第十四話 それでも!!
しばらくたった後、ルスベリー先輩が戻ってきた。杖を持っていないからきっと予備がなかったのだろう。
「ごめんなさい。予備の杖がなくて、検査するのができなさそうです。」
「大丈夫だよ。使えないとは思っていた、これほどノームオイルに関する知識があるのに使い方がわからないの結構不自然だし。」
「そうですね。では、一度戻りましょうか。」
「そうしようか」
元のところに戻ろうとするが、射撃をしようとして、もめているガベーラントとアネモネを止めに行こうとする。何か言い合っているように聞こえるが、ルスベリー先輩によってすぐに止められてしまう。ノームレゾナンスを使えないのはちょっと悲しい。誰かを助ける力になると思ったのだが、使えないとなるとほかに何があるのかな。
「もー...、任せてられませんわ。ルスベリー先輩、銃の怖さを教えてあげてください。」
「まあ、ちょっとやりたくなるのはわかるよ。使えなかったときに私もそうだったから」
「ですよね!使いたくなりますよね!」
「でも、資格がないとここでは使えないから試験を突破してからだね~。」
気になることがある。試験を突破しないければならないと言っていたがもしかして頑張れば使えるようになるのかな。
「ルスベリー先輩。試験を突破すればだれでも使えるんですか。」
「そうだよ、だけど使えるようになるにはノームレゾナンスを扱えることが前提だからシアハちゃんには難しいかな。」
「そうなんですよ。このおバカは使えないのに持とうとしていますの」
あきれるように怒っているアネモネと知らん顔みたいに気にしていないガベーラント。そんな二人は仲がよさそうでとても見ていて平和だなって思った。言い合いしているのを横目にルスベリー先輩は杖を片付ていた。私もと思ったがすぐに終わったのかこちらに来て、アネモネとガベーラントもつれて元の場所に戻ることになった。
一度、訓練所の表側に出ていき、裏口を閉める。銃や中にある杖などが危険だろうから隔離しているのだろう。私が戦うことになると状況的には最悪と言ってもいいだろう。だけど、灰生物の時みたいに何もできずに逃げることしかできないのも避けたい。
「ルスベリー先輩。」
「はいは~いなんですか」
「私に戦う方法を教えてください。」
面を食らったかのように驚いている。と同時に、考えるようにしている。やはり、すぐに強くなることは難しいのだろう。それに、戦う力といってもたくさんあるから。
ルスベリー先輩は少し考えるようにうつむいた後にすぐにしゃべりだす。
「そうですね。戦うといっても一人で全部解決できるようになるには団長ほど強くないといけません」
「ですよね。でも、誰かの役に立てるくらいでいいんです」
「ですよね。そうなるとやっぱり後方支援が一番ですかね。一方的に遠距離攻撃ができるようになるといいですから。」
「でしたら、クロスボウとかはよろしくて」
「いいですね。うん、そうしましょうか。」
使うのが比較的簡単とされているクロスボウなのだが、どうしても再装填の速度が遅く、火力という面ではあまり期待できない。だが、扱いやすさとしては一級品だろう。
「そうと決まれば、さっそく練習してみましょうか。行きますよ。」
「ええちょっと待ってって。」
ルスベリー先輩は私の手を取ってちょっとばかし強引に連れていかれた。アネモネとガベーラントを置いていき、訓練所内を爆走する。道中、周りの目が気になるくらいには強引だったけど、これも彼女なりのやさしさの一つなのだろうか。
強引に連れていかれた後に出てきたのは、さっきの射撃所のようなところだった。そこに置いてあるのがクロスボウでなければだけどね。
「ここなら存分に練習できますよ。」
「ちょっと返事する前に連れてかないでくださいよ。」
「でも、強くなりたいんですよね。守る力が欲しいんですよね」
痛いところを突かれる。少しでも力があればと思うところがある。あの時にラニウリさんがケガしなかったかもしれない。それに、これからのことを考えると外に出ないとは限らない。もし、外に出て一人だけ何もできないとなると申し訳ない気持ちで溢れてしまう。
「そう、です。...どうすればうまく使えるようになりますか?」
「ふふ、いいですね。じゃあ、こっちに来てください。」
そう言って、射撃のところに立ってクロスボウを持って手招きする。ニコニコのルスベリー先輩はなんだか可愛くて後ずさりしてしまうほどだった。私がそこまで行くとクロスボウを持たせてくれて使い方を教えるように後ろから抱いてくれる。
「まずはですね。弦をひくところからですね。」
「う、おもい」
私の力じゃ引けないよー。それほどに重く、どうすればいいんかわからない。ルスベリー先輩のほうを見るとニコニコのままで違うクロスボウを持ってきた。
「うんうん、やっぱりそうですよね。そのクロスボウだと自分の力で引かないといけないのですが、こっちならこのレバーを引くだけで行けますよ」
「もぉ、最初からそうしてくださいよ。」
「やっぱり、困っている女の子は可愛いなって」
「いじわるですね」
顔を膨らませて、抗議するけど、ぷにぷにされて相手にされる。そんなことしながら使い方を教えてもらう。弦を引くところが一番やりずらかった。照準を安定させようとするにはやはりサイトがあると楽なのは変わらないと聞いた。練習をして少し経った後くらいにアネモネとガベーラントが追い付いてきた。けれど、もう今日はやることもないし、そのまま解散することになった。




