第九十八話 戦場
出撃の瞬間、憧れのアニメシーンのように「アルティメット ゼロ! ユウ、出ます!!」と叫び、星々の大海原へ飛び出したユウ。
脳内のイメージと同調する試作機を駆り、迫りくる敵の無人機軍団を圧倒的なフォースの微修正と射撃精度で次々と破っていく。
無事に初陣を飾ったユウは、迫りくる過酷な戦場への緊張感を胸に抱きながら、熱耐久シールドを展開してスターサイド2の大気圏へと突入した。
一方、別の宇宙船では、脱走した危険なダークナイトの存在を巡り怪しげな思惑が交錯していた。
圧倒的な戦火が渦巻くスターサイド2の地表で、はたしてユウを待ち受ける試練とは――!
星の中へ入ると、そこはすでに戦火が舞っていた。
「こ、これは!?すでに侵攻が!?」
「そのようです。ユウ、前方にかなりの数の敵がいます。」
グルン!
敵もユウの機体に気がついた。
振り向いてこちらへ飛んでくる。
ビシュン!ビビビシュン!!
ユウは次々と撃墜していく。
ビシュン!
敵もビームライフルを撃ってきた。しかし、ユウにはそれが手に取るように分かった。
「よ!ほ!……こっちか!」
「素晴らしい回避です。わたしたちの補助よりも早く反応しています。ユウ、どうしたのですか?」
「何となくだけど、敵が撃ってくる瞬間がわかるんだよ。上手くいえないけど。」
後方からも敵のビームライフルが飛んでくる。
ビシュン!
!?
「おっと!……あ、やっぱりビームきてたのは、当たってた。」
「ユウ、後方からの攻撃もわかるのですか?」
「う、うん。勘だけど、なんだか危ないと感じたから機体をずらしたんだ。そしたら後ろからビームが通り過ぎたんだ。
やっぱり勘が当たった……この感覚を信じて被弾しないようにしよう!」
「これは想像以上です。」
ユウは次々と敵を撃墜していく。
◆
「ヘマ総帥!!なぞの機体が戦場に乱入して、我々の機体を次々に撃墜していっております!」
「なに!?新型か!?そんなはずはない!このサイド2は原始的な機体しかおらんはずだ!
もっと増員しろ!」
「かしこまりました!」
「念のため俺もでる!機体を用意しておけ!」
◆
「シャク。準備ができました。至急、ポートへ来てください。敵の総帥が出撃すると、向こうの人工知能システムから通信が入りました。」
「ついに……アリス、リスタ。行ってきます。
必ずユウを連れて帰ります。」
「お願いシャク!二人とも無理せず、帰ってきてね!」
「今回は、シャクにお願いするわ。ラムもマザーも繋がってるからね。」
「ありがとうございます。行ってきます!」
シャクは移動サークルでポートへ向かった。
ユウの時と同じく、上空には巨大な戦艦があり、すぐに乗り込んだ。
「シャク。ラムです。これより、わたしとマザーがランダムに通信するとは思いますが、焦らずに対応してください。
まず、そのまま移動して、試運転ルームへ移ります。
そこにはあなたの機体があるので、乗り込んでください。」
試運転ルームに辿り着き、シャク専用の機体を見た。
「こ、これがわたしの……」
「シャク、あなたのフォースに合わせて設計しております。
ユウのイメージする機体をベースに、ウイングの部分だけ、シャクのオリジナルのものにしました。
ユウに授けた機体は試作型。
シャクのものもまだ試作型ですが、ユウのものより、フォースの設定がしやすかったので、断然使いやすさはこちらが上です。
今回のシャクの任務は、ユウを連れて帰ることです。
まだ試作型なので、今回はこのミッションを達成することだけを考えてください。」
「わかりました。」
試運転をするシャクは、驚いていた。
「フォースの反応が良い。思ったように動ける。」
「では、配置についてください。足元をロックして、一気に加速します。
発進前に、シャクから合図してください。」
「あ、合図ですか?どんな合図を出せば良いですか?」
「ユウは、機体名と、自分の名前を言って、出ますと発言していました。ちなみに、機体名は、アルティメットゼロです。」
「え!?機体名まで?困りました……何も考えておりません……」
「時間がないので戦艦で発進します。サイド2へ着くまでにご検討ください。」
(ダメ!全然思いつかない!この機体はユウのイメージをベースにしたもの……なら、それに続く名前の方がいいわ。)
シャクは頭を悩ませたのだった。
◆
「ダークホープ、出る!」
ヘマ総帥の機体は、秘密裏に開発したロボットだ。
オートで動いている機体の性能の機動性を数倍にした機体。
マザーの試作型の方が機体性能は上だが、フォースの練度は間違いなくヘマ総帥が上。
早々にユウを発見して襲いかかる。
ビシュン!
