第六十一話 住居確保
ついに足を踏み入れた、ネビル星人の統治する「都市」。
スラムとは打って変わった煌びやかな高層マンション、行き交う身なりの良い人々。しかしその繁栄の裏側には、依然として理不尽な構造が潜んでいました。
監視員という立場を得たユウは、かつての相棒・フェビル、そして虐げられたヒューマンたちを救うべく、ある「奇策」を打ち出します。
効率と実力で道を切り拓く、ユウの都市潜入編がいよいよ本格始動!
「はい。確かに推薦状、受理しました。
住居と仕事内容はこちらです。ご確認ください。」
受付を済ませて住居に向かう。
高層マンションの一室へと移った。
「わりとマシな暮らしだなあ。かなり広い。」
リスタは機器を取り出す。
「とりあえず、盗聴器やカメラの類が無いか、チェックしますね。」
数分後。
「大丈夫です。どこにもありません。ラムの方はどうですか?」
「はい。こちらもチェック完了です。異常無しです。」
「では、仕事内容の確認をするね。
まず、ユウは……炭鉱石運びの監視員。昨日までいた人が辞めたみたい。
わたしは、幹部宿舎の清掃と、お役所の書類整理。
シャクとリスタは私生活の基盤と、都市の調査をお願い。
見た目の設定は、シャクとリスタは"ヒューマン"で。
ユウはそのまま。
わたしは髪型と髪色、肌の色を変えるわ。
仕事はユウは今日から、わたしは明日からね。今日中に挨拶に行ってくるわ。」
「よし。さっそく行ってくるよ。フェビルも気になるし。」
マンション内はかなり煌びやか。
シャンデリアなども豪華だ。
(スラム地区と全然違うなあ。)
「こんにちは!」子供達が走り回っている。身なりも良い。
ロビーでは、ヒューマン系の人もたくさんいる。
(治安はかなり良さそうだな。………ネビル星人……本当に支配が目的なのか……それとも、自分たちの支配下にだけ、ホワイト対応なのか……?)
街並みを見ながら移動する。
ユウからすると、近未来なものもあるが、地面はあまり舗装されてはいない。
(おそらくテクノロジーが進んでいるのは、基地内部だけだろうな。)
◆
「おお!ユウ!なにぃ!監視員になったのか?!
お前が睨み効かせたやつ、辞めちまったぜ!
ガッハッハ!」
「また会えて嬉しいよ。
とりあえず、監視員長と話してくる。」
ユウはすぐに監視員長のもとへ行く。
「よろしくお願いします。
質問よろしいでしょうか?」
「あ、ああ、どうぞ。」
(とくに圧は感じないな。)
「ここでの役割と、成果について教えてください。」
ユウは、監視員長に詳しく聞いた。
炭鉱石の山を運び切ったら、ひとまずここでの仕事は完了。
監視員から見て、働く意欲のあるものは推薦状が出せるらしい。
ユウは、炭鉱石のスタッフたちを見ていく。
(ん?なんか、山がリセットされてる?ああ、次々と発掘側から回ってくるのか。
これを追加されたら、なかなか一山終わらないぞ?
かなり理不尽な構造だなあ。
さて、どうやって結果を出そうか……)
フェビルは相変わらずしゃかりきに頑張っている。そのほかにいるのは、異星人やヒューマンがほとんど。
(………………ヒューマンは頑張ってるが、能力的にバランスが悪い。異星人ははなから諦めてるのか、サボってるなあ。)
ユウはある作戦を思いついた。
午前中、小休憩をとって皆を集めた。
「よし。みんな集まってくれ。今からこの仕事は俺が担当する。
皆、作業方法を変えるから、よく聞いてくれ。」
皆、不思議そうにユウを見る。
フェビルは興味津々だ。
「まず、トロッコを二つにする。使うのは、フェビルが使っているアレだ。
フェビル、もうだいぶ引けるようになってきた?」
「おうよ!昨日よりスムーズだ!」
「よし。なら、みんなで炭鉱石をトロッコに入れてくれ、仕事はそれだけでいい。
そして、フェビルは運ぶ係だ。」
「おお!いちいち炭鉱石をトロッコに入れなくていいんだな?!そっちの方が良いぜ!」
周りも賛成な様子だ。
周りからすると、その運ぶのに時間を要するからだ。
「よし!じゃあ作業を開始してくれ!目標は今日の夕方だ!」
それから、効率よく全員分の山を夕方には運ぶことができた。
監視員長も、驚いている。
1日にして指揮をとり、結果を出したユウは、監視員長から、都市内部の仕事への推薦状を書いてもらう。
ユウは、功労者のフェビルと、サボらず取り組んだヒューマンらに対して推薦状を書く。
異形の異星人らは、特になにも反応はない。
のんびりと決まったことをするのに慣れ切っていた。異星人たちは、とくに食に困っているわけでもなく。ただのんびりこのスラムで暮らせれば良いらしい。
ユウは、辛そうな人など、救えるだけ救うことにした。
「よし、これで君たちは、明日から都市で暮らせる!元気でね!」
長年奴隷だったヒューマンたちは、涙を流して喜んでいた。皆、
ユウにお礼を伝えて去っていった。
「おお!ユウ!俺も明日から都市へ引っ越しだ!お前がいてくれて良かったぜー!
また中で会おうなー!」
こうして、奴隷たちは、都市での生活を獲得できた。
そして、ユウも少しずつ、都市内部での潜入に近づいていくのだった。
第六十一話 完
第六十一話をお読みいただきありがとうございました!
圧倒的な力でねじ伏せるだけでなく、知略と采配で状況を変えていくユウの姿、格好良かったですね。フェビルたちも無事に都市への切符を手にし、物語の舞台はさらに核心へと迫っていきます。
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