第九十七話 試作型
ユウが生還できる確率は、わずか40%――。
スターサイド1を率いる元ダークナイト・ヘマによる非道な侵攻に対し、圧倒的な戦力差と未経験のロボット操縦という過酷な状況の中、決死の覚悟で出撃したユウ。
残されたラボでは、アリスが大切な仲間を失う恐怖に震え、涙ながらにユウへの想いを吐露する。
そして、その悲しみと絶望を振り払うように、シャクは「命にかえてもユウを守る」と誓い、リスタやアリス、そして成長するAIのラムたちと固い絆を結ぶのだった。
それぞれの強い想いと祈りを背に受け、ユウはいま、漆黒の機体が待つ出撃ポートへと足を踏み入れる――!
とある宇宙船内。
「でもよお、あたしらの裏の任務、達成できなかったなぁ。」
「見つからないものは仕方がない。セブンスター全て回ったんだ。本気の探知にもかからない。」
(だが、確実にこの星のどこかにはいるだろう。上手く隠れたものだ。
ダークナイトを抜けて、細々と生きていくのか……それとも、その力を使って富を築くのか……もし、セブンスターを支配しようとするならば……短絡的なやつのことだ、きっと、星の制圧に踏み込むだろう……ユウ……もしあいつと関わるなら、心してかかれよ。
物体操作に関しては、ダークナイトの中でも指折りだ。機械とは相性が良い。)
◆
「こ、これが、俺の乗る機体!イメージと近い!」
「これは試作型です。コックピットの操作性は、フォース感知でもコントロールできるようにセミオート仕様にしています。
ユウが想像していた装備やウイング部分についてはまだ開発が追いつかず、非常にシンプルなものしか仕上げることができませんでした。
盾、ビームライフル、ビームソードは装備しています。
艦内で一度操作してみてください。」
艦内の試運転ルームで、試運転する。
「こ、ここがコックピット。すごい。イメージ通りだ。
ここがハンドル。ん?」
「それがフォース感知。
イメージしながら動いてみてください。」
ウィン……ドスン。
「あ、歩いた!」
ズガンシャン、ブォン。
ライフルを構えたり、ソードを振り抜いたり、一通りの動きは確認できた。
「ふう……なんとか動きだけは把握できたぞ!」
「素晴らしいです。では、これよりスターサイド2へ向かいます。」
戦艦はポートを離れて飛び上がり、そのままワープで移動する。
戦艦内のフロアで休息をとる。
「星が連なるとはいえ、さすがは星間移動。
ワープ無しだと時間がかかるんだろうか」
「その通りです。常に規則正しく一列になっているわけではないので、最短ルートを駆け抜ける必要があります。
ユウ。そろそろコックピットへ。
あと10分でワープが終わります。」
「了解です。」
ユウは機体に乗り込む。
「そういえば、この機体に名前はあるの?
出来れば、出撃のときは名乗ってから行きたいなーって思うんだけど……」
「ユウの想像のデータにも、皆そのような出撃をされていましたね。
名前は特にありません。出撃の際はわたしから合図をするので、ご自由に名付けて出撃してください。」
「な、ないのかー!……この機体は試作型って言ってたからなあ、よし……」
「ユウ、先程説明した通り、敵には自然にロックオンして把握できるようになっています。
一機でも多く処理してください。」
「了解!」
ワープが終わり、星から少し離れた場所で出撃を設定する。
「では、ユウ……出撃してください。」
戦艦のハッチが開く。
ガチャ、ガゴン!
出撃台に足元のロックがしっかり固定される。
(ふう……よし、いくぞ!)
「アルティメット ゼロ! ユウ、出ます!!」
ガシュン!ギュイーーーン!!
滑走路からスライダーが機体を走らせ、一気に宇宙空間に機体が投げ出された。
ユウは右手の操縦レバーを水平にしたまま、前にスライドする。
ウィーーン!!
すると、機体の背中のパックからエネルギーが放出される。
バシューーン!!
ブオオオオ!
機体は前方に加速して、サイド2へ接近していく。
「よし!上手く出撃できたぞ!……ん!?あれは!?」
ピピピピ……!
次々にロック反応がある。
敵の見張りがすでに星の前に複数いた。
「や、やるしかないよね……いくぞー!」
機体はライフルを構える。
ビシュン!!ビシュン!!
ビームが二機目掛けて飛んでいく。
不意をつかれた二機は直撃して爆発した。
「あ……爆発してしまった!」
「心配ありません。あの二機はオート操縦、人は乗っていません。もし万が一に人が乗っている場合は、わたしが常にスキャンで把握していますので、お教えします。」
「あ、ありがとうございますマザー。」
「よそ見はダメですよ?前方にまだ3機います。」
「ご、ごめんラム!よし!」
ビシュン、ビシュン!!ビシューン!!
ズビン!ズガン!ズギューン!!
ズドドドーーーン!!
「すごい、狙いが自然に合ってる。ありがとうラム!マザー!」
「わたしたちはほとんど何もしていません。
おそらく、微修正システムのおかげです。
ロックオンは自動で行いますから、多分狙いを定めた際に、機体が自然に調整したのだと考えられます。
もしくは、ユウの腕が良いということです。」
「なるほど、だからある程度敵に銃口を合わせてボタンを押すと、微調整で当たるということか!」
「素晴らしいです。では、一度こちらへ戻りますか?」
「いや、このまま星の中へ行くよ!」
バシューン!!
アルティメットゼロはそのまま加速して星へ入っていく。
熱耐久シールドもあるため、ラムの判断で即座に展開する。
(いよいよ本格的な戦場だ。よし……一度深呼吸しよう……)
ユウは緊張していた。
「よし!さあ、行こう!!」
第九十七話 完
第九十七話をお読みいただき、本当にありがとうございました!
冒頭の怪しげな宇宙船内での会話、そしてユウの熱い「アルティメット ゼロ! ユウ、出ます!!」の初出撃シーンと、胸が高鳴る展開となりました!
試作機でありながら、見事な射撃で敵の無人機を撃破していくユウ。いよいよ熱耐久シールドを展開してスターサイド2の内部へと突入し、本格的な戦場へと足を踏み入れます。はたして地上で何が待ち受けているのか、次話からの展開にぜひご期待ください!
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