第十三話 適正検査
考えていると、所長が割り込んでくる。
「そうだ。シアハさん、よければ訓練所で適正検査してはいかがかな」
「適正検査って」
「あまりなじみないかもしれないが、どんなノームレゾナンスがつかえるかってやつだね。」
「あ」
適正検査ってそういうことなのね。ノームレゾナンスは属性や派生に分かれて行って火とか水とかいろいろなことが引き起こせるようになる。それと、ノームレゾナンス自体が特殊な技術で現実に干渉する慎重に扱うべき技術だという認識はあった。ん?自分の適性何かわからないな。これも記憶に関係しているからないのかそれとも危険だから受けなかったのかわからない。まだ子供と思われていたら別におかしなことではない。
「その反応。知っているみたいだね。ちょうどいい。知らないのであれば訓練所に行くといいよ。」
「そうだな。入団してすぐだけど受けてみてもいいかもな。」
「入る場所によっては受けなくてもいいのですが...少しお待ちを。」
そう言って、アネモネは扉を開けて外に出て行ってしまった。黒い箱のようなものを持っていたことはわかるのだがまったくもって何かわからない。連絡が取れるようなものであれば画期的であるのだがそれをするには中継地点を外に置く必要があって管理がとてもめんどくさい。頭の中にその作り方があるのだが、ここにはそれらしき中継地点が見当たらなかった。
「アネモネさんは何をしにいったんですか」
「ああ、あれね~。古代遺物を解析して、巨大な通信拠点を作り出すことに成功したんだ。それによって救国都市内であればどこでも連絡を取ることができる優れものさ。」
「古代遺物...未知のノーム技術が盛り込まれていて難解複雑で使わせる気がないって言われているやつですよね」
「まさにそう。だが、我々はその古代遺物を使うことに成功したのだ。と、言っても一部しか使えていないのかまだわからないところだらけだがな」
「けれどすごいですよね。一度見てみたいほどには。」
「やはり興味がわいてくるだろう。見せたいのは山々なのだが、研究所に来ることになったら見せられるかもしれな。」
「む、その言葉ずるいですよ。」
二人で古代遺物のことについて話しているといつの間にか時間が過ぎ去っていた。古代文明が築いたとされる遺物たちや痕跡は各地にあって、それに付随した摩訶不思議な装置たち。実際に見たことはないし触ったこともない。それも、触った瞬間にあたり丸ごと更地になるみたいなものがあったら大変。何があるかわからないから慎重にならざる負えない。それでも、触っちゃうのが研究者たちなんだろうね。
話が一区切りしたときに、ふとガベーラントのほうを見ていると立ったまま寝ている。そして、たまたま話が終わったアネモネがそのままガベーラントの頭をひっぱたいた。こちらがガベーラントを置いてけぼりにする話をしていたからあまり悪く言えない。
「どうやら話はついたようだね。いってらっしゃい。」
「ありがとうございました。また話しましょう」
「ええ、また」
話は終わり、ガベーラントとアネモネとともに一度研究室を出ることになる。道中は何もなく、スムーズに出ることができた。
「ガベーラントごめんね。話つまらなかったでしょ。」
「気にすんな。そこのアネモネにも同じことされたことあるからな。」
「なんですって」
「ま、早く行こうぜ。ルスベリー先輩が訓練場で俺たちを待っているらしいから。」
「そうなの早くしようか。」
「仕方ないですわね。行きましょう」
他愛もない話をしながら素早く訓練所に行く。訓練場に着いた時にはすでに日は上っており快晴が私たちを照らしてくれた。中に入ろうとするとこないだ来た時と同じで訓練する人たちの大きな声と金属音で満たされていた。
「すいません。あなたたちがシアハさん御一行でしょうか。」
「そうですけど」
「ルスベリー様より案内を頼まれているアルトと言います。こちらへ」
「は、はい」
アルトという人について行き、あまり人気のないところに行く。心配になってアネモネとガベーラントのほうを見るが二人とも知っている道のようで不安の顔はなかった。なんか初めて行く場所で暗くて前が見づらいと緊張してしまう。
しばらく進むと暗いところに差し込むまばゆい光が出迎えてくれた。そこでは割と広く、土の地面で、爆弾でも扱うのかなと思うほどに土嚢が積まれていた。耐衝撃を考えて作られているのかある程度危ないことをしても大丈夫そうなところだった。
そんなところにまるで銃の射撃場のようにラックが積まれており、そこには杖のようなものが羅列されておりそこでルスベリー先輩が杖をいじくっていた。
「ルスベリー様。案内完了でございます。では自分はこれで」
「は~い。ありがとね。ようこそ、射撃場兼適正検査会場へ。」
「射撃場?銃を撃てる人がいるんですか。」
びっくりした。銃を撃つのにはある程度のノームレゾナンスが扱えて、かつまっすぐ飛ばすための操作技術とかいう使わせる気がないものなんだけどめっちゃ得意な人ならすぱすぱ的を射抜くからここはそれほどにノームレゾナンスにたけた人がいることになる。
「ここだとあまりいないかな。銃を撃てるのはやっぱり訓練された人だけだよ。」
「でも、練習場があるんですね。」
「まあ、大体私が使うけどね。」
「ええ..」
「それは語弊が過ぎますわ。わたくしもレゾナンスを練習しに来ますが大体ルスベリー先輩がいますもの。強いのも納得ですわ。」
ルスベリー先輩のほうを見ると照れているのがよくわかる。それに、拾われたときの灰人襲撃戦の時は剣で戦うスタイルだった。だけど、本当は銃も扱えるほどに繊細なレゾナンス技術を持ち合わせていると思われる。団長のように超火力が出るわけではないけど一対一の対人戦では無類の強さを誇るんじゃないかな。
思考に更けているとルスベリー先輩が杖をもってこちらにやってきた。
「ではまずはこちらをもってください。ここをもって、力を込めてください。」
木でできた杖のようだが持ってほしいと言われたところだけ何かしらの布が張ってある。多分、ここが使用者の体内にあるノームオイルに反応して勝手にレゾナンス自体を放ってくれるのでないのかな。大気中にノームオイルらしきものが飛散していることは研究で示されているし、それほど少ないものなら大きなことを起こすことは難しい。安全で使えるかどうかがわかるのはすごくいいと思う。
「あら?でないですね。」
「何かおかしいの?」
「ええ、これ自体は属性判定をするわけではないのですが力を籠めるとその人がどれほどの強度でノームレゾナンスを使えるかを測るものなんですよ。」
「つまり、使えないのはおかしい。ノードにかかっていることを鑑みてもだな。」
「おかしいですね。杖が壊れているのかもしれません。変えてきますね。」
そう言って、ルスベリー先輩は杖を持って倉庫のような小屋に向かっていった。レゾナンス自体は誰でも使えるものなんだけど、私にはそれすら使わせてくれない。もしくは、昔々に言われていた言い伝え。”天使には特別な力がありそれによって天下を統べた。”そんなことを言われていた気がする。だが、天使族が天下を統べたという歴史は存在しない。もし、存在するならば旧文明に天使がいたと思われる。本当なのかはいまだわからないが。




