第七十二話 調査メンバー
ネビル軍の総統括として、森の調査と和平交渉の任務を帯びたユウ。
彼はアリス、そしてフェビルを連れ、一路フェアリーリングの聖域を目指す。
道中で明かされるユウの正体、そして深まるフェビルとの絆。
トウ姫との因縁の再会が待ち受ける、交渉の舞台がいよいよ幕を開けます。
「わかりました。森への潜入調査と交渉へ行って参ります。いくつかお願いしたいことがありますが、よろしいでしょうか?」
「なんだ?」
「さすがに一人では、何かあった際に対応しかねます。せめてあと二人、こちらから任命させていただけないでしょうか?」
「許そう。だれが良い?」
「監視塔の二人です。よくコミュニケーションをとっていたので、連携しやすいかと。」
「わかった。二人には辞令を出しておく。期間は設定しない。自分たちのペースで調査を行うように。必要なものは、すべてこちらで整えておく。今日の帰りに持ち帰るように。」
◆
「ユウ!今度は一緒に調査だな!装備も食糧もこの通り!1ヶ月分はあるぜ!」
(概ね1ヶ月以内に帰ってこいということか。)
「よろしくなフェビル、明日の朝、都市のゲート前で落ち合おう。」
◆
ピッ!
「よし、探知機や盗聴器の類はなし。」
「なかなか、想像と違う展開ね。まさか、ネビルがこの星を救おうとしていたなんて。なら、話は早いわ。フェアリーリングへ行って、和平を結ぶように説得したらいいのね。」
「けど、すんなり行くかな?トウ姫様がいるんだよ?」
「そこなのよね。シャクだったらスムーズにいけそうなんだけど、トウ姫はプライドが高そうだから。なんにせよ。行くしかないね。フェビルはどうする?蚊帳の外じゃ、会話が面倒だよね。」
「この際だから、もう話してもいいんじゃないかな?確かに、一人だけわかってないのは、面倒だね。森の中に着くまでに、軽く話しておこう。その前に。装備品や飛行車のチェックもしないと。」
◆
「よっしゃーー‼︎行くぜー‼︎」
(すごいテンションだな。)
ピッ!
(よし、異常なし。)
「アリス、良ければ運転教えてくれないか?この際にできるようになりたいんだ。」
「ええ、いいわよ。というか、かなり簡単よ?これがスイッチ……すると、勝手に浮くから。ハンドル操作が少し違うくらいかな。アップダウン方向でそのまま高低、後は同じね。ほら、遊園地なんかでクルクル飛び回る乗り物あるじゃない?あの感覚よ。」
(あの、象や飛行機のやつか……そういえば、地元の遊園地は、老朽化で閉園になったっけ……懐かしいな。)
「ユウ……?」
ユウはハッとする。
「よし、発進!」
スーッと浮かび上がり、スルスルとスラムを抜けていく。
「ユウ?もっと上空を飛んでいいんだよ?」
「ちょっと試運転!なんか、フォース覚醒してから、変な感じなんだ!あらゆる"もの"の実体を肌で感じるというか、わかるというか。だから、ほら!どこにどんなものがあるかわかるから、運転がしやすい!」
「う、うおおお!ぶつかるー!あ、あぶねー!うお!また!ぎゃー!」
「や、やっぱりやめよう……」
「そうね、騒がしいわ。」
(けど……本当にすごい操縦。ユウにこんな特技があったなんて……いや、得意になった?)
◆
森の入り口に到着する。
飛行車は木々をかぎ分けてすいすいと進む。
「お、おい!ユウ!慎重に進まなくて大丈夫か?何が起こるかわからんぞ?!」
「ああ、全然大丈夫なんだ、もうすぐそこだよ。」
「へ?!知っているのか?この土地を!」
(そろそろいい頃合いだ。)
ユウは、アリスと一緒にフェビルにわかりやすく説明した。もちろん、ユウたちのことも。
フェビルは下を向いて黙っていた。
「す、すまないフェビル、騙すつもりじゃなかったんだ。俺は、本当にフェビルを友達と思ってる。」
ガバ!
フェビルは顔を上げて目を輝かせる。
「すんげぇー!そんなこと、かあちゃんから御伽話でしか聞いたことなかったぜ!本当にいたんだな!世界を救う救世主!」
少しの間興奮したが、意外と冷静になる。
「なるほど、そしたら、トウ姫様たちと交渉が成立したら、争わなくて済むんだな?」
「そう。そして、これはラボも関係している。すでにラムからあちらには報告してあるから、もう集まってると思うわ。」
飛行車は森を抜け、フェアリーリングへ入っていく。
フェビルは大興奮している。母親から聞いていた光景そのものだった。
「さあ、ついたぞ、ここからは徒歩で行く。アリス、神殿でいいんだよね?」
「ええ。もうお待ちかねよ!」
ビリ!
(う!この圧はトウ姫様だな、俺への当てつけだと、今ならすぐにわかる!現に二人には当ててない。んなろう…悔しいけど、フォースでは勝ち目がない。ここにいる間に、多くを学ぼう。とにかく、今はこの星のために、俺が間を取り持つんだ!)
第七十二話 完
第七十二話をお読みいただきありがとうございました!
ついに森の深部、フェアリーリングの神殿へと足を踏み入れたユウたち。トウ姫の威圧感あふれるお出迎え(?)に、ユウの心臓は休まる暇もありませんが、ここからが本当の交渉の始まりです!
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