第十八話 遺跡でイェーイ
「すごいですね。本当に何もない。」
あれから、しばらく車に揺られて早5時間ほど。日も落ち始めてだんだん暗くなっていったところ。外に身を乗り出して風を感じながら景色を見渡す。そこには、本当に何もない。不毛の大地のように荒野が続いている。こんなところに本当にあるのかと思わせるほど虚無が広がっているように感じられた。
「こら、シアハさん。」
「ぐぁあ」
身を乗り出そうとする私をアネモネが引き戻そうとする。半身ほど身を乗り出していたからか少し頭をぶつけるような感じになってしまいちょっとくらっとする。ちょっと心配そうにしてきてくれる。ならもうちょっと優しくしてほしかったなと思う。
「ほら、前見てくださいよ。そろそろ先遣部隊のベースキャンプが見えてくる頃ですよ。」
そう言ってまた体を乗り出してみようとする。けれど、体を乗り出そうとしたと察したアネモネによって、中央に叩き戻されてしまう。だけど、そこから見えたのは煙が上がっている場所は、荒野とは一変した木で囲まれたところだった。そのあたりから一気に違うところであるとすぐさまわかる。
近づくにつれて、その木で囲まれているところはただ生えている木に囲まれているだけではなく自分たちで作っているところもあるように見えた。割と簡易的であるが即席にしては凝っているようにみえた。もしかしたら誰かのノームレゾナンスが建築でもできるのかもとわくわくしながら、おとなしく席で待っていた。
一同ベースキャンプに近づくと警備兵みたいな恰好の人たちが道をふさいでくる。多分、検問のようなことをしてくれているのだろう。中の安全を守るためにね。軽く、ルスベリー先輩がそういうと一度顔を出してはなし始めた。
「はーい。調査隊隊長を任されています。ルスベリーですよ。」
「すいませんでした。ルスベリー様ですね。後ろの方々は...」
警備員が不思議そうにこちらを訪ねている。真っ先に話し始めたのはガベーラントだった。
「はーい。俺はガベーラント。今はルスベリー先輩のものとにいるけど普段は突撃にいるぜ。」
「わたくしはアネモネ。普段は医療部門にいらっしゃいますわ」
「わ、わたしはシアハ。一応、研究部門にいる、よ。」
みんなが自己紹介をするとにっこりと笑った後に失礼しましたといって中に戻っていった。割と名前が通っているのか、もともと誰が乗っているのかがわかっていたのか。どっちかわからないけれど詰まらなくてよかった。
そのまま、ゆっくり中に入ろうとする。中は意外と質素な作りで簡易的なテントがぽつぽつと立っており、肉を焼くような香ばしい匂いが立ち込めてきた。誰かが調理をしているのだろう。なんだか、おなかがすいてくるようだった。
「着きましたね。一度、自分たちのテントに行きましょうか。」
「そうですわね。」
「シアハさんとは私が一緒になっているので来てくださいな。」
「わかりました」
そうアネモネに言われて荷物をもってついていく。以外でもないが道という道がなく、石が露出していたり、土が盛り上がっていたりとまだまだ整備が済んでいないように見える。それゆえか、木々の匂いや人の手が入っていない自然が外に見える。都市とは違いすぎる環境にちょっとわくわくが止まらない。
「シアハさんなにかありましたか?」
「あ、なんでもないです。」
ルスベリー先輩にぼーっと外を見ていることを指摘されて慌てて元に戻ろうとする。ちょっと遅れてアネモネについて行き、簡易的なテントに入る。中は寝袋を置くところと簡素なローテーブルがあって最低限のものはそろっていた。
「一度、ご飯を食べましょうか。シアハさんついてきてくだし」
「やったね。おなかすいてきてたんだよね」
二人とも、ご飯を食べるために一度外に出て、炊き出しが行われているであろうところに行くことになった。近づくに連れて、いいにおいが漂ってくる。何を作っているのかはまだわからないけれどこんなところでもおいしいご飯が食べれることに感謝しないとね。
食堂に着くと、すでに列ができておりそこにはガベーラントの姿もあった。私たちも、きちんとならんでご飯を受け取る。私たちがご飯を食べようとしている間にガベーラントはすでに食べ終えており、びっくりするくらいたべるのが早かった。
私たちもすぐに食べ終わった。そのころにはすでに日は落ちており、アネモネと話してすぐに寝ようとのことになった。
アネモネが寝たことを確認した後に、私はちょっと起きて、机に向かって日記を書くことにした。
次の日
私はアネモネに起こされて朝を迎えた。外に出るとまだ日はあまり上っておらず木々から差し込む朝日が眩しかった。暗い中、今日から遺跡に行くことらしく準備をしなさいとのことだった。
私は、アネモネと別れて、自分の準備を進める。持ってきたクロスボウが壊れていないかを確認したり、所長から渡された資料を再度確認して何を見つければいいかを覚える。それにしてもノームオイルが関係している施設ばかりなのか古代からノームオイルは使われていると思われる。
「シアハさん準備できましたか?」
分厚いテントを捲りながら、こちらを心配そうに見えてきたのはルスベリー先輩だった。準備だけでそんなに時間がたってしまったのかと思っていたが心配させまいとしてすぐに行くことにした。持っていた荷物をばっと中に入れて、すぐさま外に出る。
「すいません先輩。お待たせしました。」
すると先輩は心配が解けて、笑顔で話しかけてくれるようになった。やっぱ、心配させるのはよくないね。それに、夢中になりすぎるのも。
ルスベリー先輩は手を差し伸べてくれたのでそれをとって外に立ちながら出る。
「もう、何していたんですか。そろそろ、朝ごはんの時間が終わってしまいますよ。」
「ええ! そんな時間になっちゃったのすいません急いで食べるんでちょっと待ってください。
そういって、ルスベリー先輩を置いて急いでご飯を食べに行く。炊き出しのところにはほとんど人がおらず、滑り込みセーフといった感じだった。
熱いご飯を急いで駆け込んで今日の集合場所に向かおうとする。今日は昨日までの車は使わないとのことらしい。割と、近場にベースキャンプを設立していると思うから行き来が楽なのはうれしい。
「シアハ、こっちだぜ。」
大振りでこちらの名前を呼んでいるのは赤髪が特徴のガベーラントだった。そこは人だかりで武装した人が大半だった。たまに、私のような白衣を着ている人がいるように見えたり医療部の人であろう服装の人も見える。
「お待たせ! ちょっと準備に手間取って。」
「気にすんな。最初は手間取るもんよ。」
「そうですね。ここにいる人はみんな初めからできる人ばかりではありませんわ」
二人とも優しく話しかけてくれる。初めての遠征で私も張り切っているのかもしれないと考える。なんともない話をしていると先頭に留守ベリー先輩が来て各部隊の動きなどを話していた。そのほとんどの部隊が中の探索と大幅に警戒部隊に振られていた。
「やっぱり、襲撃されることが多いんですかね。」
「そんなことないと思うぜ。それよりも怖いのは帝国だな。傲慢だし、高圧的だしで最悪だよ奴ら」
「彼の言う通りですわ。横やりが怖いんですの。」
「そうなんだ。」
私には横やりが来るとは思えないほどの僻地に感じるけど、古代遺物はそれほどに価値のあるものだからどこの国も狙いに行きたい。特に、余裕のある国はきがちだからかな。
「は~い。みんな出発するよ。」
ルスベリー先輩の掛け声によって私たちは進んでいく。古代都市に希望を求めて。




