第七十六話 フェビルの家族
ネビル都市での会談まで残り一週間。
大聖堂での歴史的な対話に向けた準備が進む中、一行はフェアリーリングの地で束の間の休息を得る。
フェビルと母親の再会、そして明らかになる家系の秘密。
和やかな雰囲気の中、ユウの無自覚な「フォース」が新たな波紋を呼ぶ――。
会談は一週間後に行うことになった。
ネビル都市では、今後もこのような会談を行えるように、都市開発のプランにも大聖堂を作ることを含めていた。
何年も前からプランは進めており、去年完成していたため、今回が初使用となる。
ネビルはこの星に来た時から、この未来に備えていたのだ。
◆
フェビルは、母親をフェアリーリングへ連れて行っていた。
「かあちゃん!ここが、俺たちの先祖の故郷らしいぜ!」
「フェビル……ありがとう、ずっと夢だった。なんて空気の澄んだ土地なの……ああ……心地よいフォースも感じる……」
フェアリーリングの宮殿に案内する。
フェビルの母親は、シャクやトウの前で跪く。
「この度は、フェビルがお世話になりました。あなた方のおかげで、わたしたちの暮らしも良くなり、治療も受けることができました。」
「面を上げぃ、そなたは妾と同等じゃ。対等に話して良い。そなたも知っておるのだろう?妾とそなたは親戚じゃ。」
「やはり……そうでしたか、どうりで懐かしい気がしたのです。」
「抜け出したフェアリーリングの男は、妾の曽祖父の系譜じゃ。フォースの強い王族と一般の民。もう、遡ると数え切れんが、今はここにおる面子だけが、王族と関わりのある血統となった。スラムにも、もしかすると、遠い親戚の系譜の者がおるかもしれんな。」
「……その可能性はあります。この子が生まれる前、わたしはある女性と知り合いでした。お互い惹かれ合うと言うのでしょうか、ある程度考えていることもわかってしまうのです。しばらく協力してスラムで生活していましたが、ある日突然身籠り、そこから生まれた子が、とてつもないフォースの素質を持っていました。やがて、その親子は何者かに連れて行かれ、それからわたしは一人で暮らしていたところを、フェビルの父、ネビル人に救われて結ばれました。」
シャクは身を乗り出す。
「アーク……その子はアークという名ではなかった?」
「その通りです。ああ、あなたは……いつも近くで見守ってくださっていた方ですね……お久しゅうございます。」
「あ……ば、バレていたのですね……お恥ずかしい……」
「ぷっ。シャクも。そんなところあるんだね!意外〜。」
「お前も時々そういう抜けがあるからのう。見た目は可憐な乙女なのに、もったいないのぉ〜。」
「いや、シャクはそれで良いよ。その方が俺は好きだな。可愛いと思うよ?」
「こらユウ!悪気が無いのはわかるが!その手の類の感情、シャクにはダイレクトに触れるから気をつけい!」
「え、ええ?!ど、どういうこと?!」
シャクの顔は真っ赤だ。
ぺたんと座り込み顔を隠している。
フェビルの母親も、リスタも、なんとなく察している。
なんと、フェビルもそこそこ感じていたのだ。
「おいユウ!お前、気持ちを乗せすぎだぜ!あれじゃ女の子が勘違いしちまうだろ?!」
「え?!フェビルもわかるの?!」
「何となくだ!なんかこう、お前から色気みたいなもんがプンプン出てたぞ!とくに何か見えるわけじゃねえけどな。何となくだ!」
「ほう、小僧もやりおるのう。これからは、妾が鍛えてやろう。系譜的にはなんも問題はない。時機に成長するだろう。」
「あと、フェビルのおかあさん。もしよろしければ、フェアリーリングの居住区で住んでみてはどうですか?お身体に合うかと思うのですが。」
「おう!それが良い!それなら俺も安心して働ける!このボインの姫様たちがいれば、安心だぜ!」
「お、おいフェビル!!」
ユウはチラッとトウを見る。
すると不敵な笑みを浮かべていた。
(やべえ!怒らせたかも!さらば、フェビル!)
「ぷっ。あははは!なかなか面白いのうフェビル!妾の魅力をよくわかっとるじゃあないか!妾ほどじゃないが、シャクもなかなかじゃろう?」
(ええええ!?怒ってないどころか喜んでるのか??俺は怒られたのに……)
「すまねえ!俺は思った事すぐ言っちまう癖があるんだ!許してくれ!」
「良い良い!ちなみに、妾たち姉妹だと、どちらのタイプが好みじゃ?」
「ちょ、姉さん!?」
「んー!俺はトウ姫様だな!!色気が半端ねえぜ!」
(こいつ!言いやがったーー!じゃあ、俺も便乗しよう。)
「ぷはははは!良い!実に面白い!フェビルよ!よくわかっておるではないか〜!シャクよ!グラマラス選手権は、また妾の勝ちじゃのう〜。」
シャクは少し不貞腐れている。姉にはいつもグラマラス選手権でボロ負けしているからだ。
(これはちょっと可哀想だ!シャクがあんまりじゃないか!てか、俺はシャクの方がタイプだけどな。よーし。)
スッ。
ユウはさりげなく手を挙げる。
(ゆ、ユウ?なんかすごい気配。な、何かするつもり?)
アリスはシャクのそばで心配そうに見ているのだった。
第七十六話 完
第七十六話をお読みいただきありがとうございました!
フェビル親子とフェアリーリングの繋がりが判明し、さらにユウの無自覚な「フェロモン(フォース)」がシャクを翻弄する、少しコミカルで温かい回となりました。ユウは一体、何をするつもりなのでしょうか?ぜひ次回も見届けてください!
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