第六十九話 救出
アリスの緻密な作戦、そしてユウの覚醒したフォースが、閉塞した基地からの脱出を可能にする。
トウ姫を抱え、極限の緊張感の中、ユウは出口を目指す。
無事に彼女をシャクたちの待つ場所へ送り届けられるのか。
運命の脱出劇、ついに完結へ!
昼になり、監視カメラは全て止まる。
監視塔からアリスがラム経由でユウへ信号を送り、確実に監視カメラが止まったことを知る。
「フェビル、今日は13エリアの売店で昼食を買いたいわ。付き合ってくれる?」
「おうよ!いいぜ!ユウにお土産持って行こう!」
ユウサイド。
「お疲れ様です。すみません、少し早いですが、休憩に入ります。あの、その前にトイレに行きたいので、念のため中を監視してもらって良いですか?」
「ああ、わかった、行ってきな。」
兵士は振り向いて、捕獲室を開け中に入る。
ユウは気づかれないようにサッと飛び込み、隠れる。
「おう、ちゃんといるな。フォースさえ使わなければ、上玉なんだがなあ。」
ユウは背後へ周り、手刀で気絶させる。
「おぐわ!」
ドサ。
ユウはトウの手鎖や檻を解除する。
『上出来じゃ、少しあっちを向いとれ!』
ユウはトウに背中を向けたまま、兵士の服を剥ぎ取り、トウへバックパスする。
同時にトウも脱いだ衣類をユウへ投げる。
ガシャ。
衣類はユウの上から覆い被さる。
「んご!と、トウ姫様!?」
「おおすまん!仕返しじゃ!」
「?、なんの仕返しですか……」
「フォース覚醒のとき、お前に辱めを受けたからのう!」
「え?!俺何も覚えてなくて……す、すみませんでした!……ん?」
「どうした?」
トウは兵士の服を着ながら問いかける。
「こ、この服……」
「すまんのう。あまり清潔にしてもらえなんだ、そんなこと気にせず、作戦を…」
「な、なんか、シャクと似てる気がする……リスタとも……ん?フェビル??どうなってるんだ?」
「なにぃ?!フォースの思念から読み取ったのか?ええい、後じゃ!早く行くぞい!」
兵士に手鎖や檻を設置して、ロックする。
ロックのログは全て削除する。
首のリングでネビル人の顔に変身する。
「よし!行きましょう!」
この時点で、残り10分程度。
エレベーターの中に入る。
そこに、幹部らが同乗していた。
こんなこともあろうかと、ユウもネビル人へ変身しており、ことなきを得る。
エレベーターを降りて、ホールへ。
後少しで基地から出られる。
と、そこにまた幹部がおり、すれ違う。
「お疲れ様です。」ユウは会釈する。
「………」
トウはなにもせず、毅然と通り過ぎる。
「そこのお前!挨拶もできんのか!」
振り向き様に幹部が手を伸ばした先に、首のリングに手が当たる。
このことをコンマ数秒前にユウが予知していたため、もう動き出していた。
目にも止まらぬ速さでリングのボタンを再起動させ、同時に幹部の腕を掴む。
「ぬ??貴様?!」
「申し訳ありません。こいつは今喉をやられており、少し熱があるみたいなので、今から早退させます。」
「そうか、それでぼんやり素通りしたと言うわけだな。それなら仕方ない。次は気をつけるように。」
「失礼します。」
『ちょっとトウ姫様!ちゃんと会釈くらいしてよ!上司に挨拶するなんて、一般常識ですよ?!』
『たわけ!妾があんな奴らに頭を垂れてたまるか!』
(だめだこの人は、一般的なことが通用しない。)
基地を出て、敷地外へ出ると、シャクとリスタが車を手配して待ち構えている予定だ。しかし、その場所は少し特殊。
ユウは、民家の中へ入っていく。
建物の路地のような場所。
「よし!」
ユウはトウをお姫様抱っこする。
カーッ!
トウは顔を真っ赤にする。
「な、なんじゃ?!お、下せ!自分で歩くわい!」
「飛んじゃダメです!」
そのまま路地を高速で走り抜けると、シャクがいた。
変装を解き、車へ乗り込む。
「後は頼んだ!」
「はい!ユウもお気をつけて!」
ユウはすぐに基地に戻る!
「姉さん!これを!」
シャクは、姉用の服を渡す。
車は円形のシールドで覆われており、外からは中は見えない。
すぐにトウは着替える。
すぐ横の下町の焼却炉へ、兵士の服を放り込む。
「ふう。やっと自由になれたわい。遅すぎて待ちくたびれたぞ!」
「姉さん!」
シャクはトウに抱きつく。
「はじめまして、トウ姫様。リスタと申します。」
「ふむ。リスタよ。そなたは妾に気を遣わなくて良い。身内なのだからのう。」
「へ?み、身内?」
「ひとまずここから離れましょう。発進します。」
ラムは自動運転を開始する。
「どう言うことですか姉さん?」
「リスタはの。妾の祖父母の兄妹の末裔じゃ。
リスタがこの星にきてから、妙に懐かしい感覚がして、探らせてもらった。」
「えええええ!わたし、フェアリーリングの王族の末裔だったんですかーー!?」
「ふふ。しかし、妾の祖父母といえば、もう何千年も前の存在。とっくに血は薄れてしまっとるが、お前は先祖返りしておるみたいじゃな。
フォースが祖父母にそっくりじゃ。」
「間もなく、フェアリーリングの領土へ入ります。」
救出は無事に成功した。
ユウは無事に戻れたのか。
基地を出た時は、すでに残り5分。
間に合うか、ユウ。
第六十九話 完
第六十九話をお読みいただきありがとうございました!
ついにトウ姫の救出に成功しました!リスタとフェアリーリング王族の血のつながりという衝撃の事実も判明し、物語が一気に大きく動き出しましたね。
基地へ戻らなければならないユウは間に合うのでしょうか……次回も目が離せません!
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