第六十二話 都市生活
都市潜入から一週間。実力主義のネビル軍において、ユウとアリスはその有能さを隠しきれず、着実に基地の深部へと食い込んでいきます。
相棒(?)フェビルとの訓練で披露した規格外の動きは、ついに大幹部の目に留まることに。
運命に導かれるように提示された新たな任務は、なんと「重要捕虜」の監視。
最深部に囚われしトウ姫との対面が、すぐ目の前に迫ります――。
一週間が経過した。
アリス、ユウは共に、仕事が認められ、ついに、基地内の仕事の依頼がくるようになった。
アリスは、機器の整備。
ユウは、ネビル兵の訓練サポート、雑用をこなすようになった。
見た目は初期の外面のまま仕事をこなし、徐々に基地内部の環境の把握をする。
このタイミングで、シャクがトウ姫にリンクし、ユウとアリスの同行を把握し始める。
◆
その日の夜。
ラムが基地内部のホログラムを映し出す。
シャクがトウ姫の居場所を説明。
「ここの一番奥。決まったスタッフしか出入りできない仕組みになっていて、カードキーが必要。
監視カメラも付いていて、これがなんとかならない限り、すぐにバレてしまう。」
「まずは、この部屋に入る権限を持つことと、監視カメラをどうするかね。
おそらく、施錠されている扉や檻にもセンサーはついているとおもうけど、この辺りの機器は、どうにかなる?」
アリスはラムに尋ねる。
「かなり高度なブロックです。数秒であれば誤魔化すことはできますが。」
「じゃあ、直接監視等での操作が必要ね。
救い出す時は、二手に別れなきゃいけない。」
「それぞれ、もっと内部に近づかないと行けないね。」
◆
翌日。
ネビル兵士訓練に、フェビルの姿があった。
「おおお!ユウ!見ろ!俺が兵士だぞ?!
かなりの出世だ!
ていうか、なんでお前が雑用なんかやってるんだ?」
「そういう仕事依頼だからね。ほら、次行くよ。次はそのレーザー銃で、この的に当てるんだ。」
「お、おい!的は自動で動く器械でやるんじゃないのか?」
「フェビル、天才のお前なら、生身の動く的にも、きっとあてられるはずだ。」
「おうよー!よっしゃ!ユウ!的を構えて動き回るんだー!」
チュン!チュチューン!
ヒョイ、ヒョイ!
「よく狙うんだ、そんなんじゃ一生当たらないぞ?」
「っしゃー!」
バシュン!チュイン!チュン!チュン!
ヒョイ!シャ!シャシャ!
兵士長が口を開けて唖然としている。
ビームライフルは反動があり、そう何発も連続で撃てるものではない、ましてや動きながら。
そして、かなり重い的を持って避けまくるユウを見て、その動きに唖然としてた。
「そこの二人!こっちへ!」
兵士長は、大幹部の元へ連れていく。
「こちらの二人、かなり有能なようです。役職を、どうなさいますか?」
そこには、ネビル星人が居た。
兵士長は、先ほどの動きを説明する。
すると、ユウに対して、直々に、捕虜の監視をつけることにした。
「お前のことは、スラムからも報告がきている。
あの捕虜はフォース使いだ。
十分に気をつけるように。」
なんということか。スムーズにトウ姫の元に辿り着くこととなった。
◆
「リスタちゃん!またあそんでねー!」
高層マンションの敷地にある公園で、近隣の子どもたちと遊んであげていた。
「いつもすみません!わたしたちが働き詰めなので、この子達はお留守番なんです。」
「全然大丈夫です!では、失礼します!」
(ここの人たち、ヒューマンも、ネビルも、みんな仲良しだ。)
◆
「え?!捕虜監視?!な、なんてスムーズな流れなの。」
「いやあ、俺もびっくりだよ。
ネビルの仕組みって、完全に実力主義だ。
何かに秀でていると、すぐ出世しちゃうよ。」
「では、明日、姉に会ってみると良いです。
これから、脱出の算段を立てていきましょう。」
「なあ、もう、檻をぶち破って、力で突っ切るのはダメなのか?やっぱり、すこしでも争い事になると、関係のない人達まで巻き込むのかな?」
「おそらくは……あからさまに暴動を起こすと、近隣まで調査をしなくてはならなくなる。
でも、知らぬ間に抜け出しておけば、秩序のために、市民には手を出さないでしょう。」
「俺、良いこと思いついた。」
第六十二話 完
第六十二話をお読みいただきありがとうございました!
トウ姫の元へたどり着く最短ルートが開けましたが、同時に「市民を巻き込みたくない」というリスタたちの想いも描かれ、一筋縄ではいかない脱出劇になりそうですね。
ユウが最後に思いついた「良いこと」とは一体何なのか……次回の展開が待ちきれません!
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