第四十七話 コツ
フェアリーリング編、いよいよ大きく動き出します。
今回は“才能”ではなく、“コツ”の話。
できなかったことが、ふとしたきっかけで出来てしまう瞬間を描きました。
そして、ついに――
神殿の奥で、あの人物が姿を現します。
「リスタ‼︎」
ユウとアリスは必死に介抱した。
『大丈夫、ゆっくり……ゆっくり深呼吸して……そう……落ち着いて……ゆっくり……』
リスタはシャク姫の言葉通りに、ゆっくり呼吸をした。すると、頭痛が少しずつおさまってくる。
『びっくりさせてしまってごめんなさい。
あなたなら、繋がれると思ったの……
落ち着いてきたなら、ここに向かって、わたしに話しかけてみて?』
(ふう。ようやく頭痛は引いてきたけど……"ここ"ってどこ?どうすればいいのかなあ?)
『この声を感じている、頭の"場所"はどこかわかりますか?そこを意識するだけで大丈夫。
そうですねえ……まずは、あなたの名前を教えてください。』
(た、試しに言ってみよう。)
『わたしは、リスタといいます。お、お姫様、よろしくお願いします。』
その瞬間、頭痛は消え去り、リスタの頭の中はクリアになった。
「お、おい!リスタ!いきなり立ち上がって、大丈夫なのか?!」
リスタの反応はない。ただ、目を閉じて立っている。
『ようやく繋がりましたね。
リスタ。良い名前ですね。』
『こ、これがテレパシー??すごい、お姫様と、話ができるなんて!』
『ふふふ。しかしながら、そこまで頭痛が出るとは思いませんでした。少し診てみましょう…………ああ……リスタ、もしかして、強制的に覚醒を促しましたか?』
『は、はい!わたしはニューラという星で科学者を目指してました。その時、わたし自身の身体を使って、超感覚の研究をしていました。』
『なるほど、それで違和感が出たのですね。
安心してくださいリスタ。もう、強制的な実験はしなくて大丈夫です。』
『え?!ど、どうしてですか?』
『なぜなら、あなたには、フェアリーリングの民の血が流れているからです。』
「ええええええ!?」
「う、うわあ!びっくりしたー!」
ユウとアリスはのけぞった。
と、思ったら、再びリスタは目を閉じる。
『わ、わたしにですか?!わたしのお父さんもお母さんも、この星の出身ではありません!なのに、どうして?』
『正確には、あなたの先祖でしょう。
わたしの従姉妹に連なる家系の血統です。
とても強いフォースの家系です。
随分前に、この星を出て行って以来、戻ってきていないのですが、その子孫たちが、こうして戻ってくるとは……これも、運命かもしれませんね。』
リスタは目を閉じたまま、唖然としている。
ユウとアリスはもちろん何が起こっているかわからないが、見守るしかなかった。
『リスタ。階段を登るのは、とても疲れるでしょう?
少し、感覚を使う練習をしましょうか。』
『か、感覚を…‥使う?ですか?』
『その通り……リスタ……もう、この星に入った時点で気がついているでしょう?
肌にまとわりつく、その膜のようなものを。
まずはそれを全身で感じてください。
そうですね……肌で触れに行くように。』
リスタは目を閉じたまま、身体を動かす。
まるで踊るように、自分の身体の『重み』と、そこにある『空間』の境界線を確かめるように動き続けた。
『な、何かが身体に当たる。触れる?ような感覚です。』
『やはり、もう基礎は大丈夫ですね。
なら、全身を一つの膜で包み込むように意識してください。わたしもフォローします。
………どうですか?わかりますか?』
『は、はい!すごく心地よい感じになりました。』
『ふふ。素晴らしい才能です。
では、全身を少し、上に引っ張り上げるイメージを持ち、身体を浮かせてみようとしてみてください。ゆっくり……ゆっくりと。』
『こ、こうでしょうか?』
リスタは、重力という見えない足枷が、ゆっくりと緩んでいくのを感じた。足の裏が、地面からわずかに浮き上がる。脳裏では物理法則が警鐘を鳴らしているが、身体は、かつてないほどの軽さと自由を謳歌していた。
『そのまま……集中して……慣れてきたら、そっと目を開けてみてください。』
リスタは目を開ける。
そこには、ユウとアリスが腰を抜かしていた。
「り、リスター!すごい!あなた、浮いてるわよ?!」
「すごいよリスタ!」
『さすがは、代々フェアリーリングの長を務めていた血筋。才能は申し分ないですね。
ならリスタ。
その引っ張り上げるという感覚。もうどう使えば良いかはわかりますね?』
『は、はい!』
ヒューン……スイー……ヒュン!
リスタはその場から浮いたまま、階段を登り始めた。
「お、おおお!リスタが飛んだ!ねえ!すごいよアリス!早く追いかけよう!」
「ええ!追いかけよう!思いのほか速いわ!」
エージェントのアリスと、覚醒したユウが全力で階段を駆け上がる。
その速さと同じ速さでリスタは飛んでいる。
ユウが横に並び、風を切る音に負けないよう、声を張り上げる。
「リスター!!凄いよ!いったいどうしたの?!」
「うん!それがね!お姫様がテレパシーで、飛び方を教えてくれたの!ま、まだコントロールは難しいけど、わたしも驚いてる!」
3人はあっという間に頂上へ着いた。
とてつもなく広い踊り場があり、少し先に目をやると、噴水が見える。
『噴水を超えて、本殿へお入りください』
ガク
リスタはアリスに寄りかかった。
「リスタ!大丈夫?!」
「ご、ごめんねアリス。少し、疲れちゃった。」
3人は一旦噴水に腰掛ける。
「はぁ、はぁ、わたし、飛べた……信じられない。」
『素晴らしい飛行でした。初飛行であの速度はここ数百年誰もいません。
今疲れているのは、体力ではありません。
新しいことをして、神経を使った精神的な疲労です。
フォースを身につければ、基本的には身体的な疲労は少なくて済みますから』
『勉強になります。教えて頂き感謝します。』
休憩が終わり、ついに本殿へ。
本殿周辺は、特に目立つ木々などもなく、そこらには雲がうっすらと漂っている。
本殿内へ進むと、奥には神々しいステンドガラスが室内に光を差している。
この惑星はあらゆる光星に囲まれており、夜は何日かに一度訪れる程度、それ以外は常に明るい。
3人はゆっくり進むと、次第にシャク姫の姿が見えてくる。
その姿を3人ははっきりととらえた。
「ようこそ、フェアリーリングへ、はじめまして、わたしがフェアリーリングの神姫、シャク。どうぞ、楽にしてください。」
「え!!!あ、あなたが、シャ、シャク姫ーーー!?えええええ!!」
3人は驚きのあまり、神殿内にこだまするほど叫んだのだった。その真相とは。
第四十七話 完
今回も最後までお読みいただきありがとうございました!
ついに姿を現した神姫シャク。その正体に驚愕する3人の運命は……!?
続きが気になりましたら、ぜひブックマーク登録や感想・評価をいただけますと、執筆の励みになります!
また、現在「なろうコンテスト」にエントリー中です。皆様の応援がランクアップの鍵となりますので、ぜひ応援よろしくお願いします!
【別作品のお知らせ】
もう一つの連載作品もぜひご覧ください!
『Another Life 〜現実が詰んだので、フルダイブVRで人生やり直します〜』
Nコード:N0377LN
https://ncode.syosetu.com/n0377ln/




