第百十二話 危険との戦い
出撃前夜、変形機構を備えたアルティメットブレイヴで空へと飛び立ったユウ。
マザーとの対話の中で明かされたのは、アリスが「人工生命体」であるという衝撃的な真実だった。
葛藤や疑問を抱えつつも「アリスはアリスだ」と受け入れ、仲間としての絆をより一層深めたユウたち。
そして迎えた作戦会議の日、ついに次なる目的地「惑星エリシオス」への具体的な作戦が明かされる。
知恵を持つ猛獣たちが蠢き、磁場も重力もデタラメな異星での過酷な潜入ミッション。
はたしてユウたちは無事に仲間とヘマ総帥の母を救い出すことができるのか――!?
惑星エリシオスへ向けて、アリスが作戦を皆に伝えた。
まず、先行して、アリスとユウのペア、そして、ヘマの宇宙船の二機でエリシオスへ向かう。
エリシオスの環境は、レーダー感知の技術がないため、星の内部には容易に入れるだろうとのこと。
「星には簡単に入れるから、まずはラボへ向かって行くわ。ただ、その行く過程でどんな敵に遭遇するかわからない。ヘマによると、星全体が統治されているため、そこらじゅうに手下がいるみたい。だから、唯一敵が少ないと言われる、ビーストエリアがオススメとのこと。」
「び、ビーストエリア?名前からして、やばそうなところじゃないの?」
「珍獣がうごめくエリアで、磁場も重力もでたらめみたい。でも仕方がない。奴らに見つかるくらいなら、そこを選ぶのがベスト。」
そこへ到着したら、ひとまずアリスはラボへ向かう。ヘマは単独で都市へ潜入と別行動をとる。
その間ユウは宇宙船で留守番。
「あ、あの……留守番中に珍獣が宇宙船を狙ってきたらどうしたら……」
「その時は逃げてね。ラムコピーがいるから、感知して教えてくれるはずだから。」
「や、やっぱり宇宙船が狙われることがあるんだ……わかった、その時は全力で逃げるよ!」
(こ、これは珍獣に狙われるフラグじゃないのか!?こ、こころして警戒しよう!)
アリスはラボで装備を整えてから潜入。
ヘマは都市の市民に紛れて潜入。
向こうの紙幣や電子通貨も準備して行くから、数ヶ月は暮らせる準備は整っている。
(原始的とは聞いてたけど、電子通貨はあるんだ……宇宙のお金の相場はよくわからないけど、その辺はアリスたちにかませよう。どうせ覚えられないからなあ。)
装備を整えたら、アリスは敵のアジトへ潜入。牢屋からエージェントTを救い出す。
そこへジョウ博士が割って入る。
「ラボの情報によると、ちょうど向こうは、武闘祭を行っているらしい。イベントに乗じて潜入しやすいだろう。
奴隷たちも手伝わされている。おそらく解放のタイミングはあるはずだ。」
「そのタイミングを狙うわ。」
「あとは……闇の力を持つハデス。そして、ダークナイトが一人。この二人から上手く逃げなきゃならない。」
「そこはもう逃げる一択だぞアリス、ユウ?ヘマも言っていただろう?戦うなどとは考えるな!」
「わかってます博士。わたしもさすがに今回は無理だと理解してます。」
そして、ユウは、あるタイミングまでアリスが仲間を奪還できなかったら、ラムコピーへ連絡が来るようになっている。
その後で行動するとのこと。
「お、俺はどんな行動を取れば……」
「ユウが出なきゃならない局面は、おそらくわたしが始末されたか、捕まったとき、あとは、わたしじゃ手に負えないときだから、その都度ラムコピーから指示が入るようにするわ。」
「え!?し、始末って!そ、そんな涼しい顔して言ってるけど、待ってる間気が気じゃないよ!」
「ミッションにはつきものなの。でもユウは慣れてないよね。ごめん、言い方がキツかったね。大丈夫、そんなことにならないように頑張るから。」
アリスはニコッと笑うが、どこか寂しそうにも見えた。
その表情を、シャクもリスタも見逃さなかった。
(アリス……今回はかなり危険な旅になるのですね……)
「作戦は以上よ。」
(か、かなり大雑把な気がする……)
「ふふ…ユウ、大雑把だなと思ったでしょ?
