第五十七話 ネビルスラム
いつもご愛読ありがとうございます!
一行はついに、潜入の第一段階である「ネビルスラム」へと足を踏み入れます。
「奴隷」を求めるネビルの歪な選別システムに対し、ユウが取った作戦とは……?
いよいよ本格的なミッションが動き出します!
長期戦になる覚悟で四人は準備を整えた。
まずは、スラム地区へ行って、仕事と住居の確保が必要。
はじめは、ある程度みすぼらしさを出しつつ、地方の集落から移住してきた感じを演出するのが重要だ。
「う、うまくいくかなあ。なんだか、ドキドキしてきた。」
リスタは心配そうだ。
「作戦会議の後、少しだけシャクと話したんだけどね。もし、警戒されそうになったら、シャクがなんとかしてくれるみたい。」
「え?どういうこと?」
そこにシャクが現れて説明する。
「フォースを応用するのです。
相手の感情に働きかけ、穏やかになるようコントロールする。
スラム地区の管轄は、そこまで高知能のネビル人ではないと予想されるので、ある程度のコントロールはできるかと。」
「なるほどな……フォース……すげえな、映画のままだ。いや、想像以上だ。」
◆
ネビルスラム。
荷物を抱えて、役所らしき場所に行く。
アリスとシャクが代表で手続きをする。
「あん?中央区に行きたいだ?だめだめ。
あそこは認められた者しか行けないんだ。
そうだな。ここでの力仕事を、全てこなせば、推薦してやろう。
ここでの居住区はあそこだ。」
一応。ドーム型の建物を借りられることになった。
思った以上にセキュリティもしっかりしている。
「なんか、もっと小屋みたいなのを想像してたけど、割としっかりしたもので良かったなあ。」
「ええ。とりあえず、ここでの仕事を終えて、推薦状を書いてもらいましょう。」
「なあ、ここでは変装いらねえのか?」
「大丈夫。主に、肌艶がある程度汚れて見える"サバイバルモード"だけで十分よ。
ここは多種族が住んでるから、、 私たちのような、ヒューマンタイプがいても、何もおかしくないから。」
「その、アークって子も、ヒューマンタイプだったの?」
「ええ、その通りよリスタ。
でも、わたしたちは、少しだけ警戒しなきゃならない。少し耳の尖った種族は、森付近に多発していることを、向こうはすでに把握している。」
「だから、二人には"ヒューマンモード"で外に出てもらうわ。まあ、首輪付けたままでモード選択してたら、返信し忘れることは無いから大丈夫だよ。」
「なんだか、本格的な潜入が始まったね。ここである程度生活してから、ネビル都市に移住するのか……」
「いえ、ここは明後日には出るよ?
はい。これがここでの任務と報酬。」
ユウは、任務を確認する。
「炭鉱石……ひと山を……ネビル都市前の、開発集落へ運ぶ。……これだけ?」
「ええ。これだけよ。でも、その炭鉱石の山ってのがこれよ。ラム。お願い。」
ブン。
スクリーンが映し出される。
「今いるところがこの場所。そして、これがわたしたちが請け負っている山。そして、ここに全て運ぶ。どう?なかなか大きな山でしょう?
けど、ユウなら楽勝かもね。」
「まあ、どれくらいの重さかわからないけど、今回の任務は俺一人で大丈夫かな。明日一番巨大なタイヤ付きのトロッコを借りて、やってみるよ。みんなはここで待っててね」
「え!ユウ一人でやるの?そんな……悪いわ。」
リスタはユウを心配する。
「これこそ、アリスが普通のヒューマン以上にやってたら違和感あるからね。一人でサラッと終わらせてくるよ。」
アリスとシャクは作戦通りという顔をしている。
「奴らは、奴隷を欲しがってるの。
だから、か弱そうな人が来たら、力仕事。ゴツい人が来たら、繊細な仕事をさせてる傾向にあるの。
そこでも有能であれば、都市に推薦される。
そういう仕組みみたい。」
「なるほどな。だから、シャクが言うように。アリスとシャクで手続きしたから、力仕事が来たのか。」
「その通り!
私たちは、ユウの帰りを待ってるからね!
頼んだよ!大黒柱!」
「お父さんみたいな扱いだね。アリス、しっかり地球の文化、覚えてるんだね。」
「もちろん。どこに潜入するにも、ある程度は順応しなくちゃいけないからね。」
こうして、無事にスラムに住めることになった。
明日、ユウは無事に仕事を終えることができるのか。それとも、苦戦するのか。
(よし!明日の俺の働き次第で、いっきに都市へ行けるかが決まるぞ!
頑張らなくちゃ!)
第五十七話 完
第五十七話をお読みいただき、ありがとうございました!
ついに始まった潜入作戦。まずは身分を偽り、過酷な労働環境に身を投じることになったユウたち。アリスの冷静な分析と、シャクのフォース、そしてユウの「力仕事」担当という役割分担が綺麗に決まりましたね。
果たしてユウは、この「山のような炭鉱石」を一人で運びきり、都市への切符を掴めるのでしょうか。次回、ユウの真骨頂(?)をお楽しみに!
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