第五十六話 人選
今回も、作戦回です。
でも、こういう回こそキャラの役割や関係性がはっきり見える、大事なパートだったりします。
誰が前に出て、誰が支えるのか。
誰が剣を振るい、誰が帰り道を用意するのか。
作戦会議回、どうぞお楽しみください!
ネビル都市の大体の構造、変装手段を把握した。
問題はここから誰が潜入してミッションを達成するかにかかっている。
「わたしとしては、ユウとわたしの二人で潜入するのが一番良いと思っている。なぜなら、肉弾戦になったときに、三人は危険すぎる。とくに、リスタは戦闘経験が無いから、相手の科学力を上回ることができなければ、致命傷を負うリスクが高い。」
リスタはしょんぼりしながらも、それについては理解している。
「確かに、それはアリスの言う通りだよ。実際に戦闘になってみんなの足を引っ張りたくない。みんなを危険に晒すことになるから。
けど、何かできることはないかな??」
「リスタの役割は、主に後方支援よ。
だから、ネビル都市の内部までは一緒に行動する。ユウとわたしの二人行動をとるのは、あくまで中央の基地内に入る時。
その時リスタは、中央区内の基地で、わたしたちの動向を、ラムと把握しつつ、無事に潜入した時点で、基地内の物資の痕跡の抹消を開始して、いつでも撤退できるように準備をお願い。もしもがあった際は、速やかに撤退する。また、護送用の飛行車を車庫に待機させているから、ラムと一緒に迎えにきて、そのまま脱出する流れね。」
「そうか、IDをゲットして、基地内に入れるようになったとしても、何度も出入りして定着しないと、いきなり救出は無謀だね。
中央区の基地内で生活しつつ、決戦の日を決めないと。
そして、決戦の日には、すべて証拠を残さずに撤退する必要があるから、どのみち二手に分かれなきゃいけないのか。」
「そういうこと。
もちろん、私生活は最低限の資材でやるつもりだけど、証拠隠滅のために、廃棄しなきゃならない生活品もあるから、その処理も、機械を扱える人の方がいい。
これは、リスタがいないとスマートにならない作戦なの。」
「わ、わたし、意外と責任重大だぁ……そうか、きちんと処理して足跡残さないようにしないと、フェアリーリングの仕業って思われちゃうもんね。」
「そうなの。
誰が連れ去ったかわからない以上、向こうも簡単には動けない。
まず、怪しんでくるのは間違いないけど、戦争となるとネビルにも被害が及ぶから、簡単には動かないはず。」
「だね。そうじゃなきゃ、とっくに戦争仕掛けてるよね。」
アリスは頷く。
「わたしは、何をすればよいでしょうか?」
シャクがそこへ割って入る。
??
「えっと、今回わたしたちが依頼を受けてるから、シャクはここで安心してていいよ?」
「わ、わたしも、何かお役に立てませんか?
わたしの姉の救出に、皆を巻き込んでいるので……皆の、命を……賭けている以上、わたしにも何か使命を与えてください。」
アリスはしばらく考える。
そこに、ユウから提案がある。
「アリス!シャクも、リスタと一緒に基地で待機してもらうのはどうだろう?」
「危険な場所だけど、何か策があるの?」
「うん。もしかしてだけど、シャク、テレパシーって、近くにいるほど精度が上がるんじゃない?」
「ええ、その通りです。少ないエネルギーで乗せることができるので。」
「なら、トウ姫とコンタクトを取ってもらおうよ!トウ姫のテレパシーは、半径の建物の把握や生命体の把握ができるんだよね?
なら、俺たちが潜入する時には、基地内の様子を逐一シャクにテレパシーで連絡してもらって、シャクはラムを経由して俺たちに指示する。
もちろん事前にある程度やつらの行動パターンは掴むけど、その日にイレギュラーが起こらないとは限らない。
どうだろう?」
「ユウ、みんなの特技を活かした見事な作戦ね!トウ姫が協力してくれるなら、それが一番確実ね!」
「わかりました。そこはわたしから繋いでおきます。あと、もし何があっても、わたしがリスタを守ります。
フォースで機械を操ったり、人をコントロールすることも、多少はできますので。」
「まあ、バレないようにお願いね。わたしたちは肉弾戦だけど、フォースは扱えると、確実にフェアリーリングが怪しまれるから。」
「承知しました。皆の足を引っ張らないように、努力します。」
アリスは手をスッと前に出す。
続いてユウとリスタは手を重ねる。
「ほら、シャクも!」
アリスがシャクを誘う。
シャクは少し恥ずかしながらも手を重ねる。
冷たい神殿で一人祈っていた時とは違う、力強い熱が伝わってきた。
「じゃあ、トウ姫奪還のため、これより私たちはミッションメンバーです!
お互いに命を預けて、みんなで無事に帰ってこようね!」
皆、それぞれ目を合わせて頷く。
「じゃあ、行くよ!
作戦、開始ー!!」
「おーーー‼︎」
「お、おー!」
シャクは慣れないためドギマギした。けれど温かい響きで、心地よかった。
シャクは、仲間を意識するようになった。
神姫として生きてきた中で、対等に話せる人がいなかったからだ。
(こ、これが、仲間……素晴らしい……わたしにも……仲間ができた。)
第五十六話 完
第五十六話をお読みいただき、ありがとうございました!
バラバラだった四人が、一つの目標に向かって手を重ねる。シャクにとって、人生で初めて「仲間」ができた瞬間は、書いている私自身も込み上げるものがありました。
いよいよ次話から、ネビル都市への本格的な潜入が始まります。一筋縄ではいかない敵地で、彼らはどう立ち回るのか。次回もぜひお楽しみに!
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