第四十五話 フェアリーリング
フェアリーリング編、開幕です。
今回は景色と空気感を、
少しゆっくり味わってもらえたら嬉しい回になります。
新しい土地、新しい文化、
そして、少しだけ不思議な違和感。
どうぞお楽しみください。
空を高速で進みながら40分ほどが経過した。
地球の乗り物とは比べ物にならない速さではあるが、Gを感じることもなく、気がつくとフェアリーリングの上空に到着していた。
3人は下を見て驚愕する。
巨大な山の上空。
山脈や大樹がリングのように円をなす。周囲には湖が広がる。
その中にも森が広がり、中央にはさらに大きな大樹がそびえ立つ。
中央の大樹を取り囲むように、滝が流れており、中央エリアへ行くには数本の道が繋がるのみ。
「な、なんて、でかい場所なんだ……」
ラムから通信が入る。
「ここから下には進めません。山間部のさらに下へ回ります。」
「え?なんでだ?ここから降りれない?」
「はい。強固なシールドが貼られています。
解析すると、比較的新しいもので、わたしたちの技術でも破れません。
通信ですでにフェアリーリングには進入を許可してもらえていますが、やはり、途中から徒歩で案内人に会うようにとのこと。」
山の下まで見渡せる位置まで引いてフェアリーリングを見る。
山のふもとにはまた湖が囲み、湖の周りにはまた緑が円で囲み、その周りはまた湖で囲み………何重にも繰り返されている。
「わあ……リング状にみえる!」
リスタは目を輝かせている。
ユウも、その自然の大きさに驚いている。
「なあ、この星に来て思うことがあるんだけど、なんか、身体軽くないか?」
「わたしは特に変わりないよ?リスタは?」
「…………ゆ、ユウも、感じてた?……実は、わたしもそんな気がしてた。気のせいかと思ったんだけど……何かに身体を引っ張り上げてもらってるような……上手く言えないけど。」
「そう!それだ!なんかこう……ふわっとしてるような……」
「もしかすると、重力が僅かに違うのか、あるいは、身体の適性かもしれないわね。」
「解析によると、地球やニューラよりも、重力は5%ほど軽いです。ですが、その程度の差なら身体能力が高いので、あまり感じにくいかと思われます。」
(5%か……あまり差はないから、やっぱりこの違和感は星独特の何かなのか……)
飛行車は離れた場所へ停止。
3人はフェアリーリングの中央を目指して歩き出す。
「ここからすぐのところに、集落があります。そこで案内人と合流します。」
ラムの案内に従い、まっすぐ進む。
しばらくすると村に到着した。
すでに何人もの人が集まっている。
「ようこそ、フェアリーリングへ。姫様からの声は届いています。
では、行きましょう。」
(声?……届く?)
「アリス、ユウ……み、見て!案内人の人の足元!」
?!
「う、浮いてる!!」
「ん?ああ、珍しいでしょうか、我々の種族は、一部飛べるものがいるのです。皆、特徴がバラバラで、顔も身体もバラバラなんです。
しかしながら………」
「ん?」
案内人はリスタをちらちら見る。
他の人たちもリスタを見ていた。だが、それは悪い意味ではなく、まるで憧れのような目で見ている。
「ど、どうしてみんなわたしを見るのかなあ。」
「リスタが可愛いからじゃない〜?」
(……確かに可愛い。だが、すごい視線だ。気配を感じ取る感覚も少しずつ鋭くなってるから、余計に感じる!……リスタも感じているのかもしれない。)
村を抜けると、開けたところに出た。
そこには、巨大な滝が広がり、遙か下方へ流れ、湖になっている。
「さあ、ここを抜けると本殿です。」
3人は案内人に導かれるまま進んでいく。
「すごい大自然、でも、どこか懐かしいような……とても気分が良いような……」
「…………」案内人はまたリスタをちらっと見ては先へ進む。
一本道を抜けると、目の前には巨大な神殿がそびえ立つ。
神殿は所々木々に覆われており、自然と一体化している。
「上からはわからなかったけど、この中央エリア全体が神殿なのか……自然と一体化している感じだ。」
「はい。その通りです。我々は自然のエネルギー、いわゆる、わたしたちはそれを"フォースエネルギー"と呼んでいますが、大気中や万物から発する力と共に生きております。
なので、この星は自然を愛し、そして、共存することで成り立つのです。」
(まさに、俺の好きな映画そのものだ。そんなエネルギーが、本当にあるなんて……)
「なので、今外敵によって環境が破壊されています。どうか、わたしたちにお力添えください。
ここからは、わたしは入れないので、失礼します。
神殿の中は安全なので、どなたかにお声掛けいただければ、姫様のところに辿り着くと思います。」
「ありがとう、わたしたちも全力を尽くします。」
案内人は村へ戻って行く。リスタの前を通る際に、振り向き、膝をつきながら片手を握り拳、そして反対の手の手のひらに合わせるポーズをとる。何かに祈るかのように。
古の礼節を思わせる、敬意に満ちた動作だ。
ほんの一瞬だが、ユウは見逃さなかった。
(こ、これは!感謝の構えだ!あの有名な戦国漫画のと似ている!と、言うことは、リスタをちらちら見てたのは、やっぱり讃える意味合いだったのか?)
その案内人、そして村の反応の真相はいったいなんなのか。
ユウは懸念しながら神殿へと進むのだった。
第四十五話 完
最後までお読みいただき、ありがとうございます!
フェアリーリングへ足を踏み入れたユウたち。案内人がリスタに向けた、あの畏怖すら感じる敬意のポーズ。彼女の出生の秘密が、少しずつ顔を出し始めたようです。
「あの漫画と同じポーズ!?」と驚くユウの反応も、緊張感の中での良い清涼剤になれば幸いです。
皆様からの熱い反響が、hanaXIIIにとって何よりの執筆の原動力です。
「続きが気になる!」「ユウたちの旅を応援したい!」と思っていただけましたら、ぜひブックマークや評価ポイントをお願いします。その一票が、物語を完結まで導く大きな翼になります。
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