第十一話 決断の時
「しつれいしま~す」
その声に叩き起こされて目が覚める。ここ客室なんだけどと思いながらも来訪者が誰かを確認する。よく見えないけれど、茶髪の女性ということだけはよく分かったから多分ルスベリー先輩なのかな。彼女は部屋に入ってすぐに、カーテンを開けてこちらを見る。昨日確か起こしてほしいといった気がする。冗談っぽく言ったはずなんだけどなあ。
「シアハさん。よく眠れましたか。朝日を浴びて今日も元気に行きましょう!」
「ルスベリー先輩。おはようございます。朝から元気ですね。」
「もちろんなのです。正直言ってそれが取り柄みたいなところありますから。」
重い体を上げて、ベッドから出る。朝だけは気分が悪いというかベッドから出たくなくなることが多い。身支度を済ませるために、早めに洗面所へ行こうとする。そうするとルスベリー先輩が突然こちらに向かってきた。
「朝ごはん食べますか。用意しますよ。」
「じゃあ、いります~」
「ちょっと待っていてくださいね。」
そう言って部屋から出て行ってしまった。返事がかなり気の抜けた返事になってしまったのだがまあいいか。身支度を素早く済ませて、リビングのようなところに戻る。やることがないので窓から外を見る。外には割と街を見られるところになっており外には結界のように大きく円状のオーラで包まれていた。あれは、何かはわからない。知識を持っていたはずなんだけど知らない技術なのは興味をそそられる。
一人で思考に耽っていたところ。いい匂いにつられて振り返ってしまう。そこには朝ごはんを持ったルスベリー先輩がいた。ちゃんと二人分持っておりここでルスベリー先輩も食べるつもりなんだなと思った。
「ありがとうございます。ルスベリー先輩。これはなんですか?」
「いいんですよ。これはおにぎりっていう東のほうにある国から伝わったとされている料理ですよ。」
「何でできているのです?」
白い何かでできているのだが、小麦粉でできているのか?本当に何でできているか見当がつかない。
「これはですね。米っていう穀物の一種ですよ。食べると元気に動けるようになりますから。」
「へえ~。そうなんですね。とりあえず食べましょうか。」
「そうですね!」
二人でテーブルに座って一緒におにぎりを食べる。思った以上においしくてパクパク食べてしまう。おいしいごはんを食べて、今日は何をするかを考えていたところ。ルスベリー先輩によって呼び止められた。
その表情は重く、何か大事なことを聞こうとしているってことはよく分かった。
「シアハさん。今日のことなんですが...決まりましたか?それで予定が変わると思うので」
やはりかと思う。そうでなければ、結構おかしいことをしにきていると思っている。聞きたいことは救国騎士団に入るかどうかを聞きたいのだろう。その返答次第でこれからの予定。つまり、まだ案内を続けるかどうか。もし、入るのであれば手続きなどの公的な手順を踏む必要があるから予定が変わるのであろう。
しばらく、黙っている私なのだが、ルスベリー先輩は無言でニコニコして待っている。やっぱり私は。
「ルスベリー先輩。私は救国騎士団に入りたいと思います。」
「わかりました。では、団長に会いましょうか。ふふん、これで本当に先輩ですね。」
「行きましょう。案内お願いします。」
「はい!」
そう言って私はルスベリー先輩に連れられて、客室のある来賓館から団長のいるところへ行くことになる。割と朝になってから時間がたっていることから道中はあまり人に会うことはなかった。けれど、物資を運んでいる運送業者の人とは結構あった。この世界の運送する人たち本当に強くないといけなくて、町の中ならいいのだが、外ともなると様々な脅威にさらされることになるから大変そう。
そんな人たちを横目に早めに行くことにした。前に通った団長の執務室がある扉を開けて、中に入る。前は戸惑っていたからあまり周りを見られなかった。改めて見ると団長の部屋だけじゃなくてデカくて威圧感のある扉があることに気づいたけど早めに行きたかったので聞くことができなかった。
あらためて、深呼吸をして心を落ち着けてドアノブに手を当てて、ノックをして、団長の執務室へ入る。
「失礼します。シアハです。入ってよろしいでしょうか。」
「入っていい」
「失礼します。」「失礼しまーす。」
団長は書類の山に埋もれていてこちらを見ることが叶わないほどに仕事に埋もれている。大変そうだなと思っているところだったんだけど、なんだか散らかっているのが片付けたくなっちゃう。そうする前に団長は立ち上がってこちらに来ていた。
「案内の続きか?昨日、すべてを回ることができなかったと聞いている。」
「違います。聞いてほしいことがあるので来ました。」
「それは?」
もう一度、落ち着いて深呼吸をして。
「私は救国騎士団に入ります。よろしいでしょうか。」
「もちろん。断る理由がない。改めて、ようこそ救国騎士団へ。」「ようこそ~」
二人とも手を差し伸べてくれたからその手を取って改めて救国騎士団に入ったことを実感する。何をするか決まってはいないけれど知識を生かした何かしらのことはできるだろう。その過程で記憶を取り戻せたらいいなとは思う。何者なのかはまだわからない。
「一応聞くけれど、なんで入ろうと思ったのか聞いてもいいか。」
「えと、それは。信用しても大丈夫と判断したこと。助けられた恩を返そうと思ったからです。それと、ノームオイルに苦しむ人を一人でもなくしたいなと思ったからです。」
「いい理由だ。案内の続きをしようか。もっとここを見てくれると嬉しい。」
「そして、一度すべての施設を回って欲しい。そのあとにここで何をしてもらうかと制服の支給や住居の確保など様々なことをする。」
「では、昨日みたいにガベーラントとアネモネと行くのですか?」
「そのつもりだ。」
「ルスベリー先輩は?」
「すいませんね。シアハさん私はこのあと仕事があるので。」
「そういうわけだ。まあ、緊張する必要はないが彼らにも入団したことを言ってやってくれ。」
「わかりました」
軽い会話をした後に私はガベーラントとアネモネと昨日回れなかったところに行くことになった。




