第五十四話 外見
今回は――
潜入準備回、のはずが。
外見変化、宇宙技術、そしてなぜか始まる謎の攻防戦。
シリアスな作戦会議はどこへ行ったのか。
どうぞ肩の力を抜いてお楽しみください。
「まず、潜入方法から話すね。
いくつか考えたんだけど、見た目をまず変えなきゃならない。
ラムに記憶された、ネビル都市にいる人たちを解析すると、生身の人はほとんどいない。
捕まっているか、奴隷にされてるか。
だから、奴らと似た外見にする必要があるの。」
「こちらをどうぞ。」
ラムが言葉を発した後、遠隔のドローンが荷物を持って神室にやってくる。
箱を開けると、薄いリングが複数入っている。
見た目はほとんど首飾りに近い。
アリスが手に取り、パカっとリングを開けて首につける。
スイッチを押すと、薄い透明の膜が顔を覆う。
その直後、顔がネビル星人へと変わる。
「うわ!アリスの顔が、ネビル星人になった!」
「そう、これがあれば、見た目は誤魔化せる。
しかも、音声で細かく変化できるから、肌の色もコントロールできるの。」
顔の色が、緑から青へ、青から赤へ変わる。
「これは、すごい技術ですね。驚きました。」
「すごい!こんなものまで開発出来るなんて、ほんとに映画の世界だ……」
「ネビルでは肌の色でも識別されてるみたいで、主に都市で働くものは緑。
中心部に行くほど青や赤の肌の色した人が多いわ。
潜入時には、都市部は緑で行動して、主要なゲートを通過する際は青へ切り替えていく。
臨機応変に対応していくわ。」
アリスは顔を元に戻す。
「お、俺の外見も、イメージしたら、ネビル星人みたいになるのかな?」
「大丈夫、それは無いよユウ!
ニューラでも伝えたように、外見の変化は、潜在意識にあるものから自然に変わってくるから!
ユウ望まない限り、変化することはないから安心してね!」
リスタはすかさずフォローした。
「うん、ありがとうリスタ!やっぱりリスタがいて良かったよ。宇宙的に見てかっこいいかはわからないけど、あそこまでいかつくなったら困るから……」
その時、アリス、リスタ、シャクは昨日の会話を思い出した。
潜在意識……………。
「し、シャク、宇宙規模でみたときのイケメンってどんな見た目なの?」
「わたしも同じこと考えてた、教えてシャク?」
「………わ、わかりません。
星によって種族は異なりますし……ですが……」
「ですが?!」
アリスとリスタはシャクに詰め寄る。
「な、ナイトの人たちは、ほとんどわたしたちと同じ見た目です。
中には特殊な見た目の方もいますが。
な、なので、アリスやリスタの美的感覚で、ほとんどズレはないかと……」
(こ、この二人は、何を気にしてるんだ?
あ、そうか!二人とも恋愛したいのか!宇宙には、どんなイケメンがいるのか確かめてるんだ!
なら、俺も参考までに聞いておかなくちゃ!
見た目が変化するなら、良い方が何かと便利かもしれない!
それに、二人にピッタリな人がいたら、俺から紹介もしてあげられるかも!)
「なるほど、なら、そのナイトたちを参考に、イメージしたら良いんだね?
またどんな人たちか見る機会があったら俺に教えてよシャク!」
‼︎‼︎‼︎‼︎?
「だ、ダメーーーーー‼︎‼︎」
アリスとリスタはユウへ詰め寄る。
「え?!え!?なんで??ちょ、怖いよ二人とも!」
シャクは困り顔になっている。
「ゆ、ユウは、今のままでいいの‼︎‼︎」
「そ、そうだよ!ニューラで少し顔も身長も変わったんだから、もういいの!」
「え、えええ。お、俺だって、もしイケメンになれるんなら……な、なりたいけどなあ……」
‼︎‼︎‼︎‼︎?
(こ、これはまずいです!かえって願望を呼び起こすことに!)
