第六十八話 細かいことは後
ついに訪れた、トウ姫救出の時。
アリスが緻密に練り上げた作戦のもと、チームは静かに動き出します。
しかし、覚醒したユウのフォースは、本人の知らぬ間に仲間たちを内側から「攻略」してしまっていたようで――。
『こ、こうですか?』
『おうおう、そうじゃそうじゃ、格段にコントロールが早いのぅ。
まあ、オンオフについては、まだ先じゃ。
妾はそろそろここでの生活に飽きてきた。
早いところ、シャクと作戦を立てて、ひとまずここから出してくれ』
『……トウ姫様、もしトウ姫様がいなくなったら、ここは混乱する。
その後は、やはり、戦争になるんでしょうか?』
『……………どうかな……………それは、奴ら次第じゃ。じゃが、思っとることと違うこともある。
ユウよ……シャクと作戦を立てる時は、お主らの正体は絶対にバレんような作戦にするのじゃ』
『……戦争にならないため、ですか?』
『それは、結果の話。妾を救った後も、ここでしばらく働いてみい。
そうすれば、戦争を止められるやもしれんぞ?』
『……もしかして、フォースが、そう言っているのですか?』
『……どうしてそう思う?』
『なんとなくです……なんかこう。頭のこの辺が、モヤモヤっとするんです』
『正しい反応だ……そうじゃ、お主も今や覚醒者……その感覚を大事にして、未来を決めるんじゃ』
◆
「と、言うわけで、アリス。」
「うん。もう作戦は考えてある。
トウ姫様のアドバイスもちゃんと受け入れて、それを見越して作戦を立てたわ。」
「つ、ついに、始まるんだね。」
「姉さん……」
アリスは淡々と作戦を語る。
皆、納得して、明日に備えることにした。
(ついに、明日姉さんが助かるのね。
そ、それにしても……ゆ、ユウ……全く制御してないじゃない!
これじゃあ、常に舐めまわされてる気分だわ。姉さんたら、「細かいことは脱出してから」って……ほんの少しでいいから制御させて欲しかったのに!)
「どうしたのリスタ?」
「あ、アリス。ユウ……覚醒したね。」
「え?そうなの?わたしには何が違うのかさっぱりだけど、なんとなく雰囲気が変わった気がする。」
「なんとなく、なんてもんじゃないよ……なんだか、心地よすぎると言うか。
上から下まで見られてるような感じ。」
「え?!ユウ、そんなことしてくるの?!」
「ち、違うよ?!あくまで、そんな感覚になっちゃうってこと!
ゆ、ユウは、特に何も考えてないと思う……」
シャクとリスタ、そしてユウは、それぞれ別室で寝ているが、寝ている時もフォースは垂れ流しの状態。
二人は今日、落ち着いて眠れなかった。
◆
「さあ!作戦通り、トウ姫様を救い出すぞ!」
「わたしとユウは、奪還後も仕事には出るから、後は任せたわよ、二人とも!」
「了解!」
「承知しました。」
「ん?シャク、リスタ、二人ともどうしたの?寝不足?そっか……緊張するよね。俺も緊張して、少し手が震えてるんだ。ほら、震えてるだろう?」
ユウは、リスタとシャクの手をとる。
ドキー‼︎
二人は顔を真っ赤にする。
「ほ、ほ、本当だ、震えてる!ゆ、ユウなら、きっと大丈夫だよ!」
「え、ええ、ユウ、ご武運を!」
ガバ!
二人はすぐに手を離す。
(ユウって、こんなに自然に手をとったりしたかな?
なんか、すごく自然にやってる感じ……そう。
モテる人がするかのような動き……ま、まさか!フォースの覚醒の影響?!)
アリスは肌感覚ではわからないが、なんとなく察していた。
「じゃあ!みんな、作戦通り行こう!」
四人は、それぞれ動き出した。
◆
『トウ姫様。今日は、あなたを連れ出します!』
『ふん、概要はさっきシャクから聞いた。
道中、警戒は任せておけ』
『はい!では、そろそろ行ってきます!』
第六十八話 完
第六十八話をお読みいただきありがとうございました!
「無自覚なタラシ」と化してしまったユウと、それに翻弄されるシャク&リスタの初々しい反応が微笑ましい回でした。アリスだけが冷静(?)なのが、また良いバランスですね。
いよいよ脱出本番!ここからどんな怒涛の展開が待っているのか、ぜひ次回もお見逃しなく!
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