「わ!危なかった!……え!?うわー!」
ビームを避けた先に、ヘマ総帥が現れる。
ビームソードを振り抜いて、ユウの機体の片腕を切断した。
「あ、危なかった!危うく胴体を持っていかれるところだった……」
「むう?ほう……あれを避けるとは……まさか、お前はフォースを扱えるのか?
なら、少し挨拶をしよう。」
ピキン! ズン!
「う!なんだ!?頭が気持ち悪い!嫌な感じだ!」
ダークホープはまた斬りかかる。
しかし、ユウはフォースを全力で解放し、集中した。
スカ!
「ふふふ、避けたか!ならば、本気で行くぞ!」
ユウも負けじとビームライフルを撃つが当たらない。ヒラヒラと回避され、距離を詰められる。
ザシュ!!
今度は片足を斬られる。
「うわあー!くそう!この人、なんか強い!」
ザシュ!!
更に頭部を破損。
「あ!スクリーンがほとんど見えない!……やばい!くる!」
スカ!
「んお!?メインカメラ壊したのに避けた!?
あいつ、なかなかセンスがある……尚更生かしてはおけん!トドメだ!」
ザシュ!
「わーー!!」
ユウのコックピットの真上から真っ二つになる。
ユウが姿を現した。
「危険です!緊急離脱します!」
バシュン!!
コックピットごと後方へ飛び出した。
かなりの速度で安全な場所を推定して離脱する。
ズドーーン!!
「あいつめ!緊急離脱しやがったな!?爆風で見失った!……だが、フォースがダダ漏れだ、微かにわかる、お前の居場所がな!」
森林地帯に放り出されたユウ。幸い怪我はない。
「あ、危なかった……危うく真っ二つになるところだった!」
ドズーーン!!
「げ!?もうバレたのか!?」
ダークホープから外部アナウンスでスピーカーモードとなる。
『新型のパイロットよ!人が操縦しているのはわかっている!!出てこい!』
ビシュン!!
ヘマ総帥はフォース感知である程度の場所にビームを放つ。
ズム!!ズドーーン!!
「わーーー!!」
ユウは爆風で吹き飛ばされ、その姿が丸見えになった。
『はっはっは!見つけたぞ!潰してやる!』
ビームで行手を止められた。
振り返ると、ダークホープが殴る体制に入っている。
「げ!直接殴ってくるの!?も、もう間に合わない!こうなったら一か八かだ!」
ユウも構える。そして、全力でダークホープへ向かって飛び、拳を振り抜いた。
ズガン!!!!
なんと、ユウの拳がダークホープの拳の装甲を微かに破壊した。
しかし、ロボットの方がはるかに大きいため、その勢いに押されてユウは吹き飛ばされた。
ズドーーン!!
「うわあーー!!」
近くの村や建物を貫通して吹き飛ばされる。
バチバチバチ……
ダークホープの右手は破壊されており、もう使えない状態となった。
「な、なんなんだあいつは……機体とやり合っただと!?化け物か!……は、いかん!トドメを、トドメを刺さねば!あんな化け物、野放しにしたらどうなるかわからん!」
(身体の強さはダークナイト以上だ!普通はあれほど全力で殴れば、身体はその場で砕ける。
だがあいつは事もあろうに吹き飛んでいった。
しかも、建物を貫通!?頑丈すぎる!)
◆
「着きました。ユウの機体は今破壊されましたが、なんとか脱出できているようです。
直ちに発進してください。」
「え!?ユウ、大丈夫なの!?わかりました!すぐいかなきゃ!えっと……
アルティメットシールド、シャク、出ます!」
滑走路から一気に飛び立った。
ギュイーーン!!
バシューーーーン!!
機体は一気に星の中に加速する。
シャクはアルティメットシールドのフォース探知とリンクしており、数十キロ先のユウの居場所が把握できた。
「見つけた!!無事でいてください、ユウ!!」
第九十八話 完
第九十八話をお読みいただき、本当にありがとうございました!
直感的なフォース回避で無双するユウの頼もしさから一転、強敵・ヘマ総帥の「ダークホープ」との凄絶な死闘が描かれる熱い回となりました!
機体を破壊され生身で追い詰められたユウが見せた、ロボットの装甲を拳で砕いて吹き飛ぶ圧倒的な頑丈さには驚かされましたね。そして危機一髪のところで駆けつけたシャクと「アルティメットシールド」! 次話で描かれる二人の共闘と反撃の展開に、ぜひご期待ください!
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