第八十三話 真実への道
自分のルーツである「神々」の真実を追うため、生まれ育った星を出る決意を固めたシャク。
一方、ユウは三日後に迫った旅立ちに向け、リスタと共にフォースの反復特訓に励んでいた。
迫る別れの時。テラスで二人きりになったユウとシャクは、お互いの未来へエールを送り合う。しかし、シャクの胸の奥には、誰にも言えない本当の想いが隠されていた。
そして迎えた出発の朝、トウ姫から手渡された不思議な「玉手箱」が、宇宙へ飛び立ったユウたちに最大の衝撃をもたらす――!
「シャクよ。顔つきが少し変わったのう。何か心に決めたという顔じゃ。」
「姉様……わたし、この星から出ようと思う……」
「この星から出るか……それも良いじゃろう。外の世界を知るのもまた人生じゃ。」
「なので、同盟が正式に結ばれる日、わたしはフェビルに頼んで、宇宙船を用意してもらおうと思うのです。」
「ふむ、本気のようじゃな。なら止めはせん。思う存分、旅をしてくるがいい。アリスやユウたちは明日旅立つ。きちんと別れを済ませておくんじゃぞ?」
「はい。」
◆
「ユウ! これ受け取ってー!」
リスタはクリプタ製品のお皿や小物を、少し離れた場所からユウへ差し出す。
グン! スイー。
「お! その調子! いいぞー!……あ!」
リスタも一緒にユウの方へ引き寄せられる。だが、リスタは浮遊が使えるため、うまくコントロールしてユウのフォースから逃れた。
「危な〜い。けど、コントロールが少しずつ上手くなってきてるね〜!」
「ごめんリスタ! なかなかだなあ、まだ大雑把だ。リスタみたいに器用にできたらいいんだけど。」
「こればかりはわたしも感覚だから、どうアドバイスしていいかわからないの。ごめんね、ユウ。」
「全然大丈夫! 気にしないで、リスタ! 反復して、分析する。これは今まで何度もやってきたことだから、全然苦じゃないんだ!」
ユウはフォースの扱いに苦戦していた。ただし、文献があるわけでもない。トウの指導も済んだ今、あとは反復して感覚を掴むしかなかった。
「修業して、宇宙を救うんだよな!?」
「そ、そんな大袈裟な……あくまで役に立てるかだよ。だから、今から頑張らないと!」
「みんな。」
「シャク!」
みんながシャクの方へ駆け寄る。
「おはよう、シャク。あ、そろそろ朝ごはんの時間?」
「あ、うん……それもあるんだけど、みんなに話しておきたいことがあるの。」
シャクは自分の決意を皆に伝えた。全員驚いたが、すぐに場は明るくなる。
「おう! 任せておけ! 宇宙船、しっかり用意しといてやるよ!」
「シャク、自分のルーツを探しにいくんだね。」
「頑張ってね、シャク!」
皆、各々の気持ちを言葉にして送り出した。
◆
その日の夜。宮殿のテラスにて。
「シャク、すごいね。一人で旅に出るなんて……俺はみんながいたから……」
「いえ、わたしはユウのように使命を背負っているわけでもない。ただ、自分の生まれた経緯を知りたいのです。誰にも迷惑をかけるわけにはいきませんから……。とても短い間だったけど、姉を一緒に救い、行動を共にして、なんだかユウたちの仲間になれた気がしました。とても楽しかったです。」
「そんな……迷惑だなんて……。そっか……俺は正直、明日みんなと別れるのは寂しい。でも、シャクも決意したんだね。旅は大変だと思うけど、元気でね。今度会う時には、もっと成長したところを見せられるように、俺も頑張るよ! きっと、またどこかで会おう!」
そう言って、ユウはシャクと握手を交わした。
「ユウ……本当にありがとう。どうかお元気で。」
シャクもお礼を伝える。ユウは先に部屋へと帰っていった。
シャクはベンチに座り、静かに星を眺めていた。
(本当は………みんなと一緒に、行きたい……。わたしも、仲間に入れて欲しい……。だけど、ユウたちの旅に私情を入れたら、きっと迷惑になる……。ああ……こんな気持ちは初めてかもしれない。仲間というのは、こんなにも心地よいものだったのですね……)
シャクは静かに泣きながら一晩を過ごした。初めて実感する仲間との別れに、寂しさで涙は止まらなかった。
