第六十四話 テレパシー
トウ姫救出のため、避けては通れない「テレパシー」の習得。
監視の目を欺き、心で語り合うための過酷な修行が幕を開けます。
檻の中にいながらにして圧倒的な威圧感を放つトウ姫に対し、ユウはその根性を見せつけられるのか。
一方、監視塔には「新人」としてあのアリスが姿を現し、作戦はさらなる加速を見せます!
「シャク。なんとか、直接トウ姫とコミュニケーション出来る方法ってないかな?
シャクに橋渡ししてもらうのって、やっぱり難しいよね?」
「ええ。できなくはないですが、一方向にわたしの声を届けることは出来ます。
しかし、会話のキャッチボールとなると、相手がある程度のフォースを使える必要性があります。」
「じゃあ、どのみち俺が使えるようにならなきゃいけないってことか。」
「はい。それが早いかと思います。テレパシーは、離れれば離れるほど高度になってきます。なので、まずは近くでやりとりできるようにならないといけません。少なくともそれだけできれば、姉とはやりとりできると思います。」
「ありがとうシャク、そうなんだよ、音声も拾われてるかもしれないから、怪しまれずにやりとりしたいんだ。」
『ほう、小僧が妾の監視になったのか?
それは好都合だな。』
「ね、姉さん?!」
「どうしたのシャク?まさか、トウ姫から?」
『小僧に伝えておけ。テレパシーの指南役は、妾がしてやると。明日から覚悟しておけ。』
「ゆ、ユウ………あのね。姉さんが、テレパシーを教えてくれるって……明日から覚悟するようにと。」
「それはありがたい!よし!明日から頑張るぞ!」
(ゆ、ユウ……テレパシーは本来自然に覚醒するもの。それを強制するとなると、かなり辛くなりそうね。頑張って、ユウ!)
◆
ユウは、捕虜の部屋に入る。
「あ、あなたが……」
(す、すごい、なんて迫力だ。美しいなんてやわな表現じゃ合わない。シャクとは明らかにジャンルが違う。)
ズン!
ユウの頭に何か刺さる感覚がきた。
「う!なんだこれ」
ユウは一瞬膝をつくが、ゆっくりと立ち上がる。
『ほう、今のを耐えるか。なかなかセンスがあるのう。ほれ、何か頭の中で妾へ話してみろ。』
『うぐぐぐ、なんだこの感覚は、頭が重い……は、はじめまして…ユウです。あ、あなたを、助けに…きました。』
『ほう〜、上出来だ。本当はこちらへ言葉を伝えるのも難しいんじゃがのう。
まあ、これだけ強固に繋げば、ある程度はいけるということじゃなぁ。
今、どんな感覚じゃ?』
『あ、頭に、何か……突き刺さってる感じがします。』
『そうじゃ、妾が強制的にお前の頭と繋げておるからのう。
まずは、この感覚に慣れて、まともに会話ができるようになることからじゃな。
お前が廃人になったらいかんから、もう今日のところは辞めにする。
今日はゆっくり回復させ、明日また続きをやろうぞ。』
『ま、待ってください!も、もう少しだけ、いいでしょうか?!
は、早く、コツを掴みたいんです……みんなの、役に立ちたいんです……』
『ほう、小僧。立つのも辛そうだが、かまわんのか?』
『はい…はじめは酔いそうでしたが、なんかこう、数秒ごとに徐々に和らいでいくような。
そんな、感覚が…あったので……限界まで、こうして会話しようと……思いました。』
『クハハハ、なかなか根性があるのう!お前は見込みがある!』
◆
監視塔からファビルが様子を見ていた。
「あいつ、なんで一歩も動かねえんだ?
やっぱ、あの捕虜、なんかやべえやつなのか!?」
そこに一人スタッフが入ってきた。
「今日からお世話になります!アリスです!
よろしくお願いします!」
「さっき説明した流れを教えてやってくれ、あとは任せた。」
教官らしきスタッフは去っていく。
(おー!すげえ美人!)
「俺はフェビル!よろしくな!あんた、すげえ美人だな!」
「どうもありがとう、初対面でいきなり褒められるなんて思ってもいなかったわ。」
「すまん!俺は思ったことすぐ口に出しちまうから!じゃあ早速、仕事するか!」
なんと、アリスも監視塔の配属になったのだ。
◆
『お、そろそろ昼休憩。監視は遮断されたはずじゃ。普通に話してかまわんぞ。』
「ぷはーー!なんて、神経使うんだこれー!」
「くくく、初手でここまで耐えられたら上出来じゃ。昼からもやるか?」
「お、お願いします。トウ姫様。」
こうして、テレパシーの修行が始まった。
ユウは、無事にテレパシーを覚えられるのか。
(それにしても、こやつのフォース、なんか違和感があるのう。
次のフェーズで、ちょっと探ってみるかのう。)
第六十四話 完
第六十四話をお読みいただきありがとうございました!
トウ姫、想像以上に強烈なキャラクターでしたね。ユウのフォースに感じた「違和感」の正体も気になるところです。そして、フェビルの隣に潜入したアリス……この二人のやり取りも波乱の予感がします。
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