましょう。ここに足をかけて、くださいね。」


 足場を指さしながら先に乗ったルスベリー先輩が手を差し伸べてくれる。その手を取って足場に足をかけながら乗る。ちょっと体勢を崩しそうになるがなんとかなった。


 「じゃあ、出発しましょうか。」


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