そうなの、作戦会議とはいえ、ほとんどが単独行動だから、こんな感じになっちゃうの。ユウは、珍獣に食べられないことだけ考えてたらいいからね!ふふふ!」
「わ、笑い事じゃないよ!映画みたいなのが襲ってくると思ったら怖くてしかたがないよ!」
そのビジョンを即座にマザーがホログラムに投影し、皆が驚愕した。
「な!?あ!いつのまにか頭にリングが!」
「ユウの星では、こんな化け物をイメージしてるのね?」
リスタも興味津々の様子。
「そうさ!とんでもなく強いし硬いし、人間には到底勝てないよ!」
「……………でも、あながち射貫いてる(※得ている)わね、そうね、こんなのばかりいるわよ?まあ、こんな裸でウロウロはしてないけど。生命体としてはこんなのもいるわ。」
「ええええ!?ど、どうしよう……」
「でも、エリシオスにいる異星人は知性を持つものが多いから、こんな単調に襲ってくることはないわ……でも、野生化してる個体はこんな感じかなぁ。」
「ど、どのみち危険か……」
◆
会議も終えて、数時間後に旅立つことになった。
「さあ、これがアリスたちの宇宙船だ。ヘマはすでにあっちの宇宙船へ積んである。」
「積んである……言い方が……」
「ふん……このセブンスターを恐怖に陥れた張本人だ。もう顔も見たくもない。だが、お前たちの味方になるなら今は認めよう。」
荷物を積み込み、準備も完了した。
「アリス、ユウ!気をつけてね!後から行くからね!」
「うん!二人も気をつけて来てね!」
「大丈夫だ、二人の乗る母船はパワーアップしてある。そう簡単には堕ちんだろう。」
「改良お願いしますジョウ博士。では、わたしたちは先に行くわ。また後でねみんな!」
ラボのメンバーにも別れを告げて、ユウたちは旅立った。
バシューーン!!!!
二機の宇宙船は瞬く間に空に消えていった。
「二人とも、気をつけてねー!!!!」
リスタは大きく手を振り、二人を見送るのだった。
◆
惑星エリシオス。
「そろそろはじまりますねえ、武闘祭。」
「ん?ああ、そうだな。あんまパッとしねえけどな。どうせ珍獣らがわーわーやるだけだろ。俺からすりゃあ骨がねえ。
せめてあいつが出てこねえとなあ。」
「ほほほ……あの野郎は目障りですからねえ。私は会わなくてけっこうですよ。」
「ふん。テメェらは力を制限されてんだろ?だからあの野郎は出てこねえ。せっかく誘き出すためにこんな祭をつくったのになあ。」
「まあ、近々始末しましょう。あんなのにウロウロされたら困りますからねえ。」
第百十二話 完
第百十二話をお読みいただき、本当にありがとうございました!
いよいよ始まった「惑星エリシオス」への救出ミッション!
危険度未知数の「ビーストエリア」への潜入、留守番を命じられたユウのフラグ(!?)、そして敵側で開催される「武闘祭」に乗じた潜入作戦と、見どころ満載の展開でしたね。
ラストでは、強大な闇の力を持つハデスとダークナイトと思われる存在が「武闘祭」の裏で怪しい企みを巡らせている様子も描かれました。
奴らが誘い出そうとしている「あいつ」とは一体誰なのか!?
そして、先行して異星へ降り立つユウとアリス、ヘマ総帥の運命は――!?
新章の冒険が本格始動する第百十三話も、どうぞご期待ください!
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