第四十九話 惑星ネビル
フェアリーリング編、ついに銀河規模の話へ。
新たな惑星、
新たな勢力、
そして「最悪」を回避できる可能性。
今回は情報量多めですが、
物語の“芯”が見えてくる回です。
どうぞ、最後までお付き合いください。
「では、彼らの正体について、説明します。
彼らは"惑星ネビル"という星のものです。
資源を求めて星々を回り、環境が良さそうなら、自分たちの住みやすい星へテラフォーミングする。」
(え?!なんか、似たような惑星の名前……なんだっけ……これ、都市伝説で言われてなかったっけ?)
「ユウ…あなたのいた星は、はるか昔に彼らが関与していたと聞いたことはありませんか?
誰も確認はできていませんが、地球人の祖は、彼らの可能性もあるようです。」
「なんか、ちらっと博士が言ってたなあ……もうとっくに解決したって……もしかして彼らはその仲間…?」
「可能性はあります。少なくとも、種族はほぼ類似。気性や目的も類似点は多いです。」
そのほかにも、フォースエネルギーの独占、星の制圧と売買、人体実験、奴隷化など、彼らについてシャク姫から話を聞いた。
そして、シャク姫から重要なことを聞かされる。
「なぜ、彼らがここを見つけることができたのか。それは、今彼らの基地内部に、かつてこの星を出て行ったものが捉えられているからです。」
「シャク姫、なぜ、クリプタ星の民が向こうの中にいるとわかったのですか?
それも、超感覚の要素なの?」
アリスは情報を整理しながら質問する。
「それは……はい。確かに超感覚です。
この星にいる人へテレパシーを送ることは出来ます。また、テレパシーを受け取ることも出来ます。」
「つまり、向こうからテレパシーが送られてきた。ということですね?」
ユウは答える。
また、シャク姫の顔が、ほんのり赤くなる。
「そう……そして、テレパシーを送ってきたのは、わたしの姉です。」
「え?!お姉さん?じゃあ、お姉さんもこの星を出ていっていたの?」
リスタは心配そうに問いかける。
「ええ……1stとともに、出て行きました。しかし、1stは何も悪くありません。
姉は、研究の協力を終え、こちらに帰っている最中でした。
しかし、そこに彼らが現れて、捕まったのです。」
「シャク姫の姉君ということは、もちろん超感覚をお持ちだと思いますが、それでも捕まったのですか?」
アリスは真剣な顔で問いかける。相手の科学力を分析しないといけないからだ。それによって、こちらの戦力、そして戦略を考えなければならない。
「いえ、ネビル星人ではなく、"ダークナイト"に捕まったのです。」
「だ、ダークナイト?!
な、なんですか、それは?」
アリスと、リスタは顔を青くする。
この銀河で知らないものはいないほどの存在だからだ。
リスタも文献とラボのデータで知っていたらしい。
「ダークナイト……まさに、今1stが動き出したのも、彼らが本格的に銀河を制圧しようと動き出したから……だから、わたしは地球に派遣された……」
ユウはさっぱりわからなかった。
そのダークナイトが何なのかも。
話の流れで、銀河を支配しようと企んでいることだけは理解した。しかし、その強さはユウにはピンとこない。
「姉の超感覚はわたしと同等。ですが、ダークナイトの前では無力でした。宇宙船の修理のため立ち寄った、セブンスターの一角で捕まったのです。
彼らも、たまたま宇宙船を強化しにやってきていたみたいです。」
3人は言葉を失う。
「それって、もし、ネビル星人たちに勝てたとしても、ダークナイトたちがこの星にやってくる可能性があるってこと?
それってまずいんじゃ……だって、行き先には、ログが残るって言ってなかった?
そうだろ?ラム?」
「ええ、その通りです。
彼らがすでにログを発信していれば、もうクリプタはダークナイトの手に落ちているようなもの。
やってくるのも時間の問題です。」
3人は言葉を失った。
(だ、だから1stは、撤退命令を出していたのか。なのに俺は、正義感で……いや、それを知っていても、どのみちこうなったかもしれない。今この人たちを見放せないよ!)
