第五十一話 本陣
作戦会議、能力の片鱗、
そして――油断した最後に待っているもの。
静と動が交互にくる回です。
世界観の広がりを、ぜひ楽しんでください。
シャクと打ち解けた後、作戦を立てながら食事を取る流れになった。
今いる場所は神室であり、その真下がプライベートな居住空間だ。
神室内の階段を降りると、そこには広いフロアがあり、中央に大きい長テーブルがある。
ざっと50人は座れるだろう。
食事は、神殿内に働く人たちが運んでくる。
シャクは一人一人に丁寧にお礼を述べる。
「さあ、召し上がりましょう。」
皆で友達になったお祝い、食事をとる。
シャクは初めての経験に照れている様子だ。
食事も進み、アリスが情報を整理しながら話を進める。
「今回、潜入は変装でいこうと考えてる。その理由は、シャクのお姉さんを見つけなければならないこと、また、安全に救い出す必要があること。この二つを遂行するためには、アジト内を動き回らなければならない。
だから、敵の死角や監査モニターの死角、これらをすべて避けながら動き回るのは、難しいと思うの。
だから、相手の特徴、アジト内の見取り図や、日常の動き、これらの情報があるほど、成功率は上がるわ。
早速だけど、シャク、何か情報はある?」
「そうですねぇ。あるにはあるのですが……敵の顔や、アジト内の情報は、すべて映像じゃないと……言語だけでは難しいと思います。
わたしの頭には姉からテレパシーでダイレクトに映像として伝わってきますが、まだ、みんなは映像を受け取ることが難しいと思います。」
「シャクの中にあるのね?なら、全然問題ないわ。………っと……これでよし。」
アリスは腕から浮かび上がるホログラムを操作して、全員の頭にホログラムのリングを乗せる。
「シャク、想像してみて、敵の顔の特徴、状況、アジト内の様子など、分かる範囲でいいわ。」
「はい。承知しました。あと、念のため姉には、もう一度ビジョンをテレパシーしてもらいます」
シャクは目を閉じる。しばらくすると、皆の頭の中に映像が出てきた。
「ラム!記録を!」
「はい。既に記録に残して、繋ぎ合わせています。」
◆
『姉さん!姉さん!』
『おーおー、そんなに叫ばんでも聞こえとるわ、どうしたシャクよ?部屋に虫でも出たか?』
『か、からかわないでー!えっと……応援がきたの!だから、協力してほしい!』
シャクは姉にユウたちのことを話す。
『ふふふ、ついにやってきたか…見つかるまでにえらい時間がかかったのう……よし、シャクよ、妾の探知フォースでこの本陣全体をスクリーニングする。それを受け取れ!』
『わかった!………うん!きてる!』
『エージェントSが、シェアリングを持っとるだろう、それでシェアして記録を残せ、ラボで解析して皆に見えるようにすることだ。』
『S? アリスのこと? うん!既にリングつけてるよ!ありがとう姉さん!』
(なんでアリスのこと知ってるのかなあ…)
◆
「解析を開始します。この場で作戦会議は続けますか?お急ぎでしたらブーストモードでまとめます。」
「いえ、ラム、急がなくていいわ。確実に、正確にまとめて欲しいの。」
「承知しました。」
「一旦食事を済ませて、上の神室に行きましょう。」
「そうね、まだ解析にも時間がかかりそうだし、今はゆっくりしましょう。」
その後、解析を待つ間、皆は雑談をする。
「あの、シャクは飛行やテレパシー以外に、何が使えるの?」
リスタは純粋に質問した。
「そうですね。得意なのは飛行と、テレパシー。これは主に血縁者に受け継がれるものです。あとは、簡単なものの操作です。」
リスタの目の前のスプーンが浮いて、シャクの元へ移動した。
(こ、これは!まさに映画の通りだ!すごい!)
「そして……もう一つできるのは、人の本質にアクセスすること。です。」
「本質に?アクセス?」
リスタは首を傾げる。
「その方の持っている素質、ポテンシャルや特徴、というと、わかりやすいですね。
わたしがリスタとリンクしやすかったのは、素質的なものが近かったというのもあります。そして、リスタの寿命についても、大まかには把握することができたのです。」
「すごいね!じゃあ、シャクには隠し事はできないね!」
リスタは笑いながらスプーンを自分へ寄せた。
?!
「え?!リスタ??!そ、それ!」
「ん?………ええええ!わたし……今無意識に!
シャクがやってたから、なんとなく手を伸ばして……そ、そういえば、空を飛んでから、ものの外郭が分かるというか、なんか不思議な感じなの。」
「素晴らしい素質です。自己体験により、フォースの概念と、その入り口を理解しているなんて。やはり、思った通りでした。
しかしながら……わたしはあくまで本質しかみれません。なので、"今ここで何を考えているか"ということまではわかりません。」
「んむー!だめ、わたしはできない!ユウはどう?」
「んー…まったくだよ…これも修行でできるようになるのかなあ。」
シャクは顔を赤らめて答える。
「ゆ、ユウは、多分できるようになると…思います…その…素質的には…」
「本当に??そっか!シャクには人の本質が見えるんだっけ?
なんだかやる気が出てきたぞ!」
「え?!や、やる気ですか?!あ、ああ、そういうことですか、びっくりしました……ふう…」
「まだ解析は終わらないみたいね。
ごめんみんな!作戦会議は明日でもいいかな?」
「はい、そうしましょう。たくさんのことをお伝えしたので、みなさん疲れていると思います。
この神殿についてはこのリングであなた方に情報を送りましたので、自由に過ごしてください。」
「わ!すごい!頭の中に情報が!
大浴場がここで、寝室がここで、うん!ありがとうシャク!」
リスタはお泊まり遠足に来た子供用に無邪気に笑う。
「じゃあ、それまで各自解散だね。また明日!」
アリスの号令で、皆解散する。
(さあ、明日から本格的に作戦会議だ。
俺にできること……超感覚……よし、一生懸命頑張るぞ!
まずはお風呂でリフレッシュだ!!)
ガバっ‼︎
「よし!一番乗……り…?!」
大浴場に勢いよくユウが入る!
「いらっしゃいーー‼︎‼︎」
そこには、アリスとリスタがいた、その奥にはシャクもいる。
シャクはかなり恥ずかしそうに身体を隠す。
ユウは絶句した。
「ぎゃーーーー‼︎‼︎ も、もう勘弁してくれーーー‼︎」
第五十一話 完
お読みいただき、ありがとうございます!
いよいよ本格的な作戦会議の準備が整いました。シャクの能力が明らかになり、リスタにもフォースの片鱗が見えるなど、物語の深みが増してきています。
……そして、最後は定番のハプニングですね!ユウの受難はいつまで続くのか、私自身も書いていて楽しくなってしまいます。
皆様の応援のおかげで、連日ランキングの熱い場所で戦わせていただいております。本当にありがとうございます!
ブックマークや評価、コメントが、更新の何よりの原動力です。ぜひ今後とも、ユウたちの行く末を見守ってください!
私のもう一つの作品**『Another Life 〜現実が詰んだので、フルダイブVRで人生やり直します〜』(N0377LN)**も並行して執筆中です。
こちらはSFとはまた違った、現代のリアルな人間模様を描いています。少し趣の違う物語を楽しみたい方は、ぜひのぞいてみてください!
それでは、次回もお楽しみに!




