第七十七話 タイプ
シャクを庇うため、大広間で堂々の「タイプ」宣言を放ったユウ。
その無自覚なフォースの波動は、一同に大きすぎる衝撃を与えることに。
騒がしい一日の終わりに、夜の園庭で二人きりになったユウとアリス。
すれ違う言葉の中で、二人の関係性にも少しずつ、確かな変化が訪れようとしていました。
スッ。
ユウはさりげなく手を挙げる。その光景にトウが気づいた。
「ん?なんじゃユウ、小便か?」
ユウは無意識にフォースを解放する。シャクを庇いたい一心だった。
「俺は、トウ姫様より、シャクの方が!ぶっちぎりでタイプです‼︎ Bakugoon‼︎」
ドン‼︎
かなりのドヤ顔だった。
!?
その瞬間、ユウの周りにフォースが纏われる。トウとシャクもそのフォースに当てられた。
「んぐ!ユウ!ちょっと控えぃ!ただの余興じゃ!!冗談じゃ!」
「え?冗談……あ、俺、今かなり恥ずかしいこと言っちまった?」
無我夢中だったユウは我に返る。
シャクは地面に倒れてアリスに抱き抱えられている。
「はぁぁ……ユウ、もうそのへんで勘弁してください……身が持ちません。」
「あらあら、こりゃすごいわね。ユウ、この星にきてまた別人になっちゃったわね………」
(って、これってつまり……ユウは無意識に色気が出てきてるんじゃ……)
アリスはリスタと顔を見合わせる。
「アリス‼︎ これは大問題だよ‼︎」
「ええ、そうねリスタ!わたしたちのユウが、どんどんダーク側に落ちていくなんて!」
「おいおい、いくらなんでも大袈裟じゃねえのか?ただ好みを言っただけだぞ?なあユウ?」
「フェビルは黙っててーーー‼︎ Capitol!」
「う、うおお!」
二人の剣幕に、フェビルはたじろぐ。
余興が続きそうだったので、フェビルの母親には移住の件は一度持ち帰ってもらった。その足でフェビルも一旦帰宅。
ユウたちは、また宮殿に泊まることになった。前に泊まった場所をそのまま使わせてもらうことになった。
◆
その夜。
ユウは一人で園庭にいた。
(俺、どうしちまったんだろう。けど、前より確かに強くなってる。まさか、こんな超能力みたいな力が使えるなんて……でも、まだみんなに迷惑かけてばかりだ。)
そこに、アリスがやってくる。
「ユウ、眠れないの?」
「アリス……そうなんだ。俺、トウ姫様との修行で、確かにフォースに目覚めて強くなった。多分これは戦闘においてかなり有利になると思うんだ。けど……なんか、自分の気持ちに正直になると、どうもみんなに迷惑になるんだ。だから、ここにいる間に少しでも修行しなくちゃって思ってた。」
「ユウ……シャクのこと、タイプなの?」
アリスは唐突に聞いた。
「え?!あ、あれは咄嗟に出たというか、あんな吊し上げ、見てられなかったし……でもまあ、トウ姫様とシャクの二択だったろ?なら、そりゃあシャクだよ!」
アリスはクスッと笑う。
「なーんだ!二択ならってことね!良かった!」
「良かった?」
「ふえ?!あ、いやあ、ユウがシャクに恋したらどうしようって思ってたの!ほら、これからいろんな星に行くわけだしさ!」
「あ、ああ、そういうことか。びっくりした。」
(アリス、まさかな。やっぱりそういうことか。ちょっとドキドキしちゃったよ。)
(え?びっくりしたって、どっちの意味?!え!ユウ……いや、まさか!まさかね……!そう、わたしはエージェント……なに期待してるの!?)
「宇宙には、トウ姫様やシャクのような人、たくさんいるのかなあ……」
(フォースを扱える種族がこの宇宙にはもっとたくさんいると思うと、俺もまだまだ鍛えなきゃな。)
ユウは心の声が言葉足らずだった。それをアリスは勘違いすることになる。
(ええ??ちょっと、もしかして宇宙の美女を妄想してるの?!これはいけない!そんなことになるくらいなら!)
アリスはユウの顔を両手で掴んで、自分の方へ向ける。
ガシ!
ぐるん!
「わ!どうしたの??」
ユウの目の前にアリスの顔がある。ユウは顔が真っ赤になった。
「ユウ……そ、そりゃあトウ姫もシャクも美人でグラマラスだけど……宇宙には確かにいるかもしれないけど……」
(な、なんの話をしてるんだ??)
「わ、わたしだってユウのそばにいるんだから、忘れないでね……」
ユウはなんのことだかさっぱりわからなかった。だが、アリスの必死で、そして切なそうな顔を見て、感覚で応えるしかなかった。
(え、え?よくわからない……けど、そうだね。戦いばかりに目が向いてたら、いつも支えてくれてる人のこと、見失っちゃいけないよね!)
「ありがとう、アリス。俺はアリスに誘われてここまできた。俺の大事な人だから……忘れたりしないよ。」
ぎゅ。
ユウはアリスをそっと抱きしめた。それは恋人のそれとは違うものではあるが、とても温かい抱擁だった。
(え!えええええ!まさか、ユウ?!あわわわ。ついこの前だったら全然平気だったのに、なんで今日はドキドキするの?!けど、なんだか温かくて落ち着く。ちょっとびっくりしたけど、やっぱりユウはわたしにとって大切な人になったんだね。)
アリスは少し動揺したが、またいつもの落ち着きを取り戻した。アリスの心境も少しずつ変わり始めている。エージェントとして育った分、そこに辿り着くのは、まだ先になりそうだ。
第七十七話 完
第七十七話をお読みいただきありがとうございました!
ユウの豪快な勘違い(?)からのアリスへのハグ、そしてアリスの動揺と、二人のもどかしくも甘い距離感にニヤニヤが止まらない回となりました。エージェントとして生きてきたアリスの心が解けていく様子は、見守りたくなりますね!
この展開を気に入っていただけましたら、ぜひブックマークや評価、感想コメントをお願いします!皆様の温かい応援が、毎日の執筆の大きな励みになります。
現在開催中のコンテストにも参加しております。ぜひ応援の一票をよろしくお願いいたします!
また、もう一つの人生逆転劇**『Another Life 〜現実が詰んだので、フルダイブVRで人生やり直します〜』(N0377LN)**も絶賛連載中です。本作の新タイトル『Ultimate Wars ー 才能なしの人生だった俺、宇宙の危機に人類の切り札として無双するー』での大躍進とあわせて、こちらのVR世界での冒険もぜひチェックしてみてください!