シャクはオロオロし始める。
「だ、ダメだよ!ダメ!」
アリスはユウの胸ぐらを掴んで、首を横に振りまくっている。
「そ、そうだよ!イケメンになってモテたら、ど、どうするのー?!」
リスタも、ユウの服を掴んで引っ張っている。
「…………な、なるほど」
ユウは落ち着いて呟いた。
アリスとリスタは安心して手を離した。
(ふ、ふう。なんとかその気にさせずに済んだわ。)
(そうだね。フォースも使えて、モテ出したら、大変なことになりかねない。)
少しの沈黙の後、ユウが口を開く。
………………
「そうか!イケメンになれば、宇宙の女の子たちから、モテるかもしれないのか!
いやぁ、そこまで全然気が付かなかったよぉ!
俺がモテるなんて、一生無いと思ってたからさあ!
ありがとう二人とも!!
よし!なんか希望が湧いてきたぞー!」
(あああああああああ‼︎‼︎‼︎‼︎)
三人は口を開けて唖然としている。
「ぜっっっっっっったいに‼︎
ダメーーーーーーーーーーー‼︎‼︎」
三人はユウに掴み掛かり、ユウの身体がぶんぶん揺さぶられる。
「ど……どうして……俺は、モテたら……だ、ダメなんだ……ひ、ひどい……みんなぁ」
ガク。
ユウは、頭を揺さぶられ過ぎて意識が遠のく。
「あ!いけない!ユウが気絶しました!
わ、わたしが回復を!」
シャクは、倒れたユウを抱き抱える。
フォースの光でユウを包み込んだ。
(あ、暖かい……意識が楽になってくる。
ああ……気持ちいいなあ……ん?……顔に……柔らかいのが……
‼︎‼︎?……し、シャク?!
あ、あわわわ、俺、今シャクの胸の中だー‼︎)
フォースを繋げて回復するように流し込んでいる。
「ほっ。これで意識は元に……‼︎‼︎?…あぁ!」
ガバっ‼︎‼︎
シャクは途端にユウから離れて、身体を隠す。
ユウの後頭部は地面に勢いよく落ちる。
ドゴ!
「い、痛えーー!」
ユウは即座に起き上がる。
「あ、ありがとうシャク……その……ありがとう……」
ユウは顔を真っ赤にして俯いている。
シャクが顔を赤らめたのは、色欲だけではなく、ユウの純粋な感謝や優しさが、フォースを通じてダイレクトに伝わったのも理由の一つだった。
「ああああ!なんか顔が赤い!も、もしかして、途中から意識が?!」
「むむむー!シャクが抱きしめたことをいいことに!堪能してたのー?!」
「ちょ、ちょっと待ってよ!本当に意識が朦朧としてたんだ!………も、戻った時に、あ、シャクだってわかったけど……」
シャクはリンクしていたため、ユウが気がつきどんな気分になったかすぐにわかった。
茹蛸のように顔が真っ赤になる。
また、両手で顔を覆う。
「や、やっぱりわかってたんだー!」
「ゆ、ユウ!!モテるのは悪いことじゃ無いけど、ダメだからね!」
(なんで、俺がモテたらダメなんだー??あんまりだよー!
お、俺が、悪さをすると思ってるのかな?
けど、なんだか知らないけど、ここは従っておかないと、またえらい目に遭いそうだ。)
「わ、わかったよ……俺は悪さをするつもりもないし、みんなに迷惑をかけるつもりはないよ……」
(よ、良かった!とりあえずユウのモテたい願望は阻止出来たわ!)
(うん!良かった!宇宙の女の子たちに奪われたら大変だよ!)
「とりあえず、良かったわ……ユウ……冗談抜きで、今のユウは、充分魅力的だからね!
自分をあまり下げないでね!」
アリスはニコリと笑う。
(まあ、しかし……モテるもんなら、モテたいからな。よし!見た目はともかく、俺はきちんとモテる男になるぞ!)
こうして、ユウのフォースは無事に?解放されるのだった。
第五十四話 完
読んでいただき、ありがとうございます。
第五十四話「外見」でした。
潜入準備回……のはずが、
気づけば感情と勘違いが大渋滞する展開に。
ユウの自己評価の低さと、
それを必死で止めようとする周囲の温度差、
いかがでしたでしょうか。
さて、ここで少しお知らせです。
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