第百八話 本気
満身創痍のアリスを襲う自爆ロボット兵の危機に、危機一髪で飛び込んだユウ。
アリスとリスタを無事に救出したユウは、マザーと自らのフォースの導きに従い、ラボのメイン研究室へと向かう。
そこでは、ジョウ博士の居場所を狙うヘマ総帥が赤黒いライトソードを手に障壁を破壊しようとしていた。
ヘマ総帥を前に、ユウは「母上を連れて銀河の果てへ逃げるため」という彼の秘められた目的と心の悲鳴を感知し、無益な戦いをやめるよう説得を試みる。
しかし、後戻りのできないヘマ総帥はユウへ向けて刃を振るう――!
激突する二人の力、そして直接対決の果てに届く結末とは。はたしてユウはヘマ総帥を止めることができるのか!?
ブォン!ブン!ブォン!
ユウは、ヘマ総帥の剣捌きを紙一重で避ける。
「むう!なぜ当たらん!そして、なぜ反撃してこない!」
「戦っても無駄だ!おれがあなたより強いって言ってるわけじゃない!戦うこと自体が無駄なんだ!」
「なにをぬかすかと思えば!そんなことは、わたしを無力化してから言え!!」
ブォン!ブォン!
「く!どうしてもダメか……この!」
ブン!
スカ!
ヘマ総帥のソードが空を切る。その瞬間、ユウはヘマ総帥の腹に蹴りを放ち、ヘマ総帥は壁まで吹き飛んだ。
ドゴーン!!
「ぐぬおー!!な、なんと言う怪力。そして、このフォースの感じ……ば、化け物か……」
「ヘマ総帥、どうしても止まってくれないのか?」
「くどい、わたしはこの星の技術を手に入れる!手に入れんといかんのだ!
本気で来るんだな。でないと、わたしを無力化はできんぞ!」
「………では、あなたたちの流儀で、納得させるしかないということだな?」
ユウは、アークにもらったライトソードを取り出して、スイッチを起動した。
ブォン!
「な!?そ、そのソード、アークのソード!な、なぜお前がそれを、ま、まさか、お前、アークをやったのか!?」
ユウは首を横に振る。
「これは、アークからもらったんだ。アークは、おれの友達だ。」
「と、友達!?あの冷徹な鬼が?んなバカな!わたしがあいつから逃れるために、どれほど苦労したか!」
ユウは静かに構えた。アークと模擬戦をしたときのように。
「構えは素人だが、隙はそこそこ無い。不思議な強さを感じる。ならば、わたしも本気で行くぞ!覚悟!」
ブォン!ガシュン!バチバチバチ!
バチン!バシュ!ブォン!ブォン!バチン!
ユウとヘマ総帥はソードで交戦する。
(剣捌きをみるとそれこそ素人!だが、なんだこのパワーは!?ソードが弾かれる!とても競り勝てん!)
「さすがは元ダークナイト、なかなか決定打がない!ならば……」
バチン!
ユウはソードを思い切り弾く。
「ぬお!?」
その隙をついて、ユウは飛び蹴りを繰り出した。
ドガ!
ギュイーーン……ドガ!