◆
翌朝。ついに出発の時が来た。
アリスは皆と挨拶を交わしていた。エルボ博士からは、次の星までのルートなど様々な情報を聞き出し、ラムへ転送している。何やら真剣な顔をしている。
フェビルや、フェアリーリング、ネビルの民たちもお見送りに来てくれた。
「ユウよ。どこへ行ってもお前は優秀だ。もし旅に疲れたら、いつでもこのネビルへ戻り、上官として働いてくれ。」
総司令官は冗談混じりにユウを勧誘する。
「ありがとうございます。しっかり成長してきます!」
そして、トウからの餞別があった。
「ほれ、ユウ、アリス、リスタよ。これは妾からの餞別じゃ。きっと役に立つ、持っていけ!」
大きな箱に、紐で丁寧に結んである。玉手箱のように、その箱は神妙に輝いていた。
「よいか? 発進して星の外に出るまでは、決して開けるでないぞ?」
「は、はい、わかりました。」
(開けるとお爺さんになるとか?……勘弁してくれよ、トウ姫様……)
「シャクは……来なかったね……」
「あやつには今日、用事を指示しておる。昨日のうちに挨拶を済ませるようにも伝えておいた。」
「ああ、だから昨日来てくれたのか。そっか……最後に一目見たかったけど、またどこかの星で会えるよね。」
「じゃあ、みんな、また会う日まで!」
「ユウーーー!! しっかり強くなれよーー!!」
「お前もな、フェビルー! 元気でなー!」
こうして、惑星クリプタを飛び出し、ついに星々の集合地帯、セブンスターへ向けて飛び立ったのだった。
「なんだか、あっという間だったね……」
「けど、わたしやユウは、やっぱり超感覚が成長して良かったよ! ラボのデータはすごいね!」
「うん! 俺はもっと強くならなきゃ……。ダークナイトに負けないくらいにならなきゃ、みんなを守れないよね。」
「贈り物って、なんだったんだろう?」
アリスの言葉に、皆の好奇心が湧く。
「もう星を出たから、開けてもいいんじゃないかな?」
「じゃあ、開けてみよう!」
リスタはキャスター付きの台車を転がして、贈り物を運んでくる。
「なになに? 説明が……『この紐はフォースを操作しなければ開かない。ユウとリスタで協力して開けること』だってさ。」
「じゃあ、フォースを手に込めて、一緒に引き抜く感じで開けましょうか!」
リスタのアドバイスを聞きながら、案外すんなりと箱は開いた。
すると、もくもくと煙が溢れ出てくる。
フワー! モクモク……。
「ぬあー!? いけない! みんな、これはきっと、お爺さんになる煙だーーー!」
「いやユウ、お伽話よ、それは。そんな装置、まだ見たことないわよ?」
煙が少しずつ薄れてくる。徐々に中身が見えるようになり、三人は中を覗き込む。
「こ、これは……!? ………えええええええ!!!」
果たして、中身は何が入っていたのか!?
第八十三話 完
第八十三話をお読みいただきありがとうございました!
前半のシャクの「本当はみんなと一緒に行きたい、置いていかないで」という涙の独白には、読んでいて胸が締め付けられるような切なさがありましたね。しかしそんな感傷を吹き飛ばす、ラストのトウ姫からのフォース限定の玉手箱!
お爺さんになる煙だと本気でパニックになるユウの静止を振り切り、箱を開けた三人が目にしたものとは一体……!?
箱の中身が気になる、そして新章セブンスター編の展開にワクワクするという方は、ぜひブックマークや評価、感想コメントをお願いいたします!皆様のリアクションが日々の執筆の最大のエネルギーになります。
現在開催中のコンテストにも参加しております。熱い応援の一票をよろしくお願いいたします!
また、もう一つの人生逆転劇**『Another Life 〜現実が詰んだので、フルダイブVRで人生やり直します〜』(N0377LN)**も絶賛連載中です。新タイトル『Ultimate Wars ー 才能なしの人生だった俺、宇宙の危機に人類の切り札として無双するー』での衝撃のラストから繋がる次回の新展開とあわせて、こちらのVR世界での冒険もぜひ楽しんでみてください!




