第百十一話 できること、できないこと
ヘマ総帥との共闘という起死回生のカードを手に入れ、各首脳陣の説得にも成功したユウとアリス。
次なる目的地・知恵を持つ猛獣たちが蠢く「惑星エリシオス」への潜入準備が進む中、出撃前夜、ユウはひとり思い立って「ある場所」へと向かう。
乗り込んだのは、変形機構を備えた最新鋭機アルティメットブレイヴ。
そのまま空へと飛び立ったユウが目指したのは、マザーの元だった。
そこで語られる人工知能の身体、アリスの秘められた正体、そしてアルティメットブレイヴの行方とは――!?
はたしてユウは出撃前に自らの疑問と決着をつけ、仲間たちと共に新たなる冒険へ旅立つことができるのか!?
ユウは、とある場所に向かった。
ウイーン……
そこには、アルティメットブレイヴが戦闘機の形状に変形して置いてある。
実は、このアルティメットブレイヴは変形型の機体だった。
「よし!行こう!」
ユウは機体に乗り込み、ラムコピーを通してハッチを開ける。
ウイーン……
「ん?誰だ?ハッチが開くぞ?あ、あれは!アルティメットブレイヴ!
す、すぐにジョウ博士へつなげ!」
ジョウ博士と通信が繋がる。
「ああ、放っておけ、中におるのはユウだ。アルティメットブレイヴはユウの認証がないと動かん。好きにさせてやれ。」
「行きまーーーす!」
バシューーン。
「いいねー!アニメの通りだ!この形態だと、かなり速い!よし、マザーのところまで一気に行くぞ!」
バシューーン!
◆
「ユウ。来なくとも、通信でもわたしとは話せますよ?」
「そんなこと言わないでよ。ここでは、人型のマザーを見ながら話せるんだからさ。」
「理解するのは難しいですが、わたしは拒否はないので安心してください。」
「一つ気になったんだけど、その身体って、どの程度動けるの?もしかして、俺よりも強かったりする?」
「さあ、どうでしょうか。推測では、いい勝負だと出ています。ですが、あなたとは戦いませんよ?排除する対象ではないので。」
「いや、俺も戦いたくないよ。ただ、人工知能がそんなに精巧に動けるなら、そのうちいろんな人工知能が身体を持つようになるのかなと思ってね。」
「そんなことを聞きにきたのですか?」
「いや、本題はそれじゃないんだ。今ふと気になってね。俺たちの星では、フィクションの世界だから」
「そうですね。ただ、この技術は決して外に出すものではない。わたしはそう判断しています。
この星は進むところまで進んでしまいました。
悪用したら、銀河そのものが壊れてしまいます。」
「そっか……」
「何か気になることでも?」
「アリスってさあ……ロボットなの?」
「………………」
「どうしたのマザー?」
「………………」
「まさか………」
「違います。アリスは、ロボットではありません。」
「やっぱりそうだよね、あれだけ精巧なロボットはいないよね!なんだ……黙るからびっくりしたじゃないか。」
「ロボットではないですが、アリスは……人工生命体です。」
「え?……人工生命体?」
「ラボの規約により、詳細は話せません。今言えることは、ロボットではなく、ちゃんとした生命体ということ。ユウの心配していたのは、そう言うことでしょうか?」
「あ、うん、さすがはマザー、なんでもお見通しなんだね。じゃあもう一つ。
アルティメットブレイヴを、俺にください。
一緒に連れて行って、旅をしたいんだ。」
「答えはノーです。」
「そ、即答。理由は?」
「技術の漏洩です。あんなものが世に放たれれば、大変なことになります。わたしたち人工知能もそうです。だから、あえて隠れているのです。」
「やっぱりダメか。わかった!じゃあ、思う存分飛んでくるよ!」
ユウはそう言ってマザーの元を去った。
「……………」
(わたしは、なんでアリスが人工生命体だと、話してしまったのでしょうか。
規約ではそれすら言ってはならないのに……まさか、ユウに知らせたかった?なんのために………?)
バシューーン!
ユウは、アルティメットブレイヴで空を駆けた。
そして、ユウはリスタに会った。
「リスタ……アリスは、ロボットじゃないよ。」
リスタは安堵した。
「戦闘中の発言がずっと引っかかってたんだ。でも、安心した。」
「……………」
「どうしたの、ユウ?」
「いやあ、なんというか、俺のいた星からすると、ロボットの概念がそもそも違いすぎちゃって……だってほほら、めちゃくちゃ精巧に作られてるロボットだっているじゃん?それに、人工知能もすごい……だから、俺はアリスがロボットかどうかは、それほど気にしないと言うか、どっちみち、アリスはアリスだろうって結論になっちゃうんだ……もちろんリスタの気持ちもわかるよ。今まで同じヒューマンだと思っていたアリスが、ロボットだったら、今までの言葉や感情は全て嘘になるのかなとか、色々考えちゃうよね。」
「うん……わたしの知識でも、まだ感情をもつ人工知能には出会えてないから……でも、ユウの言った通り、アリスはアリスだよね。なんかスッキリした。ありがとう!」
ユウはリスタと別れて庭園にいた。
(けど、人工生命体って、なんだ?俺みたいなやつのことか?……いや、なんか違う気がする。俺みたいなのなら、もうとっくにちゃんとした生命体がいるはずだよ。なら、アリスはいったいなんだ?……エージェントっていったい……いや、考えても仕方がない。マザーに聞いても条約で教えてもらえないし、とにかく次の星のことだけに集中しよう。)
◆
ユウはシャクの元にも行った。
「あら、そうなの?あの機体はもらえないのね。」
ユウはマザーの言葉をシャクに伝えた。
「うん、俺も欲しかったんだけど、銀河のリスクが高すぎるみたい。」
「マザーたち人工知能の存在もバレたらいけないものね。できることとできないことをしっかり分けなければ、宇宙は安定しない。そこまでを見越してあるということね。」
「ぷ、俺たち、あんなに頑張って操縦覚えたのにね。」
「そうですね。まあ、良い経験になりました。無事に帰ってこれましたし。」
◆
アリスはまた庭園にいた。
(わたしとあのロボット兵、何が違うのかしら。感情?動きの精度?……だめ、考えたらダメよ。今は任務に集中しなきゃ。)
◆
翌日
「これより、作戦会議を行います。」
ラボの母船区画に皆集まった。ジョウ博士も同席する。
アリスの指揮により、次の星への旅が、また始まろうとしていた。
第百十一話 完
第百十一話をお読みいただき、本当にありがとうございました!
戦闘機形態へと変形したアルティメットブレイヴで空を駆け巡るユウの爽快な描写、そしてマザーとの対話で明かされたアリスの正体「人工生命体」という言葉。
規約を越えてユウに真実を教えてしまったマザー自身の中にも、何か大きな感情の変化が芽生えているような余韻が残りますね。
「ロボットでも人工生命体でも、アリスはアリスだ」というユウの言葉によって救われたリスタや仲間たちの絆が、次の過酷な戦いへの大きな力となるはずです。
そしてついに始まる、作戦会議と次なる未知の星「惑星エリシオス」への大冒険!
かつての敵であるヘマ総帥との連携や、知恵を持つ猛獣たちが蠢く異星での救出劇が描かれる第百十二話も、どうぞご期待ください!
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