「それについては姉からテレパシーが届いてます。
どうやら、捕まったとは言っても、姉の行動のせいだったのです。
姉は……生まれた時から神姫になるべくして育てられたため、気位が高い。その振る舞いを他の星でもしてしまい、ダークナイトに返り討ちにあったというわけです。
その経緯を聞くと、姉は、常に周りに舐められないように、フォースを発していた。
ダークナイトはそれを察知して、忠告をしにきたと。
"そのフォースの覇気は、気づかれると身が危険です。どこかの姫君なのはフォースでわかります。ですが、どうかお収めください"と。
なのに、忠告を無視して反発したのです。
どうやら、他のダークナイトに気が付かれることを懸念したそのダークナイトが、すぐに姉を無力化し、近くにいたネビル星人に、星に送り届けるように依頼した。
という流れです。」
「…………お、俺のイメージと、全然合わないです。どこか、良い人にも聞こえますが……」
「ええ……ダークナイトのほとんどは、元々ホーリーナイトと呼ばれていました。ホーリーナイトは"銀河の安定を望む者"として銀河に今も君臨しています。
その中から、闇に落ちた者、呑まれた者をダークナイトと分類されています。
皆の性格が支配的なわけではなく、あくまで銀河を統治することが目的。なので、姉はたまたま無駄な争いを好まないダークナイトに遭遇したのでしょう……。ですが、預けられた相手が悪かった……。元々、星を開拓しながら利を得る種族の彼らにとっては、こんな美味しい話はなかったのです。」
「ダークナイトには目をつけられず、他の星の開拓に繋がったということですね?」
リスタはずっと黙っていた。
話が壮大過ぎて、ついていくのが精一杯だった。
それはユウも同じだった。
ユウのいた地球では、地球外のことはすべて都市伝説の範疇であり、人生そのものに関与せず一生を終えるのが常識だったからだ。
その点では、ラボなどの存在があったニューラの方が、免疫はあるだろう。
だが、ここでユウが口を開く。
「でも……良かった……そう思いませんか?」
アリスもユウを見て頷く。
状況整理をしながら、アリスの青ざめた表情は、希望に満ちていた。
「ユウ、わたしにわかるように、説明をお願いします。」
シャク姫が頭を下げる。
ユウは慌てて、シャク姫に顔を上げるように伝える。
「俺は……この通り無知です。ですが、シンプルに考えて、最悪の線は消えました。そうだよね、アリス?」
「ええ、その通り。
ダークナイトからの追跡が無いのなら、全面戦争は避けられる。そして、この星の中だけで解決できる。外敵の可能性が限りなくゼロになったということね。」
「うん、そう思ったんです。
だから、ネビル星人の元からお姉さんを助け出して、更に、制圧すればいい。そして、テラフォーミングをやめさせる。
物騒な言い方だけど、そういうことだよね?」
「その通り。
シャク姫。確かにこの星の民と、ラボの力では、戦争になれば被害が大きくなる。
ですが、わたしたちならば、被害を最小限にできるかもしれません。
どうでしょうか?
わたしたちとともに、戦ってはくれないでしょうか?」
「………本当に、良いのですか?あなた方の命が危ういかもしれないのですよ?
せっかく見つかった希望の光を、危険に晒すなんて……1stやラボの方々に、なんといえば良いのかー……」
シャク姫は、宇宙全体のことを願っていた。
この星の未来と、銀河の未来を天秤にかけた時、切り札となるユウを危険に晒すのか、確実に外へ逃すのか、シャク姫の中では答えは出ていた。
しかし、その本人たちからの申し出を受けて、心が揺らぐのであった。
「………あなた方に、わたしの考えをお伝えします……」
果たして、神姫シャク姫の決断と、この星の未来はどうなるのか。
第四十九話 完
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