第四十四話 情報
惑星クリプタのラボで再会したエルボ博士とアリス。
彼女の過去を知る人物の登場により、エージェントとしてではない、アリスの素顔が少しだけ垣間見えます。
アリスの変化や、
ユウたちが踏み出す“最初の一歩”を、
ぜひ楽しんでいただければ嬉しいです。
みんながアリスに注目する。
「敵の中に潜り込んで、情報を集める。シンプルだけど、それしかないと思う。じゃないと、このままじりじりと攻められるのを待つしかなくなるから。」
「………けど、どうやって?敵は、見た目が全然違うんだろ?」
「うん、わかってる。だから、まずはギリギリのエリアまで調査に行って、望遠で敵の様子を観察する。本当にその種族だけで行動しているのか、または、部下たちは多種族を扱っているのか。細かい情報を知る必要があるわ。
それによって潜入方法を練っていくから。」
ユウは感心していた。
アリスは美人で、最近は人懐っこくもなってきていたため、本来の専門分野をすっかり忘れていた。
「エルボ博士!どうしたの?」
リスタが心配そうに駆け寄る。エルボは目頭を押さえている。
「ああ、いやすまん。S…いやアリス、立派になったなあ。あんなやんちゃ娘が、こうも頼りがいのあるエージェントになるとは……」
「や…辞めてください、昔の話です。は、恥ずかしいです。それに、同世代があまりいなかったわたしたちにとって、エルボ博士たちがいてくれたから、ここまで成長できたんです。」
アリスは顔を少し赤くする。
「一時期は口数も少なくなり、ただ任務のためだけに物事を学習している様子だったが……何と言うか……とても、柔らかくなったなあ。世話をしていた頃の顔に戻ったみたいで、つい感傷に浸っていた。」
アリスは赤くなりつつも笑顔になる。
「ええ。地球でユウたちと出会って、それから毎日が充実してます。」
エルボはそっと微笑む。
「話の腰を折ってすまなかった。
なるほど……思い切った作戦だ……なら、フェアリーリングへ一度行くといい。
そこはクリプタの民の長がいる。そこで話を聞き、潜入の役に立てるといいだろう。」
「フェアリーリング……あ!ラボの文献にあったよ?!たしか、代々お姫様がいて、超感覚に特化してるって……」
ユウとアリスは顔を見合わせる。
「決まりだね、アリス。さっそく向かおう!」
「そうね。ありがとうございます、エルボ博士。」
「装備など、諸々揃えた方がいい。自然の生き物も、彼らに追いやられているから何に襲われるかわからん。準備している間に、地図のデータはそちらに転送しておく。」
◆
「なあラム、フェアリーリングで、俺は言葉がわかるのか?」
「ええ、問題ないです。なぜなら、もう何万語もユウの頭にインストールしてありますから。」
「え?!いつのまに?!」
「元々覚醒し始めてから順応が早いことはお伝えしました。その後も、ラムコピーと過ごす間に、電気信号で常に言語野へ送り続けていたのです。
自然にその言語を発することに、多少違和感は出ると思いますが、もう慣れていることだと思います。」
「わ、わたしは大丈夫かなあ……」
「リスタには、そのイヤリングをつけてもらいます。ユウほどの効果があるかは分かりませんが、これも、言語野に信号を送るものです。
脳内で変換し、そのうち自分の言葉として発することができます。」
「わあ!ありがとうラム。アリスも付けてるの?」
「わたしは昔からつけっぱなしだったから、もうある程度の言語は問題ないかな。けど、たまに未知の生き物もいるから、念の為付けてる感じ。」
そして、アリスからはユウとリスタにユニフォームと腕輪が渡される。
「これをアンダーシャツとして装着したら、その上から服を着るといいわ。
腕輪はいざという時に必要な武器が出るようになっていて、弾丸、レーザーに対してオートガードしてくれるようになってるから、必ず身に付けてね。後は離れ離れになってもこれでラムと通信できる。」
3人は準備を整えて、ラボへ戻る。
「さあ、では、これを姫に渡してくれ。
これを見せれば警戒は解かれるだろう。」
「ありがとう博士。では、フェアリーリングへ行ってきます。」
「おお、これに乗って行くのか!」
楕円形の浮遊している機体を見つける。
中には座席が8ヶ所。
(オープンカーみたいなものか。外に注意が必要だなあ)
乗り込むと、薄い膜が天井を作り、全体を覆う。
「あ、なるほど、こういうことか。」
「オープンカーだと思った?まあ、風を切って走ることもできるけど、何があるかわからないから、シールド展開するね。」
リスタは、初めての冒険なのでワクワク感と、緊張で表情が硬い。
「リスタ、俺から離れないで、アリスもいるし、大丈夫だよ!」
「うん、ありがとう!」
「行き先転送完了。オートで発信します。念のため、ベルトは装着しておいてください。
Gキャンセラーを超える動きが出る可能性があります。」
「オーケー!じゃあ、二人とも、クリプタでの初任務よ。準備はオーケーかな?」
ユウとリスタは親指を立てて合図する。
飛行車は一気に加速して、ラボを去るのだった。
「ここに彼女がきたのも、運命か。
それにしても、一緒にいたあの子は……似ている……偶然か、それとも……
頼んだぞ、アリス……。」
第四十四話 完
最後までお読みいただき、ありがとうございます!
いよいよ舞台は未知の地、フェアリーリングへ。
博士の言葉にあった「似ているあの子」とは一体誰なのか……。ユウたちの新たな冒険を、ぜひ最後まで見届けてください!
皆様からの熱い反響が、hanaXIIIにとって何よりの執筆の原動力です。
「続きが気になる!」「ユウたちの旅を応援したい!」と思っていただけましたら、ぜひブックマークや評価ポイントをお願いします。その一票が、物語を完結まで導く大きな翼になります。
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これからも、二つの物語をよろしくお願いいたします!