ヘマ総帥は再び壁まで吹き飛ばされた。
「ぐ……いかん……なんという蹴りだ……見た目はただのヒューマン、しかし、中身は違うと言うのか?」
ガク……
ヘマ総帥は片膝をついた。
「わたしがたった二発で!?」
勝負はついた。
「ここまでか……わたしを拘束するなり、始末するなりすればいい。」
「いえ……その前に、この戦争の理由、聞かせてくれませんか?」
「なんだと?敵の事情を知ってどうする?」
「俺には、あなたが極悪人には思えない。どうしてかはわからないけど、あなたから、なんというか、違和感を感じる。」
「…………フォースか……わかった。」
ヘマ総帥は事情を説明した。
捕らえられている家族を助け出さなければならないこと。
助け出した後は、銀河の果てに逃げること。
「そんな事情があったのか……」
「敵の話を信じるのか?逃げるための口実かもしれんぞ?」
「いや、何も目的もなく征服するにしてはリスクが高すぎる。わざわざこんなことしなくても、少しずつサイド1で宇宙船を作って、しれっと逃げればよかったんだ。
この技術が必要なのは、交渉か何かにするつもりだったの?」
「なかなか鋭いな。そうだ。俺の母親はヒューマン。しかも、低級のな。
家畜同然に捕らえられ、わたしがフォースの才能があることがわかり、ダークナイトになる代わりに殺さずに奴隷として母は生きている。」
「なんて酷い……」
「その星の統治者は、闇に精通している。
もちろんダークナイト。そして最近、悪魔のような男が現れ、その2人が星を制圧している。その男の正体も素性もわからない。」
「この星の技術を提供して、おかあさんを解放しようとしたのか……」
「それもこれも、もう無理だ。わたしは負けたのだ。」
そこに、警備隊がゾロゾロとやってくる。
ヘマ総帥は拘束されて、連れて行かれた。
もちろん、処分はまだこれから決める。
その頃、サイド6ではシャクが見事に制圧し、無事に帰還する。
◆
「ユウ!」
「シャク!おかえり!ごめん!マザーの指示で、サイド6に行けなかったんだ!」
「わかってます。ヘマ総帥がサイド7に行く可能性は、マザーの推測通りでしたから。
みんな、生きていて良かった。
アリスの様子はどう?」
「シャク、無事でよかった。」
「アリス!!心配したわ。もう大丈夫なの?」
「もちろん!すぐに回復したよ?わたしは少しだけ特別なの。」
(………特別?……まあ、俺たち地球人よりは確かにすごいけど、なんか意味深だな。)
「みんな、此度の戦争。よく凌いでくれた。本当に感謝する。
明日、ヘマ総帥の処分について話し合う。
君たちも参加してくれないかね?」
「わかりました。」
アリスは機械的に返事をする。
◆
翌日。サイド7の都市、一番大きな講堂で話し合いが行われた。
セブンスター全ての統治者や責任者が集まる。
ジョウ博士が司会を務め、各首脳陣も席についた。
進行が進み、今回の被害の報告、復興の目処、予算など、まずは経緯から復興について話し合う。
復興の話がある程度定まり、ついに本題に突入する。
「此度の主犯、サイド1のヘマ総帥の処分について、意見をいくつかまとめてある。
一つは、永久追放。一つは極刑。以上だ。」
ユウは真剣な表情で、周囲を見渡す。
(シンプルだが、これしかないだろう。さて、どうする……)
ユウは静かに質問した。
「極刑というのは、具体的にはなんですか?」
すこし周囲がざわつく。ジョウ博士も静かに答えた。
「君の想像しているもので大まかにはあっていると思う。」
「…………命を奪うということですね?」
ジョウ博士は静かに頷いた。
(当然か……あれだけのことをしたんだ。被害も尋常じゃない。)
ユウはさらに質問を続ける。
「永久追放とは、具体的には?」
「このセブンスターには二度と立ち入れない。そして、拘束したまま銀河の果てに解き放つ。」
それは死を意味していた。
極刑を免れても、拘束されて自由を奪われた状態で、島流しに合うというものだ。
途中で隕石が衝突しようが、捕縛されようが、人生の保証はないというものだった。
「…………いずれにしても重い刑か。」
ユウとアリスは目を合わせて頷く。
「あの、俺から提案があります。」
ユウは言葉を発する。
「ヘマ総帥をーーー……」
その言葉に、周囲はどよめき、ざわつき始める。
「な!?ゆ、ユウ……本気でいっているのか?」
「ええ、本気です。」
講堂にいる全てのものからブーイングやさまざまな言葉が放たれる。
果たしてユウが発した提案とは。
第百八話 完
第百八話をお読みいただき、本当にありがとうございました!
圧倒的なパワーと覚醒した力でヘマ総帥を無力化したユウ!
そして戦いの裏にあった「奴隷として囚われた母を救いたい」というヘマ総帥の切実な真実が明かされ、物語は深い感動と新たな局面へと向かいます。
セブンスターの全首脳陣が集まる講堂で、出された選択肢は「極刑」か「追放という名の死」。
その席で、ユウが口にしたまさかの提案とは……!?
大非難の嵐の中でユウが語る決意、そしてヘマ総帥の運命が決定する第百九話も、どうぞご期待ください!
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